経営コンサルタントへの道

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【経営コンサルタントのお勧め図書】 経営理念2.0を守破離して3.0を 会社の“理想と戦略”2403

2024-03-26 12:03:00 | 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 経営理念2.0を守破離して3.0を 会社の“理想と戦略”2403    

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

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■    今日のおすすめ

『「経営理念2.0」会社の“理想と戦略”をつなぐ7つのステップ

                    (佐宗邦威著 発行:ダイヤモンド社)

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「経営理念2.0」とは(はじめに)
 
 紹介本の著者は、『自社の存在意義、自分が働く意味を見失いかけている企業、特に「中年の危機」に差し掛かっている企業には、新しい経営理念の作り方・活かし方である「経営理念2.0」が有用』と言います。勿論、著者が言う「中年の危機」以外の企業、特に、新たにIPOを目指す企業など、新たに経営理念を構築しようと考えている全ての企業に参考になります。
 また、「経営理念1.0」から進化した「経営理念2.0」の特色について、次のように記します。それは、『「社長の誓い」ではなく「みんなの物語」』にする、『組織の構成員の中にある「暗黙裡の思想(暗黙知)」を掘り起こし「言語化(形式知)」を図る』ことにより策定する、『「みんなの物語」を創るために「社員それぞれが自分たちの理念についてつねに自問自答して語り合う」場を持つ仕組み』とする、等々です。
 さらに、「経営理念2.0」を構成する要素として7つのステップを挙げ、紹介本の目次としています。それは、「ビジョン」「バリュー」「ミッション」「ナラティブ」「ヒストリー」「カルチャー」「エコシステム」です。これらの7つのステップのシナジーな関係は、次のように理解できます。
 「ナラティブ」「ヒストリー」「カルチャー」を、「経営理念2.0」の特徴である、3つのソフト(見えないもの)と位置づけ、3つのソフトを活用し、「ビジョン」「バリュー」「ミッション」の3つハード(見えるもの)を創出し、更には、3つのハードを反映した戦略的仕組みの「エコシステム」を創り、「エコシステム」の戦術的な運用・実施・見直しにより、「存在意義」と「働く意味」を沸き上がらせ、企業の活性化・発展を実現するシステムと言うことが出来ます。
 「経営理念2.0」の特徴である、3つのソフトを簡単に解説します。
 「ヒストリー」は「我が社の今を作った原点はどこにあったのか?」との問いにより、愛着と歴史的資産を見つけ3つのハードの礎とします。
 「カルチャー」は「私たちの会社の“らしさ・組織文化”は何?」と問い、3つのハードが自分たちの組織文化とかけ離れないものとする機能を果たします。
 「ナラティブ」は、「命令」とは対極にある「自分を主語にして語れる」ことであると定義し、7つのステップ全体を、組織の一人一人が「納得」出来るものに、「自発的行動を生む」ことが出来るものに仕立て上げる、組み込み要素部品的機能を果たします。
 これらのシナジーな関係については〔図1(下記URL)〕を参照ください。



 以上「経営理念2.0」の枠組みを見てみましたが、次項で注目点に触れ、更なる理解を深めてみたいと思います。
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「経営理念2.0」の理解を深め、更には自社流「3.0」にバージョンアップを
【「ビジョン」「バリュー」「ミッション」を正しく理解する】
 企業理念のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)は、ピーター・ドラッカーの著書「Managing in the Next Society」「A Functioning Society」(いずれも2003年出版)で提言され、注目されるようになりました。しかし、ドラッカーの提言はMVVについての簡単な提言で、詳細な説明はありません。その結果、経営管理分野において、様々な説明がなされています。
 MVVの定義についての「経営管理2.0」の説明は分り易く、適切と思います。紹介本におけるMVVの説明を〔図2(下記URL)〕に纏めてみました。英文表記と簡潔定義が参考になります。




【「経営理念2.0」と「ビジョナリー・カンパニー」を対比し、理解を深化させる】

 ここで、思考をする前頭葉を更に刺激し、MVVの理解を深めてみましょう。それはMVVについて、「経営理念2.0」とドラッカーの後継者(注)と言われているジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」(注)を対比して思考してみることで、MVVのシナジー・アップが出来ます。
 両者を比較することで、MVVの概念がより明確になります。両者の定義は微妙に異なります。両者から自社流を導き出すことが出来たら最高ですね。両者の対比表【図3(下記URL)】を参照しながら自社流を導き出してみませんか。

(注)「私の本棚2022.3.22」(下記URL)を参照下さい。

【MVVを戦略、戦術に落とし込む「エコシステム」の優れた実例
    ―サウスウエスト航空の「SMaCレシピ」―】

 「経営理念2.0」の「エコシステム」は、6つのステップを落とし込んだ実行計画を策定し、PDCAサイクルを回す「仕組み」です。紹介本では多くの事例が紹介されていますが、ここで、分かり易く・優れた事例として、「ビジョナリー・カンパニー」流「エコシステム」を紹介させて頂きます。
 それは、サウスウェスト航空の「SMaCレシピ(Specific;具体的である、Methodical;整然としている、and Consistent;一貫している)」です。
 「SMaCレシピ」の優れている点は、MVVから戦略上の概念をつくり、「SMaCレシピ」という戦術以上に永続性のある手順書を作成し、PDCAサイクルを回し、併せて、AAR(After-Action Review;事後の振り返り)を継続し、ビジョン(コリンズ式「BHAG」)を実現するという、「MVV⇒戦略への落とし込み⇒戦術化」のプロセスが分り易い点と、「ビジョン実現の確率」が高い点です。「SMaCレシピ」の詳細は【図4(下記URL)】を参照下さい。

【「経営理念2.0」を守破離して自社流「経営理念3.0」にバージョンアップを】

 経営管理の世界では、「まね」から「ひらめき」「触発」を導く「まねび」が良い結果を導き出すことが多く有ります。シュンペーターも「新しい知とは常に、『既存の知』と別の『既存の知』の『新しい組み合わせ』で生まれる」と言っていますね。
 以上見てきました「経営理念2.0」と「ビジョナリー・カンパニー」から、「ひらめき」「触発」を経て、自社流「経営理念3.0」にバージョンアップをしてみませんか。
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■「リーダーシップ」を、経営理念「3.0」で実現(むすび)

 ピーター・ドラッカーは、『「マネジメント」は物事を正しく(効率的に)行うことであり、「リーダーシップ」は正しい事をすることである』と言い、加えて、『企業にとって挑戦すべきは、その社会的正当性、すなわちバリュー、ミッション、ビジョンである(A Functioning Societyより)』と言います。
 ドラッカーが言う「リーダーシップ」を実現するMethodは、経営理念「2.0」をバージョンアップした「3.0」ではないでしょうか。
 経営理念「3.0」を経営改革の起点にし、「正しい事」を行い「社会的正当性」を達成し、改革を成功に導きませんか。

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【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。  企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/index.html

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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