白や薄紫の清楚な花が好きな姑でした。そんな花を見ると姑を思い出す。
画像はフリー素材より。
先日、BS1で、俳優近藤正臣氏の郡上八幡での暮らしをルポした番組があった。
奥様を亡くされて、以後自炊をしながらの一人暮らし。気負うでもなく、めげるでもなく、淡々と流れに身を任せて猫と一緒に暮らしている。
釣り仲間がいるので移住したらしい。
山の中の別荘風の素敵なお宅は、亡き奥様の趣味で整えられたものと思われます。生前と同じ状態にしているそうで、おーいと、たまに名前を呼んだりしている。
奥様は50代で脳梗塞になり、のちに認知症になって、それでもずっと家で介護していたそうですが、近藤氏は無理がたたって腰を悪くし、三度の手術の後、車椅子に乗るようになり(番組の中では回復して普通に生活していた)、やむなく施設に預けてそこで亡くなられたという話だったと思います。
三度の手術ですか・・・極限まで頑張られたんですね。男性は弱音を吐く訓練ができていないので、真面目な方ほどつい頑張ってしまうのかなと思いました。
これはいいことのようですが、体を壊すまでするのは避けた方がいいと私は思います。
姑94歳が2017年の秋、尻もちをついて腰椎の圧迫骨折をし、それがようやく治った2018年初め、今度は大腿骨の頸部を骨折して入院、手術、リハビリの後に春には自宅へ帰ってきました。
この時に要介護度は4、ケアマネさん、その他の人たちが施設入居を勧めてくれたのですが、自分の子供と思って世話をすると言ったのは夫。週の四日はデイサービスなどに通い、一日は昼間はヘルパーさんが来て、実質のお世話は土、日の二日間でした。
もう歩けなくなっていたので、朝は二人で隣の姑の家に行き、朝食を食べてもらい、デイサービスへ行く仕度。夜は私の作った食事を夫が隣の家に運んで、自分も一緒に食べる。洗濯とオシメ替えは夫が担当。会合などがあってオシメ替えができない時は私が変わる。8か月の間に10回くらい。
今こうして書いていて、介護保険と男も介護する社会の流れの中で、「長男の嫁」は昔ほど苦労しないですんだと思います。友達、親族との旅行も一泊なら、食事を作り置きして普通に出かけていた。
2019年のお正月明け、前々から腰痛持ちだった夫が大型ごみを出す準備をするうちに激痛に襲われ、全くお世話ができなくなって、急遽ショートステイに預かってもらい結局その施設でベッドが空いて特養での入所となり、1年ほどお世話になりました。後は脳梗塞で寝たきりになり、2021年秋、病院で最期を迎えます。
夫は以後ずっと腰が不調。腰を庇うあまり背中を傷め、圧迫骨折を一度。さらに不調に。でも仕事は続けています。もう海外旅行行きたいなんて思わない、仕事が楽しみと申しております。
家にいた最後の頃、「オシメ替えが大変」とぼやいていました。初めは本人が腰を上げたりして協力的だったのですが、次第に力がなくなり、体位を変えるのが大変だったようです。姑の当時の体重は41キロくらい。本当なら軽いはずですが、筋力の落ちた人はとてつもなく重いのです。
10キロの米袋4つを一度に持ち上げられないのと同じ。介護したことない幸運な友達が、41キロなら軽いと軽く言ったのには憮然とした私でした。
夫は無理しなければよかったと今になれば思いますが、自分で面倒みるという人を止めることができなかったのです。しかも「親はあんたがみてね。長男の嫁では当たり前すぎて誰も目に入らない。長男がしてこそ世間は感動し、お母さんも喜ぶ」と、姑の介護が始まる前から、ハキハキと自分の意見を言っていた私。
もちろん夫が仕事で行けない病院のお供などは私の担当。検査が思わず長引いて、院内のコンビニでオシメを買ってトイレで替えたことも。
昨年の秋、義妹が我が家に来て「(二年前に亡くなった義理)親の面倒見たのに主人が礼を言わない」と怖い顔して私に愚痴ったことがあったので、そういえば夫も夫の弟妹もこと改まって私にお礼などなかったと、忘れていたことを思い出し、以後義妹が来ると聞いただけで、気分は下がり、血圧が上がるのです。
義妹は義理親二人の介護を同時にする時期もあり、私よりずっと大変だったのですが、それは悪いことでも恥ずかしいことでもないので誇りに思って、自分に自信を持てばいいのにと思います。でも自分の妹ではないので、深入りはしない。
私は大したことしてないので偉そうには言えませんが、世の男性たちは妻のした介護は「自分がさせた→自分がした」と変換しがち。妻は初めからいないような透明な存在。
親が死んだときに妻に手をついて「有難う、世話になった」と言える男性は稀。我が夫も言ってません。その時言えなかったのに、後で言えるはずがない。そういうものと割り切り、自分の体が動かなくなるまでの間を楽しめばいいのにと、自分の妹なら言うけど、義妹なので深入りはしない。義妹はよく頑張ったと思う。そのことを自分の支えにして生きてほしいものであります。
私はもう何でも思ったことは言うことにしているので、「あんたの妹の愚痴は聞かない」と夫に宣言しています。すっきりしました。
産んだ子供は自分が育てる。でも介護は人それぞれ。幸運にも介護せずに済んだ人も介護される身にはなるかもしれない。介護の大変さを想像し、周りにそんな人がいたら積極的に声をかけてもらいたいと思います。一言に心が救われることがよくあったので。
息子が介護すると言ってくれたらどうするかな。気持ちは受け取るけど・・・苦労はさせたくないし、夫みたいに体を傷めてほしくない。まあ、その時に考えます。