教師のパット・ソリータ(ブラッドリー・クーパー)は、ある日帰宅すると、妻のニッキと同僚の教師が不倫している現場を見て、相手の男を半殺しにする。
パットは逮捕され、診断の結果躁うつ病と診断されて、心療内科の施設に収容される。
彼は、いわゆるキレやすい性格だったが、この事件を機に、イライラする傾向が顕著になっていた。
やっと退院できたが、両親の監視付という条件が付いていた。
いい年をして、精神科病院から戻ってきた負い目のある彼は、久々に一緒に暮らす両親との関係もギクシャクし、家でも相変わらずキレまっくっていた。
父のパット・シニア(ロバート・デニーロ)は、最近無職になって、今はスポーツ賭博(アメリカでは合法)で、夢であるレストランの開業資金を稼ごうとしていた。
そんな精神不安定な息子と、頑固な夫を、妻のドロレス(ジャッキー・ウィーヴァー)がオロオロしながらも、優しく支えていた。
パットは、まだ夫婦でありながら裁判所から会うことを禁止されているニッキに未練たらたらで、何とか寄りを戻したいと思っている。
前半のブラッドリー・クーパーの目が怖い
若いのに安定した演技力で、ハリウッド若手女優一番のジェニファー・ローレンス
定番の頑固おやじだがちょっと涙もろくなってるロバート・デニーロ
相変わらず早口のクリス・タッカー
そんな彼を励ますために、友人のロニー夫婦が彼を食事に招待する。
そこに居合わせたのが、ロニーの義理の妹のティファニー(ジェニファー・ローレンス)で、彼女は最愛の夫を亡くしてから、精神を病みセックス依存症になった近所でも噂の絶えない女性だった。
初対面にも関わらず夕食の間、自分達の精神状態と、その治療の過程を明け透けに語るパットとティファニー。
その後も、何度か会い、お互いの不幸と境遇を語りながらも、些細なことで喧嘩をはじめる二人。
パットから事あるごとにニッキのことを聞かされるティファニーは、ある日、パットの手紙をニッキに渡して仲を取り持つ代わりに、ダンス大会にパートナーとして出場するように提案する。
今の彼女には最近はじめたダンスが、過去を忘れるための生きがいになっていた。
パットは、渋々と彼女の言うことを聞き、ダンスの練習をはじめる。
ティファニーは、パットと練習を重ねるうちに、だんだん彼に惹かれていく。
パットも、当初はティファニーが預かってくる奥さんからの手紙を欲しいがためのダンスの練習だったが、やはり彼女のことが気になりはじめる。
練習を続け、二人の距離感が微妙になったころ、いよいよダンス大会の当日。
ロニーが、パットの晴れ姿を見せるため、奥さんを連れて会場にやってきた。
動揺したティファニーは、順番を待っている間にバーでウォッカを飲みはじめる...
怒りを抑えるために、毎朝走ってる
ヘミングウェイの小説の結末が気に入らないので、夜中の親の寝室で怒鳴り散らすパット
本は、窓ガラスを割って外に投げつける
インド人のカウンセラーの言うこともあまり聞かない
「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」でブレイクし、ピープル誌で2011年の最もセクシーな男に選ばれた今乗りに乗ってるブラッドリー・クーパー 、また「ハンガー・ゲーム」でブレークし、ルックスも演技力も評価が高いハリウッド大注目の女優ジェニファー・ローレンス主演。
そして、ロバート・デ・ニーロ、クリス・タッカー、ジャッキー・ウィーヴァー、ジュリア・スタイルズという贅沢な俳優陣が脇を固める映画。
すごいのは、アカデミーの主演男優賞(ブラッドリー・クーパー)、主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、助演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、助演女優賞(ジャッキー・ウィーヴァー)の役者への全てタイトルにノミネートされている。31年ぶりの快挙。
ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー、ジェニファー・ローレンスは、演技に定評のある役者だが、そんな中でブラッドリー・クーパーの演技も、とてもよかった。
「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」あたりまでは、チャラチャラしたイケメンというイメージの役ばかりだったが、「The Words」、「Limitless」あたりから、彼の演技力が目立ってきた。
今回は、特に前半の彼の目がすごい。イライラ狂気の目。その少し吊り上がり気味の目がすごく印象に残った。
愛する人に裏切られ、それでも未練を断ち切れない惨めな自分、不安定な生活をする両親、すべてにイライラしてる。だから、目の前に気になる人が出てきても、素直になれない。
そんなパットという男が、だんだん周りのみんなに、そして自分自身にも心を開いていく、とっても共感できる演技。
ロバート・デニーロは、いつもながらいいね。
この年で、また一緒に住むことになった息子と、どう接していいか戸惑う頑固おやじを自然に演じてる。
ぶっきら棒なセリフや仕草の中に、息子、家族、そして友人を愛するパット・シニアがにじみ出てる。
前半、心を病んだパットとティファニーと変に気を遣う仲間とのやり取りに笑わされ、中盤、この物語はどこに行くのか不安にさせられ、そしてホロっと涙を誘うラスト。
いいシナリオと役者がそろった、おすすめの作品。 星は
/5
パットが気になっていろいろちょっかいを出すティファニー
そのくせすぐに喧嘩に
伝統のPhiladelphia Eaglesのゲームでも事件が
ダンスの練習で、徐々にお互いを意識しあうが
5点が出るか
トリビア
レイチェル・マクアダムス、エリザベス・バンクス、ルーニー・マーラ、キルスティン・ダンスト、アンジェリナ・ジョリーが、主役の候補に挙がっていた。
監督のデイビット・ラッセルは、息子が強迫性障害のこともあり、この作品を強くすすめた。