こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

病理医のコクピット

2020年08月19日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
医者の仕事場というのは知られているようであまり知られていない。患者さんのプライバシーの問題があるので、それは当然のことだ。だから、総合病院の場合なら、受付と外来の診察室まででバックヤードのことはあまりわからない。これは開業医の場合でも同じ。処置を受けたり手術をされたりする場合、ちょっとの間目が覚めていて、せいぜいなんとなくわかる程度。テレビドラマなどで病院の慌ただしい雰囲気は伝わってくるが、それはあくまでも作ったものだ。
これが、病理となると知っている人はほとんどいない。一時期、病理医を主人公にしたリアルなテレビドラマがあって、いよいよ病理も日の目をみるときがきたかと期待したが、ヒロインの女優さんがおめでたで、続編は作られず、それきりとなってしまった(漫画の方は続いているらしい)。結構視聴率も良かったので期待していたのだけど残念。その後、病理志望者が増えたという噂も聞かない。
さて、そんなわけで、病理医の部屋などどなたも知らないと思うのでちょっと公開。といっても、コロ健は一人病理医なので大学病院とかそれこそ岸先生の勤務先である壮望会第一総合病院のように複数の病理医がいる大病院とは違う。そのような場面をご覧になりたい方はネットで”〇〇大学医学部病理学教室”などと検索してください。7、8人で顕微鏡を覗いているような画像が案外たくさん出てくると思います。
さて、これが一人病理医コロ健の仕事場、いわばコクピット。窓はついていないが顕微鏡のレンズの奥には無限とも思える世界が広がっている。
正面左にあるのが我が愛機(顕微鏡)。上にくっついているのは写真撮影装置。どちらも年季が入っていて、私が赴任するずっと前からある。正面のモニターが診断入力画面。右手前に電子カルテがある。あとは、プリンターとPCと標本を置く棚とか。どれも一応私が手を伸ばせば届く範囲内にある。参考図書を並べている書棚はこの反対側にあり、使うのだけ、右のちょっと低い机に広げる。こうして眺めてみると、なかなか機能的でよくまとまっている。同じぐらいの広さの部屋を仕切って7、8人で仕事している職場もあるから、このご時世、密とは無縁であることは恵まれているといえる。

この椅子に座って、日がな一日、顕微鏡にしがみついている。私のような一人病理医は取り敢えず、なんでも自分一人でやらなきゃいけない、責任重大、命がけ、なんて思っていたが、実はそれは大間違いだったことに最近気がついた。なんだも知っている、なんてことはあるわけなくて、常に第三者の意見を聞くべきなのだ。本来なら、二人以上の意見を突き合わせてやっていかなくてはならない。少なくとも不安に感じる症例がある時は、面倒くさがらずにセカンドオピニオンを求める癖を持ちたい、いや、求めなくてはいけないのだ。まあ、一人病理医といっても、一人でやっている開業医と同じようなものと考えたらそれほど苦にもならない。

常に同じ緊張感を維持しながら仕事をするのは難しいけれど、病理診断がその人にとっての最終診断であるということを忘れることなく、出来る限りその努力をしていこうと、今日もこの部屋で自分を鼓舞する。
謙虚であれ

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