ヴィジット / The Visit

2015-10-25 | 映画






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前作の「アフター・アース」って、全く彼らしくない大作っぽいSF作品で、やっぱりこけたナイト・シャマラン監督のプチ話題作。
「シックス・センス」があまりにも強烈だったので、その後の作品は厳しい批評を受けているが、それでも「サイン」、「ヴィレッジ」、「ハプニング」は、僕にはそれなりによかった。
今作も、予告編を見る限り彼らしいテイストのB級感のあるミステリー・スリラーそうなので、ちょっと期待を持って観に行った。

シングルマザーに育てられているベッカとタイラーは、母が19歳の時に飛び出した実家の祖父母から、学校の冬休みに遊びに来ないかと誘いを受ける。
ベッカは、この旅行をビデオに記録して、学校に提出するドキュメンタリーフィルムと作ろうとしていた。
ドキュメンタリーの初めに、母親が家を出た理由をインテビューで撮ろうとしたが、彼女はその理由を頑として語らなかった。
携帯の電波も届かない祖父母の田舎町に電車が到着すると、二人が駅で出迎えてくれていた。
料理好きのおばあちゃんの手料理を楽しみながら、二人は田舎生活の一週間をビデオに撮っていく。
ただ、おじいちゃんから言われたのは、カビが生えて菌が怖いから地下には行かないように、そして自分たちは夜9時半に寝るから部屋から出ないでくれと言うことだった。
最初の夜、ベッカがこっそりクッキーをつまみに台所に降りようとすると、おばあちゃんが嘔吐しながら台所を歩いていた。
二日目の夜は、やはりおばあちゃんが裸で壁を引っかいていた。
ボーイフレンドとクルーズで休暇を取っている母親にスカイプで、ちょっとおかしい祖父母の言動を伝えると、母親は二人とも歳だからボケがでているのだろうといい、残りの数日間を楽しむように二人に伝えた。
次の日、おばあちゃんはベッカのパソコンを傷つけてしまったと言ってきた。
パソコンはなんでもなかったのだが、何故かカメラの部分だけが小麦か何か粘着の強い材料でカバーされていた。 

この監督の作品らしく、沢山の伏線が最初のうちに出てくる。
その伏線が何を意味するのか考えながら観ていくと、それが全て当たってしまう。
こんな単純な伏線で、どんでん返しが全くない事が、逆に驚かされる作品。
ナイト・シャマラン監督が、「ほら、どうです? あなたの思った通りの結末でしょ」って言ってるようだ。
これは、予告編で客をよぶ映画だな
ただ一つ、おばあさんの怖さ、そして彼女の体を張った演技はすごかった。 



63%



これがあのナナおばあさんなんて



ナイト・シャマラン監督のインタビュー



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ブリッジ・オブ・スパイ / Bridge of Spies

2015-10-25 | 映画






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スティーヴン・スピルバーグ監督、コーエン兄弟脚本、トム・ハンクス主演という、面白くない訳がない映画。
ただ観る前は、東西冷戦時代のスパイの交換の交渉という、ちょっと地味な題材なので、もしかして退屈な作品なのではと、心配だった。
観た後は、いらぬ心配でしたの一言。
ドキドキ感いっぱいの、とってもいい作品でした。

