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「染と織り」萩野健太郎

2021-09-19 | 読書

2012年刊行。民芸の教科書シリーズの一つ。

伝統的な染め、織りの知識から始まり、日常に使うものに用の美を生み出し、日本における民芸運動の先駆けとなった柳宗悦などの功績、全国の産地を訪ねての詳細なレポートなどなど。あとは買い方、身近に置いて楽しむためのアドバイスなど。

各地の染め、織りの現場を訪ねて作り方を聞き、作品の紹介をしている部分が特に読みごたえがあった。安価な工業製品がいくらでも手に入る時代に、伝統産業を継承、作り続けてまた次世代に伝えていく。大変な努力がいる。

材料なども手に入りにくく、人手がかかるので高価。それでもそれらの作品に引き付けられるのはなぜか。

それは無駄なものがない美しさではないかと私は思う。長い間に選び取られた一番いい材料で、無駄なく、手間はかけて一つのものを生み出す。近道しようとごまかすと余計なものが入る。それを排除して仕上げた作品は、職人の手技が反映された誠にすっきりとした仕上がり。そういうことかなと思う。

沖縄戦でほとんど失われた沖縄の織物の復活、植物の葛から糸を取って布を織る気の遠くなるような作業。着尺一本に20万回、葛の茎から取った繊維を結んで糸を作る。

その二つに特に感銘を受けた。

葛布に草木染した着物、今ではとてつもなく贅沢だけど、ある時代の人はそれを日常着にしていたことでしょう。

食べ物を作り、着るものを作り、住まいを作る。遠い昔からの手技の中に人の知恵が詰まっている。お金出して何でも買う今の時代の私たちは、手仕事という面では劣化しているのでしょうか。わざわざ伝統工芸品買う必要はないけれど、繕い物一つの手の使い方など、体が忘れていくことが怖いですね。

山陰は絣が盛んだっそうです。

米子市の弓浜絣。2016年、米子市のアジア博物館、井上靖記念館で。

左上。小さめの絵絣が弓浜絣の特徴。

雲州平田は海を埋めた低湿地、塩分の残る土地は綿がよくできたそうです。

2018年頃。

平田の商人が、毛利氏築城の折、広島へ呼ばれ町普請をします。以前は平田屋町という地名が市内にありました。本通りの北側。

あと、月山富田城麓の広瀬絣、記念館へ行ったけど写真見つからず。いずれまた。

旅先で機織り体験をし、藍染体験をするのは楽しい。その土地の心に触れた気がする。

コメント (3)
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