こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

あなたのそれは経験か体験か

2011年09月08日 | 日々思うこと、考えること

私の中学高校時代の親友で、今は海外の大学で教授職をやっているやつが、高校時代に、私が高校の体育祭で自分の色が優勝したとき
「君(コロ健)は本当にすばらしい経験をした」
と言ってくれたことがある。続けて、「経験と体験は違って、体験は表層的なもので、経験は自分の中に深く根付くものだ」とかいったような説明をしてくれたと思う。

そのとき以来、「経験」と「体験」を多少区別しながら生きてきたような気がする。
経験とは、能動的な思慮と努力に基づいた行為および自分の中に残った結果。一方、体験とは、何も考えずに、時に受動的な行為で、何も自分には残っていない(記憶はある)。

いくつかの具体例を挙げてみると、
例えば読書、文学書、哲学書を苦労して読む(外山滋比古のいうベータ読み)は経験だが、マンガは体験。筆頭著者として論文を書くのは経験だが、何も協力せずに名前を載せてもらってただサインをするのは体験。汗水たらして、さらには努力を重ねて金を稼ぐのは経験だが、あぶく銭をいくら手にしてもそのプロセスは体験に過ぎない。

経験を積むのは職業であることが多い。何せ、人様からお金をいただくためのことだから、”能動的”に”一生懸命”経験を積んで、より多くのお金を稼がせていただく。
これが、体験だけで日々漫然と過ごしていると、職業人としてプロには到底なれない。

医者であれば、ヤブ医者になってしまう。
「人間(人柄)はいいんですよね」などと言う言い方をされる人がいるが、これはある意味経験が無く、能力が足りないことを言われているようなもので、「体験」だけでやってきたような人だったりする。
私自身、経験を積むためにいろいろ頑張ってはいるものの、”真”の経験を積むのはなかなか大変なことで、つまらない経験ばかりが積み重なっていく。
始末の悪いことに、体験のほうが、経験よりも記憶は鮮明かつ長期間残る。
成功体験、恐怖体験、初体験。

あなたはいま「経験」を積んでいるか?それとも、「体験」しているだけか?

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