2010年、つまり今年中にスペースシャトルが退役します。1981年の初飛行から約30年、アメリカの・・・ひいては世界の宇宙開発の一翼を担っていた存在の引退によって、人類の宇宙進出に大きな間隙が開くことが憂慮されています。
といいますのも、現在国際宇宙ステーションへの人員の輸送はスペースシャトルとロシアのソユーズのみで行っており、また、物資に関してもかなりのウェイトをシャトルが負担していたからです。
当面の間、人員はソユーズのみで輸送することになるようですが、問題は物資です。ソユーズのみでは限界がありますし、宇宙ステーション関連以外で、海外に打上を任せられないものも当然ありますので、アメリカとしては早急にシャトルの後釜を見つける必要があるわけですが・・・
その役目として最も有力なのが、民間宇宙会社の商業ロケット。アメリカの「国」としての次世代ロケットはまだ開発段階であり、シャトル退役後にすぐ運用を始められるものではありません。そこで、シャトル後の次世代輸送機関のロールアウトまでの間、民間のロケットに頼ろうというのです。
その、今後のアメリカの宇宙開発を占う民間宇宙ロケットの試験発射が行われた模様。
米民間ロケット打ち上げ成功 「シャトル後」ISS補給担う 東京新聞
オバマ政権は、年内に退役予定のスペースシャトルに代わり、今後の国際宇宙ステーション(ISS)への人員・物資輸送を民間ロケットに委託する方針。オバマ大統領は四月に発表した新宇宙政策で、低軌道輸送は民間に任せる一方、NASAは宇宙探査に力を注ぎ、二〇三〇年代までに人類の火星軌道到達を実現するとの構想を明らかにしている。
日本のJAXAのH-2Aにも民間資本が相当入っています。今後は民間による宇宙開発も増加が見込まれますが、その片鱗の一つでしょうね。今まで政府主導で行われていた宇宙開発にまでも民間の手が伸びてきているというのは感慨深いものがありますが、あのアメリカが民間に「頼らざるをえない」というのは、なんというか衝撃的な話です。
もしかしたら、あと10年もすれば、衛星軌道上の施設の殆どは民間が管理しているなんてことになるのかもしれません。