臨床医は患者さんに寄り添い経時的に診るが、病理医は検体が患者さんから切り離された出てきた時点の診断を下すという点で、大きく異なる。臨床医は”ある時点”で、診断が必要だから患者さんの体の一部から組織を採取して診断を病理医に委ね、病理医はそれに応じる。臨床医は、診断結果から今後のことを検討していくけれど、病理医は診断をつけた時点で一旦おしまいとなる。
もちろん、それきりで患者さんとお別れというわけではなくて、手術検体での診断確定とか、治療効果の判定だったりとかで組織は何度も取られてくるが、それはその都度そこでおしまいだ。
だから、病理医は診断に際して、その時点で考慮しうる全てのことを記載する必要がある。採取されてきた組織、例えば乳腺とか胃の生検だったらそれが癌かそうでないか。その手術検体だったらそこに腫瘍はあるか、それはどのような腫瘍か、とかいったことを診断書に記載する。多くはこれまで経験されてきたような病気でだし、量も限られているので、診断書に記載することはそれほどないけど、診断が難しかったり稀な疾患もある。どんな症例でも全力で診断しなくてはいけない。そういう意味で、病理診断報はその都度症例報告を行なっていると言っていい。
昨日、仕事をしながら頭を抱えて『これ(病理診断)って、すべてが症例報告じゃない!』と、呻いたのだが、呻きながらも『これ、いいフレーズじゃない!』と書き留めておきたかっただけで、延々と書き連ねる時間は今のコロ健には残念ながらないので、今日もこの辺でおしまいにします。
さあ、今度はどんな症例が