こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

情報過多、情報錯綜

2020年05月19日 | 自然災害・事故・感染症
日曜日(2020年5月17日放送)のNHKスペシャル(『新型コロナウイルス ビッグデータで闘う』)では新型コロナウイルス(COVID-19)に関する1万以上にのぼる学術論文をビッグデータとしてAIにより解析した結果を放送していた。1月からこれまででこれほど多くの論文が出されているということに驚いた。英語論文だけでこれほどの数なのだろうから、各国語で書かれたものを加えたらもっと多い。これらの論文が正しい結果で、正しく考察されていたら問題はないし、ほとんどはそうなのだろう。それに、こうして解析したら、おかしな論文は弾かれてしまうだろう。

とはいえ、この数は個人レベルで対応できるものではない。そのためのビッグデータ解析だけど、SNSレベルで根拠のないデマを拡散されるとたまったものではない。COVID-19にはナントカが効く、とか、こうしたら免疫力アップ、とか、そういった情報が”一人歩き”してしまうと大変困る。一部の薬剤にしても、治験段階であるにも関わらず必ず効く特効薬であるかのように言われているが、正しい手順を踏んで認められたものではない以上、使用の適否の判断は難しい。

情報が錯綜してしまうと、人は疑心暗鬼となる。その結果の一つがトイレットペーパー不足であり、延長上にあるのは自粛警察だと思う。自粛の目的を、皆が正しく理解していたらいいのだが、では何が正しいのかということはそれぞれの人の判断に頼っている。これは、おそらく国や各自治体の長の多くがその意味を理解していないからではないかと思う。だから、外出自粛、移動自粛の真の目的が伝わらず、”自分のことなんだから放っておいてくれ”のようなことを言って、勝手気ままに動き回る人が出てくる。そして、そういう人と、家でじっとしている人との間に対立が生じる。さらには、同じように出歩いて監視摘発する自粛警察にまでなってしまう。

番組の中で紹介されていたので一番信頼できて、役立つ情報は、感染からしばらくは無症状で、症状がでてから5日前後が分水嶺となり、回復する人と重篤化する人がいる。重篤化の原因はサイトカインストームという免疫系の暴走だということだ。COVID-19による重篤化の機序がわかれば、それに応じた治療ができる。日本は最初の段階での医療崩壊を免れつつある。この先緊急事態宣言が解除されて、第2波第3波がやってくるだろうが、それまでの数ヶ月の間に態勢を整え備えたら、それらへも落ち着いて対応できるだろう。そのためにも今後一層の情報の整理、解析、対応が求められていくことになる。そしてそれは、学者とか医者とかそういう人たちだけの問題ではなく、一人一人の自覚と行動が求められることとなる。もちろんわれわれ医療従事者も仕事を離れたら一市民であるという自覚を持って行動しなくてはいけない。

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