Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

究極の海賊版対策

2005-06-14 18:38:37 | Weblog
 海賊版といえば、中国。という言葉も決して言いすぎではないと言うほど、中国での海賊版は巨大なマーケットをつくっています。

 さて、海賊版を作られて困るのはもちろんコンテンツを提供する側。海賊版が横行する中国で、少しでも利益を上げられる方法はないかと考えた末、リスキーな博打に出たところがあります。

 会社の名前はWarner Bros.。この会社の成功如何によっては追随する会社も出てくるかもしれない施策とは・・・

封切りと同時にDVD発売――Warner Bros.の異例の海賊対策

公開したばかりの映画の違法コピーが出回るという事態に対処するため、Warner Bros.は米国で映画を劇場公開すると同時に、中国でDVDをリリースするという対策に出た。(ロイター)

 つまり、映画の公開とDVDのリリースに間があるから、海賊版が蔓延する。公開時期が遅く、劇場の少ない中国ならなおさらだ。その数ヶ月のブランクを埋めることで、正規DVDの販売数を確保する・・・
 これがワーナーのシナリオなんですけど、リスキーだと思いませんか?

 例えば最近のヒット作「スター・ウォーズ エピソードIII:シスの復讐」は、封切りから数時間のうちにインターネットに出回り、その後間もなく露店やブラックマーケットでDVDが売られ出した

 劇場で封切ったものでも、その日の内に海賊版が出回ってしまう。DVDと同時発売にした日には、正規版と同じ品質、特典の付いたハイクオリティな海賊版が、その日の内に露天に並んでしまう可能性もあるのです。
 もう一つの懸念は値段。海賊版は一枚数百円とか言いますから、最初から勝負にすらなっていません。それが同じクオリティであるならなおさらです。

 もしかしたら、最初のセールスは好調かもしれません。

主に若い女性をターゲットにした低予算映画で、10日に米国で上映が開始され、同じ日に正規版のDVDが中国の小売店で発売された。

 映画自体の知名度が低ければ、わざわざ海賊版も作らないし、物珍しさも先行するでしょう。しかし、これがスターウォーズ級の話題作であれば、先のような状況になることはまず間違いないと私は思います。

 ・・・ああ、「海賊版業者がマスターを手に入れる分は売れる」んですな。

 そして、最大にして最高の問題が。
 もしもこれを日本でやった場合、一体どれくらいの人間が劇場に見に行くことでしょうか?休日昼間、二人で3600円払って映画館に出向くより、一枚2980円のDVDを買って家で見たり、レンタルですませたりする方が賢いと「考えない」人間がどれくらいいるか・・・

 確かに、「DVDのセールスを少しでも稼ぐ」と考えたときには、この方法は有効だと思います。けれど、所詮はその場しのぎだと言うことは、みんな分かっているはずです。
 法整備とか、新しい暗号の整備とか、大変難しい問題ですけど、人間時には「あきらめる」ことも大切だと・・・だって、ビデオカメラはどうしようもないですやん・・・。