保険関係が専門の弁護士、ドノバン(トム・ハンクス)に、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベルの弁護の依頼が来る。
ソ連のプロパガンダを恐れたアメリカの司法省が、ソ連の容疑者であっても正当な弁護をさせるという、世界に向けたパーフォーマンスだった。
そのため、検察はドノバンに、アベルの知ってる情報を聞き出そうとし、裁判長は最初からアベルを死刑と決めていた。
しかしドノバンは、何の偏見もなくアベルに接し、アメリカ人に対するように、彼を弁護をしていった。
そして、いよいよ最高裁の判決の日に、ドノバンは裁判長の家まで行って、将来アメリカ人がソ連に捕虜になった時に、必ずアベルを使えると説得し、禁固30年に減刑させた。
ドノバンは、敵のスパイを弁護した恥知らずとして、脅迫状で脅されたり、自宅が銃撃される被害を受ける。
しかし、ソ連上空で撃ち落とされたU2偵察機のパイロットがソ連の捕虜になると、政府は彼に人質交換の交渉をさせる。
しかも、政府が表立って動けない非合法な人質交換のため、ドノバンが単独で東ドイツでソ連と交渉しなければならなかった。
交渉の準備中に、ベルリンの壁の建設中に東ベルリンのガールフレンドを西ベルリンに逃がそうとして、東ドイツに捕まった、アメリカの大学院生の存在を知り、パイロットと学生の2対1の人質交換をソ連と東ドイツとはじめる。

やっぱりトム・ハンクスの演技は最高だ。
アベルを演じた、マーク・ライランスという僕にとって無名な役者の飄々とした自然の演技もとっても良かった。
どうも舞台を中心にしてる役者さんらしい。
そして、スピルバーグのカメラの使い方。
一番最初のニューヨークの街、地下鉄のシーンから、何か計算されてるなって思わせるカットではじまる。
そのうち、彼の巧みなカメラワークの中に入ってしまう。
トム・ハンクスが一人で歩く、ベルリンのシーンもそうだった。
結局これと言って何もないのにドキドキさせる。
そして、終盤でキーになる、「チェックポイント・チャーリー」って所、去年ベルリンに行った時に、実際に立ち寄ったが、上手く再現されていた。
もちろんコーエン兄弟の脚本もよかった。
アクションがなく、顛末が分かっているサスペンス。退屈になってしまいそうな題材なのに、客を最後まで引っ張るストーリー。
間違いなくオスカーに絡んでくる作品。 



92%



トリビア
スピルバーグによると、1965年にグレゴリー・ペッグがこの事件に興味を持ち、彼が主演アレック・ギネスがアベルでMGMに話を持って行ったが、ピッグス湾事件でソ連と極度の緊張状態にあった為、制作を躊躇した。

1953年、KGBのスパイが誤って連絡用の5セントを新聞を買うのに使ってしまった為に、FBIは当時から5セントが情報伝達に使われているのを知っていたが、自分たちでは暗号を解けなかった。結局、1957年に、他の件で逮捕したKGBのスパイから、解読法とアベルの名前を入手した。

映画では触れていないがドノバンは、元戦略諜報局という、第二次世界大戦に作られた諜報機関の顧問機関にいた。


制作風景



トム・ハンクスのインタビュー



マーク・ライランスのインタビュー



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メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮 / Maze Runner: The Scorch Trials

2015-10-12 | 映画






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2014年の「メイズ・ランナー」の続編。
ディラン・オブライエン、カヤ・スコデラーリオ、トーマス・ブローディ・サングスター、キー・ホン・リーと、これから売り込みたい若手を起用したと思われる。

前作で謎の巨大迷路から脱出して、大型ヘリに救出されたトーマスとその仲間達。
彼らは、謎の組織(WCKD)の研究所というところに収容された。
そこには、他の迷路から脱出して来た、多くの若者たちが収容されていた。
毎日の食事の後に、管理者のジェイソンが数名を指名し、彼らは他の仲間たちが入れない研究所の奥に連れていかれた。
その行動を不審に思ったトーマスは、収容所で一番古いアリスの手を借りて、研究所の奥で何が行われているかを探る。
そこでは、迷路を抜け出すことが出来た若者たちの体から、フレアという人間をゾンビ化するウィールスの免疫を培養する人体実験が行われていた。
トーマスは、人体実験の事を仲間に話し、研究所を脱出し、砂漠の中にある元ショッピングセンターの廃墟に隠れる。
そこには、全速力で襲ってくるゾンビの群れがいた。
トーマス達は、何とかゾンビを振り切りジェイソンが洩らしていた、ライトアームという反乱軍を探すために、砂漠を歩き続ける。

