『クラッシュ』（2004）

2005年のアカデミー作品賞を受賞した今作、なんていうかものすごい映画だった。人種差別という難しい問題ではあるけれど、ただ単に重い映画に終わっていない。そこは演出する側の技量が大きいのだろうな。

様々な人種の人間が住むアメリカだが、そこにある問題を包み隠さずこうして映画にするっていうのは凄いなと感じた。白人、黒人、ヒスパニック、ペルシャそれぞれがの人がそれぞれの問題を抱えて生きていることが分かる。群像劇であるけれど、どのエピソードにもしっかりしたドラマが感じられて素晴らしい。こういうのって一つくらいはどうでもいいパートが混じっていたりするものだけどね。それに加えて退屈せずに観られるのは役者のレベルが高いというのもあるな。そういえばライアン・フィリップとか久々に名前聞いたな。

「人種が違っても」とうのが理想なのだろうけど、現実としては立場が違うと、そう上手くはやっていけない。そんなことを赤裸々に伝えてくれる一本であった。日本に住んでいると分かりずらいけど、互いに理解することも理解されることも難しいんだろうな。

多少あざとさを感じるものの、主題歌であるキャスリーン・ヨークの「In the Deep 」がまたいい曲である。