Bunkamuraザ・ミュージアム「風景画の誕生」展を観た。衆目を集めるような有名作品は無いものの、久しぶりに見応えのある面白い企画展に巡り合ったような気がする。
私的に「風景画の歴史」を見せる展覧会は色々観てきたが、「風景画の誕生」に焦点を当てた展覧会は珍しく、ハプスブルグ家の歴史を引き継いだウィーン美術史美術館ならではと思われた。しかし、それは逆に美術史美術館所蔵という制約が、どこか欠落感を覚える展開を見せるが、それでもなお「風景画の誕生」に迫る企画側の工夫が功を奏し、観る者を驚かせ眼を楽しませてくれた。特に「時祷書」ファクシミリ版展示には拍手を送りたい。
展覧会構成は下記の通りである。
第1章 風景画の誕生
第1節 聖書および神話を主題とした作品中に現れる風景
第2節 1年12カ月の月歴中に現れる風景
第3節 牧歌を主題とした作品中に現れる風景
第2章 風景画の展開
第1節 自立的な風景画
第2節 都市景観としての風景画
展覧会の詳細や見どころ紹介などはBunkamuraの公式サイトが良くできているので、そちらを参照していただきたい。ということで、展覧会で私的に目を惹かれた作品を中心に感想を書いていきたいと思う。美術ド素人なので、誤解や間違い等があったらごお許し&ご教授ください。
さて、宗教主題作品の中に背景として現れる風景の例として展示されていたホーホストラーテンの画家《聖母子と聖カタリナと聖バルバラ》は、初期フランドル絵画らしく緻密で繊細な描写が美しい作品である。
ホーホストラーテンの画家《聖母子と聖カタリナと聖バルバラ》(1510年頃)美術史美術館
聖母と聖女たちの背景に描かれた柱の間から風景が見える構図は、ファン・エイク《ロランの聖母》やウェイデン《聖母を描く聖ルカ》の構図を継承したものと思われる。初期フランドル絵画ならではの細部まで描き込む緻密な描写は背景の優れた風景描写だけでなく、聖女たちの細く輝く金髪、聖カタリナの纏う紅い金糸織物、床の木目まで描き込み、聖カテリナの持物である剣の落す影が北方の光を誘う。
ヤン・ファン・エイク《ロランの聖母》(1435年)ルーヴル美術館
宗教場面の背景の窓から見える風景とは違い、ヨアヒム・パティニール(Joachim Patinir , 1480頃–1524)は風景の中に宗教場面を描く。今回の展示作品《聖カタリナの車輪の奇跡》もパノラマ風景の右方に奇跡場面が描かれ、遠景は空気遠近法的に青色に霞んでいる
ヨアヒム・パティニール《聖カタリナの車輪の奇跡》(1515年以前)美術史美術館
パティニールを「初めて風景画家と呼ばれた男」と、デューラーの『ネーデルラント旅日記』を引用し紹介するところなど、まるでファン・マンデル『画家の書』の「北方画家列伝」論法をなぞるようで思わず微笑してしまったが、確かにデューラーはパティニール親方を「良き風景画家」と書いている。
デューラーが描いたパティニールの肖像画(1521年)ワイマール美術館
だとしたら、今回不在のドナウ派のアルブレヒト・アルトドルファー(Albrecht Altdorfer, 1480頃‐1538)の存在を美術ド素人はどう考えれば良いのだろうか??
アルブレヒト・アルトドルファー《磔刑図》(1512年)カッセル美術館
気になったのが紹介文に「牧歌」の主題などとの結びつき・・・とあり、今「牧歌」系の曲を練習しているのでそれに反応してしまいました(笑
ところで、花さまは「琳派」何かご覧になる予定はありますか?
至るところで「琳派」が目白押しですが・・・
で、momoさんは楽曲関連で「牧歌」ですかぁ~♪ momoさんの「牧歌」演奏の方をお聴きしたいですわ(#^.^#)
さて、「琳派」ですが、京都国立博物館が派手に開催するし、フリーア美術館もありですよね。でも、日程的に難しくて...(涙)。東京あたりなら何とかなんですがねぇ。momoさんは行かれるのですか?