一作目と比べて、シーンがあっちこっちに行って落ち着かない。
まあ冒険ものだから仕方ないのかもしれないが。
一作目が怪物のいる巨大迷路と、若者たちが生活をする草原という限られた場面で、テンポよくストーリーがすすんだので、そんなシチュエーションものを想像てたのだが。
今回は、研究所から、砂漠、魔宮のような廃墟、そして山の中の反乱軍と進む。
その間に、この作品のテーマの「迷路を大疾走」が、織り込まれているので、常に走ってる。
ゾンビもすごい勢いで走ってくる。
ゲーム化を意識してるのかな。

そして、もう一つがっかりなのが、「ハンガー・ゲーム」シリーズ同様、「次作につづく」の中継ぎ作品になっていること。
「ダイバージェント」の二作目と対照的な終わり方だった。
三作目も観るけれど、もう少し一話で完結するようなシリーズ物を望むというのは我儘かな。 



50%



メイキングビデオ



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ダイバージェントNEO / Insurgent

2015-10-11 | 映画






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2014年の「ダイバージェント」の続編。
主演は、「ファミリー・ツリー」、「きっと、星のせいじゃない。」のシャイリーン・ウッドリー。
共演は、若手では「ターミネーター:新起動 ジェニシス」のジェイ・コートニー、「セッション」のマイルズ・テラー、「きっと、星のせいじゃない。」のアンセル・エルゴート、そしてテオ・ジェームズ。
ベテラン陣では、前作からのケイト・ウィンスレットに、何故かナオミ・ワッツが加わってる。

人々を無理やり5つの性格に分けて、それぞれの共同体に振り分け管理する近未来の世界。
5つの共同体とは、無欲を司る「アブネゲーション」、平和を司る「アミティー」、高潔を司る「キャンダー」、博学を司る「エリュダイト」、勇敢を司る「ドーントレス」で、必ずこの5つの共同体に属さなければならなかった。
そして、性格検査の結果、どこにも適応しない「異端者(ダイバージェント)」は、危険分子として排除された。
そのダイバージェント狩りの先頭に立っているのが、「エリュダイト」のリーダーで、この世界の指導者ジェニーン(ケイト・ウィンスレット)だった。
彼女は、前作で「アブネゲーション」共同体を襲撃した時に、トリス(シャイリーン・ウッドリー)の両親を殺してまで奪った謎の箱の封印を解くため、片っ端からダイバージェントを捕獲していた。
その箱には、この世界の秘密が隠されていて、ダイバージェントにしか開けることが出来ないが、実験に使われたダイバージェントは、次々に失敗して死んでいった。
一方、トリス、フォー(テオ・ジェームズ)と彼らの仲間たちは、「平和」の共同体に匿ってもらっていたが、そこにもジェニーンが送ったエリック(ジェイ・コートニー)をリーダーとする「ドーントレス」の部隊が迫っていた。

最近、この手のシリーズもので、「トワイライト」とか、「ハンガー・ゲーム」とか、「メイズランナー」とか、あるがその中の2作目としては一番良かった。
何よりも中途半端に次に続かせない。
「アリージェント」という、次回作があるようだが、ストーリーとしては、ちょっと余韻を持たせながらも、すっきり終わっている。
「ハンガー・ゲーム」も「メイズランナー」も、作品の途中を観せられていて中途半場でしょうがない。先が気になって仕方なく観てるけれど。
「トワイライト」は、2作目までが限界で、3作目からは観ていない。

この作品は、シャイリーン・ウッドリーの脇を固めるジェイ・コートニー、マイルズ・テラー、アンセル・エルゴートがいい。これからますます活躍しそうな演技力のある3人が、それぞれの色をだしていて。
一段落した今回の続編がとっても気になる。 



