Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

釣り人のエゴイズム

2005-04-08 00:02:56 | Weblog
 私にも人並みに趣味といえるようなものが・・・ええと、今はかなり希薄ですけど、とりあえずインターネットが無いとかなり困ります。おっと、この例えはよろしくありません。何しろ、インターネットが無いと今時仕事にならない人も多いですから。
 もっと純粋な例えで言いますと、音楽、映画が規制されてしまったら大変です。さらに言えば、コーヒーが無くなってしまったらと思うとぞっとしますね。

 要するに、生きていくには全く必要がないものだけど、その人にとってはとっても重要というものが、世の中には”娯楽”や”嗜好品”として様々な種類があるわけですよ。

 ですが、その”娯楽”や”嗜好品”が、他人に酷く迷惑をかけたり、環境に深刻な影響を及ぼすとしたら。

 さて、”娯楽”というカテゴリの中で、昔から結構な市民権を得ているものが”釣り”というジャンルでしょう。
 昔から釣りは「日々の糧を得るため」に行われてきたものですが、いつの間にか「スポーツフィッシング」と言われる、純粋に釣りを楽しむスポーツが生まれました。
 別にこのこと自体を攻めるわけではありません。テグスとかハリ、ゴミをその場で捨てていくのは論外として、海釣りでも川釣りでも、マナーさえきちんと守れば、立派な趣味として認められるわけです。

 ですが、「バス釣り」となると、ちょっと事情が変わってきます。

 昔から言われていることですが、ブラックバスと呼ばれる一連の外来魚が、昔から日本にいる在来種を食い荒らし、湖沼において生態系を激変させているのは周知の事実です。元々あった生態系を変えてしまうこと自体大きな問題ですが、例えば古来の魚を捕って生計を立てている漁師にとって見れば死活問題なわけです。有名な所では琵琶湖等がありますが、心ない釣り人により、未だにバスの密放流が続いている模様です。
 滋賀県では、釣り人が行っている「リリース」を禁止する法律を作りましたが、何を思ったのか、

「リリースを認めてくれ。我々に釣りをやめろと言うのか」

という内容のメールを県議会議員に送った例まであるというのです。まったく理解できません。

 すでに全都道府県で「本来いないはずの」ブラックバスやブルーギルが確認され、生態系をめちゃくちゃにしている事に対して、環境省は「特定外来生物」として規制する方針をまとめました。すると・・・

 オオクチバス規制に反対の声9万6千通 釣り業界が反発

 このように、釣り業界から反対意見が噴出したようです。主な論旨は、「俺たちのせいじゃない。メシのネタを取り上げるな」というおきまりのものです。

 この構図、どこかで見たことありませんか?米の国の、

「私たちは自己防衛の権利がある。メシのネタを取り上げるな」

という話と一緒じゃないですか。どちらも「放っておけば害は広がる一方」という点も一致していますね。

 楽しみを取り上げられるのは確かにつらいもの。しかし、そのおかげで十年、二十年先にどんな影響が残るのか。絶滅したたくさんの在来種と職を失った漁業関係者。ずたずたになった生態系。
 その責任を彼らは本当に取ることができるんでしょうかね。