七つの会議 (集英社文庫) | |
池井戸 潤 | |
集英社 |
七つの会議という文庫本を読んだ。ヨーロッパ出張の際の飛行機内で見た映画の原書だ。なぜこれを手に取ったかは理由がある。私は、仕事で「リスクマネジメント研修」を持っている。ただし一般のリスクマネジメントとは違い、ガス業界が中心だ。
そして他社事例として、大手企業の事例、例えば、食中毒で会社がなくなった雪印とか、大量の個人情報が漏れたベネッセとか、新幹線の台車を削り過ぎて、炎上した神戸製鋼など有名なコンプライアンス違反の事例を話す。
これら大手企業のリスクに共通するのは、トップからの強いプレッシャーとトップ・現場のコミュニケーションの悪さだ。違法状態なのを現場からトップに言えない状態が続くと事故は起きる。さらに悪いことに下請け企業さんまで、その違反に巻き込まれてしまう場合がある。私も企業に35年務めていたからから、雰囲気はわかる。
これに関連した事例がないか、頭を巡らすと、あったあった、七つの会議だ。これは座椅子の製造メーカーが、受注を取るために、ぎりぎりまでコストを下げるが、下げきれない。そこで営業一課長がネジの下請けに頼んで、品質を下げ、安いコストで納入してもらい、受注を獲得するという内容だ。この物語はさらに意外な方にストーリー展開していくが、そこはネタバレを防ぐため、ここでは書かない。
これ、最後はともかく、下請けメーカーなら巻き込まれそうな事件だ。池井戸潤さんは、下町ロケットや陸王など、企業の葛藤を得意にする方だ。そしてさも、実際ありそうな内容になっている。
これ、リスク管理として、企業研修にも使えるね。例えば、研修の指定図書として、事前に読んできてもらって、感想をディスカッションするとか。あなたが下請けの企業の従業員で、不正の兆候を見つけたらどうするかとか、いろいろ応用できるね。
資格で言えば、この分野は、リスク検定やコンプライアンス検定。コンプライアンス検定は、受験したとき、我が業界の不適切事例が試験問題のテーマになっていて、ビックリしたことがある。