西宮市のシステムは、昭和36年(1961年)から一貫して自治体職員の手で作り守られてきた。
先日情報政策部長の三原氏のお話を聞くことができた。
それによるとこうだ。
冒頭こうおっしゃる。
「目の前にあるこんなおいしい仕事を人に任せるなんて考えられない。」
この気持ちはよく分かる。
ITも日進月歩なので、新しい道具で業務を見直せば改善できるところはたくさんあるのだという。
現に住民基本台帳のシステムを(Biz/Browserを使って)Web化したが、これまでのホストシステムが100画面あったが50画面に減らすことができたという。それだけ操作が短縮されたということだろう。
西宮市では、6,7年のローテーションで、様々な部門との人事交流をしながら情報技術を継承している。
だから主管部門にも情報システムの分かる人がいるし、情報政策部の職員も業務がわかる。システムを作ったり改良したりするのは共同作業であり、主管部門が、いわゆる何もしないお客様になることはないという。
人事部門との連携は非常に重要で、はやりコンピュータに向く人と向かない人がいる。コンピュータの世界に閉じこもろうとする人はダメで、現場の業務改善に意欲を持つようなマインドを持っている人が、プログラムも結局は作れる。人事異動の時、そのような人を回してもらう根回しは重要だという。
また、情報システムを経験したことのない人は、主管部門のことしかわからないので、新入職員は、なるべく情報システム部門を経験してから主管部門に行くほうがいいと発言し、なるべくそうなるように人事部門と話しているという。
今どこの自治体でも次はパッケージかとの話が出ているが、パッケージにすると業務ノウハウが溜まらないくなる。これが一番恐ろしいことだという。仕事は業務ノウハウの塊だが、それはシステムを少しずつカイゼンできるから工夫する気になるのであって、ちょっとしたことでも常にお金がかかるということになれば、カイゼンの意欲はなくなる。それが一番怖いという。
しかし、主要業務でない部分ではパッケージを採用しているところもある。しかし常にお金がかかるので、それが頭の痛いところだという。
西宮市では、サーバ側はオープンCOBOLで、サーバ側環境にはオープンソースを多用し、クライアントはBiz/Browserという構成だ。これまでのホストシステムから10年計画で徐々に移行しているので現在はハイブリッドだ。そういえば最初にBiz/Browserで作った後期高齢者医療保険システムは2008年だった。このパイロットシステムが成功したのでその後の基幹業務のWeb化に踏み切った経緯がある。