30%



トリビア
前作の「ダイバージェント」と違い、原作からかなりストーリーが変わっている。


シャイリーン・ウッドリーとテオ・ジェームズのインタビュー



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エージェント・ウルトラ / American Ultra

2015-10-11 | 映画






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「ソーシャル・ネットワーク」でのブレーク以降、「グランド・イリュージョン」、「ピザボーイ 史上最凶のご注文」と、独特の演技を見せるジェシー・アイゼンバーグと、「トワイライト」シリーズで、最初は素も綺麗な女優だったのに、目の周りの濃い化粧が仇になってる(あくまで個人的な意見)クリステン・スチュワート共演作。
彼らの共演は、結構評判の良かったB級作の「アドベンチャーランドへようこそ」以来。

マイク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、バージニア州の田舎町のコンビニで働くドラッグ漬けの若者。彼は同棲しているフィービー(クリステン・スチュワート)にプロポーズするために指輪は買ってあるものの、なかなかその機会をつかめないでいる。
また、彼は自分が住んでる街から出ようとするとパニック症候群になってしまう、精神病を抱えていて、せっかくプロポーズのために計画したハワイ旅行も当日にキャンセルしてしまった。
そのころCIAは、若いイエーツという、やり手のエージェントが「タフガイ」という肉体と精神改造で人間を兵器化するプログラムをすすめていた。
そのために、彼は、「タフガイ」以前のプログラムで、多くの人体実験に失敗し、凍結されていたプログラム、「ウルトラ」の生き残りの者を抹殺する命令を出した。
実は、マイクは「ウルトラ」で改造に成功した唯一の殺人マシーンだったが、プログラムが凍結した時に、記憶を消されて、この街に送られ、常にCIAに監視されていた。
CIAのタフガイプログラムで改造された殺し屋が、マイクをコンビニに襲うが、彼は無意識のうちに、その2人を殺してしまう。
それを知ったイエーツは、危険な伝染病に街の住人が感染したと街を封鎖して、数十人の殺人マシーンをマイクの元に送った。
何もわからないまま、マイクとフィービーは、殺人マシーンに狙われることになる。

今回も、情けない、それで人を食ったようなジェシー・アイゼンバーグが全開。
そんな彼が、ひとたび暗殺者に襲われると、ジェイソン・ボーン顔負けの反撃に出て、たちまち相手を殺してしまう。
何しろ、最初に襲ってきた2人の男はカップヌードルとスプーンで立ち合ったのだから。
今回の、クリステン・スチュワートは、化粧も薄めで好印象。
早く、あの「トワイライト」シリーズを卒業して、同年代のシェイリーン・ウッドリーのような、幅のある演技を見せて欲しい。

アメリカでは、この映画とほぼ同じ時に「Hitman: Agent 47」という映画が公開されている。
テイストは全く違うのだが、政府の殺人者マシーン計画という、プロットが完全にかぶっている映画を、2日連続で観てしまった。 



45%



ェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワート2人のインタビュー



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エベレスト 3D / Everest 多少ネタバレあり

2015-10-10 | 映画






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出演者たちがすごい。
「ゼロ・ダーク・サーティ」、「ターミネーター:新起動/ジェニシス」のジェイソン・クラーク、「ミルク」、「アメリカン・ギャングスター」のジョシュ・ブローリン、「ナイトクローラー」、「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホール、「ターミネーター4」、「アバター」のサム・ワーシントン、「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「イミテーション・ゲーム」のキーラ・ナイトレイと、渋い主役が出来る人たちばっかり。
そして、僕には何故かいつもちょっと目立つ脇役のマイケル・ケリーもよかった。

