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スティーヴン・スピルバーグ監督、コーエン兄弟脚本、トム・ハンクス主演という、面白くない訳がない映画。
ただ観る前は、東西冷戦時代のスパイの交換の交渉という、ちょっと地味な題材なので、もしかして退屈な作品なのではと、心配だった。
観た後は、いらぬ心配でしたの一言。
ドキドキ感いっぱいの、とってもいい作品でした。
保険関係が専門の弁護士、ドノバン(トム・ハンクス)に、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベルの弁護の依頼が来る。
ソ連のプロパガンダを恐れたアメリカの司法省が、ソ連の容疑者であっても正当な弁護をさせるという、世界に向けたパーフォーマンスだった。
そのため、検察はドノバンに、アベルの知ってる情報を聞き出そうとし、裁判長は最初からアベルを死刑と決めていた。
しかしドノバンは、何の偏見もなくアベルに接し、アメリカ人に対するように、彼を弁護をしていった。
そして、いよいよ最高裁の判決の日に、ドノバンは裁判長の家まで行って、将来アメリカ人がソ連に捕虜になった時に、必ずアベルを使えると説得し、禁固30年に減刑させた。
ドノバンは、敵のスパイを弁護した恥知らずとして、脅迫状で脅されたり、自宅が銃撃される被害を受ける。
しかし、ソ連上空で撃ち落とされたU2偵察機のパイロットがソ連の捕虜になると、政府は彼に人質交換の交渉をさせる。
しかも、政府が表立って動けない非合法な人質交換のため、ドノバンが単独で東ドイツでソ連と交渉しなければならなかった。
交渉の準備中に、ベルリンの壁の建設中に東ベルリンのガールフレンドを西ベルリンに逃がそうとして、東ドイツに捕まった、アメリカの大学院生の存在を知り、パイロットと学生の2対1の人質交換をソ連と東ドイツとはじめる。
やっぱりトム・ハンクスの演技は最高だ。
アベルを演じた、マーク・ライランスという僕にとって無名な役者の飄々とした自然の演技もとっても良かった。
どうも舞台を中心にしてる役者さんらしい。
そして、スピルバーグのカメラの使い方。
一番最初のニューヨークの街、地下鉄のシーンから、何か計算されてるなって思わせるカットではじまる。
そのうち、彼の巧みなカメラワークの中に入ってしまう。
トム・ハンクスが一人で歩く、ベルリンのシーンもそうだった。
結局これと言って何もないのにドキドキさせる。
そして、終盤でキーになる、「チェックポイント・チャーリー」って所、去年ベルリンに行った時に、実際に立ち寄ったが、上手く再現されていた。
もちろんコーエン兄弟の脚本もよかった。
アクションがなく、顛末が分かっているサスペンス。退屈になってしまいそうな題材なのに、客を最後まで引っ張るストーリー。
間違いなくオスカーに絡んでくる作品。
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トリビア
スピルバーグによると、1965年にグレゴリー・ペッグがこの事件に興味を持ち、彼が主演アレック・ギネスがアベルでMGMに話を持って行ったが、ピッグス湾事件でソ連と極度の緊張状態にあった為、制作を躊躇した。
1953年、KGBのスパイが誤って連絡用の5セントを新聞を買うのに使ってしまった為に、FBIは当時から5セントが情報伝達に使われているのを知っていたが、自分たちでは暗号を解けなかった。結局、1957年に、他の件で逮捕したKGBのスパイから、解読法とアベルの名前を入手した。
映画では触れていないがドノバンは、元戦略諜報局という、第二次世界大戦に作られた諜報機関の顧問機関にいた。
制作風景
トム・ハンクスのインタビュー
マーク・ライランスのインタビュー
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