「まもなくご注文の寿司が到着します」
僕らは会話をやめて箸を置いて身構えた。期待の後に重苦しい空気が漂った。あれ、あれ?
まもなく、まもなく、まもなく……。周辺にこだまする「まもなく」が僕らのそれを追い越してしあわせを届けているではないか。
「仕方がないね」
「いや。コールしよう」
「はい。エイリアン寿司本店です」
「第4レーンの黄緑ですけど注文の品が来ないんですが……」
「はい! 今出ました!」
チューチューチュー、
まもなくネズミがマグロ尽くしを引っ張ってレーンを走ってきた。
「おー、来た来た!」
皿を引き取ると小さくチュッと鳴いた。
「よしよし。チップだよ」
チップをくわえるとネズミは満足して駆けていった。
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