1996年にエベレスト登頂隊の悲劇を描いた実話。
登山ガイド会社を経営するロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は、1996年5月のエベレストの登山ツアーのためネパールに到着した。
ツアーメンバーを標高5000メートルのベースキャンプに連れて行き、そこで1か月間の準備をしながら8000メートル近くの第4キャンプまで徐々に登っていった。
高額な費用の掛かるツアーの参加メンバーは、主に医者や弁護士といった高額所得者、またはアウトドア雑誌編集者で半分仕事も兼ねているものが多かった。
異色な参加者では、47歳まで七大陸最高峰のうちエベレストを除く六峰の登頂していた日本人女性や、安い公務員の給料からお金を貯めて、去年途中下山したエベレストに再挑戦している郵便局員などがいた。
いよいよ5月10日、第4キャンプを夜中の12時に出発、途中いくつかのアクシデントで時間を取られ、大半のメンバーが登頂に成功するが、下山をしなけらばならない午後2時をすでに過ぎていた。
そして、大きなブリザードが発生しはじめていた。

アメリカでは通常版と3D版、両方があるのだが、邦題は「エベレスト 3D」となっているので、日本では3D版だけなのかな?
もちろん絶対に3Dで観る作品なのだが。
映像は素晴らしい。白い頂と青い空の雄大なエベレストの景色も、ブリザードが荒れ狂う映像もどちらも大迫力。
もちろん、それぞれの役者の演技もとてもよかった。
中でも、ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジェイク・ギレンホールのからみがよかった。
それに引きかえ、サム・ワーシントンの贅沢な起用のしかた。もったいない。
そして、僕は今回初めて知ったが、エミリー・ワトソンというイギリスの女優さんもいい味出してた。

2時間の中に、上手くエベレストでの出来事が忠実に描かれている。
ベースキャンプでの、わりっとゆったりした生活。
登山者が作る渋滞。(富士山と同じらしい)
違う登山チームのちょっとしたいざこざ。
メンバーの体調、自分の体調への甘い認識。
そして、絶対に下山しなければならない午後2時を守らなかった大きな判断ミス。
また、助かる命を助けるために、くださらなければならない非情な決断が出来なかったことも、命を落とす原因になっている。

結局、ロブのメンバーの12人の内、4人が犠牲者となってしまった。
また、行動を共にしたスコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)のチームからも被害者がでた。
ウィキペディアを見ると、この事故で生き残ったメンバーの内、2人がその後の登山で命を落としているという。
悲惨な事故だが、それだけ山に魅せられた人間たちの物語。 



72%



トリビア
ロブ(ジェイソン・クラーク)の遺体は、2週間後に発見されたが、妻の要請でそのままエベレストに残してある。
また、スティーブ(ジェイク・ギレンホール)の遺体もそのまま山に残されている。


ジョシュ・ブローリンのテレビショーインタビュー


キャスト達のインタビュー



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99ホーム(原題) / 99 Homes

2015-10-09 | 映画






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「ソーシャル・ネットワーク」でブレークした後は、ちょっと頼りなげな「スパイダーマン」が定着してしまったアンドリュー・ガーフィールドが、インパクトのある大きな顔の名悪役マイケル・シャノンを相手に、堂々と渡り合っている。

若いシングルファーザーで、母親の面倒も見ている大工のナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、リーマンショックの煽りを受けて、月々の住宅ローンの支払いを滞り、裁判所から自分が育った家の立ち退きを命じられる。
その翌日警官2人とマイク・カーバー(マイケル・シャノン)という不動産屋が、強引に彼の家に入ってきて2分以内での立ち退きを強要する。
カーバーという男は、ローンで問題のある物件をあさっては、住人を追い出し、担保に入った家を売買して、金を設けているやり手の不動産屋だった。
しかも、担保で取り上げた家のクーラーや家電を密かに盗み出し、それを補充する金を銀行や税金からだまし取っていた。
子供と母親を抱え狭く汚いモーテルで暮らしはじめたナッシュは、自分の大工道具を取り戻そうと訊ねた、カーバー事務所で、ひょんなことから彼の大工の上をかわれ日雇いで雇われる。
ナッシュは、カーバーのところで働くうちに、自分の家を買い戻すお金を稼ぐために、大工よりも金になる、立ち退きを仕切る不動産屋としてのオファーを受ける。
自分と家族を容赦なく追い出した不動産屋の仕事で、今度は2分間で住人を追い出す側に回ったナッシュは、だんだんお金と自己嫌悪に狭間に落ちていく。

前半のナッシュたちが、立ち退きをさせられる場面が、本当にリアル。
このシーンで、「スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドが吹っ飛んでしまい、ナッシュという若者にのり移ってしまってる。
そして、マイケル・シャノンの、憎らしいほどの名演技。
「プレミアム・ラッシュ」で見せた悪役振りと完全にかぶったが、それでも怖い演技だった。
人が、お金のため、自分の幸せだけのために、どれだけ自分を捨てられるか。
リーマンショック以前に、デタラメな説明で家を買わせていた不動産屋と、金利ゼロと半分ごまかすようにして金を貸してた銀行の奴らに観てほしい作品。
一皮むけたアンドリュー・ガーフィールドの次回作が気になる。 



90点




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クーデター / No Escape

2015-10-04 | 映画






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僕が初めて見たオーウェン・ウィルソンのシリアスな映画。
共演は、5代目ジェームス・ボンドのピアース・ブロスナン。

アメリカ人でエンジニアのジャック・ドゥワイヤーは、新しい出向先の東南アジアのある国に家族4人と向かっていた。
実はその17時間前に、アメリカ傀儡の国王と政府を倒すため、反乱軍が国王の暗殺を遂行し、大きな暴動の準備が進められていた。

現地の空港に到着したが、手違いで向かいの車が見つからず途方に暮れていると、飛行機で知り合った、この国を何度も訪れているイギリス人のハモンドが、彼が乗る友人の車をシェアしてくれる。
ジャック一家は、丸一日をかけた長旅の疲れを、外国旅行者が宿泊する高級ホテルで癒した。
翌日、ジャックが、英文の朝刊を買いに街に出ると、大勢の暴徒化した民衆と警官隊の抗争に巻き込まれる。
何とかホテルに戻るが、そこにも外国人、特にアメリカ人を狙った暴徒が、なだれ込んできた。
彼らは外国人と、それをかばうホテルの従業員を次々に殺しはじめた。
ジャックは、同じホテルに宿泊していたハモンドの力も借りて、2人の子供と妻を連れて、屋上まで逃げのびるが、そこにも反乱軍のヘリコプターが来て、屋上に逃げ延びた人たちを機銃掃射する。
彼のとっさの判断で、妻を隣のビルにジャンプさせ、子供たちを放り投げるようにして彼女に渡し、間一髪で暴徒たちから逃れるが、街は暴徒で溢れ、警察は壊滅状態だった。
保護してもらう為に、アメリカ大使館に向かうが、暴徒たち中でも一番凶悪なリーダー格の男が率いるグループに見つかってしまい、妻がレイプされそうになる。
と、どこからか、またハモンドと彼の現地の友人が現れ、彼らを救ってくれる。
ハモンドは、諜報部員で、暴動の原因になったアメリカの大企業が、この国の水源ををコントロールするためのオペレーションに関わっていたという。
アメリカ大使館も破壊されたため、川を渡って隣のベトナムへ逃げるとハモンドが提案するが、またそこにも銃を持った男たちが近づいけ来る。

思ったよりも、ハラハラドキドキの映画だった。
ピアース・ブロスナンは、結構はまり役だったけど、オーウェン・ウィルソンがここまでシリアスなストーリーに合うとは。
いつもの飄々としたコメディとは、全く違く彼が見れた。
少しはシリアスな、今後展開するのかなっと思ったら、彼の次回作って「Masterminds」って出演者から想像がついてしまう、お馬鹿コメディそうだし、その次はあのお馬鹿作品の続編「Zoolander 2」だし、また元のフィールドに戻るらしい。 



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