
虫かごから墓場まで、空メールを飛ばして遊ぶのは荒削りな人格の遊戯には違いなかった。だからといって本棚にきっちりと納まったやからが隠し持つ宝物を放課後のランドセルから見つけ出すことは、火事場の中を抜け出した昆虫が向かった海の色を集めてキャラメールを作り出すことよりも難しいことでもあったのだし。
ねえ、そうよね。優雅な無駄話が廊下を駆けていく。そうかそうか。そいつはぐだぐだ、くだらない、眠たい、もったいない無駄ほど優雅な遊戯はないのだ。
天国のどこにいても恥じることなどないように戦国の鴉は全力を尽くして後かたづけしながらイラストレーターになった。知らず知らずにクレーターに潜み、恨みを晴らそうとする武士の暮らし向きを、イラスト鴉はしっかりと描写した。
「だって他にするべきことがあるかい?」
揺らぎのないガラス細工の中でしっとりと暮らす大根の坊主をイラスト鴉はしっかりと描写してみせた。
「ほんのりとお茶の子さ」
のし上がり鴉はテラスにまで飛翔することに成功する。たたえられ持ち上げられ、かつてない光をあびて鴉が初めてドレスアップした夜に。
「今後の行き先を決めるがよい」
おみくじは炭火で焼いた阿弥陀くじだった。
五月雨と神頼みから逃れようとしゅんさんは逃避の阿弥陀くじを渡った。
阿弥陀の先に花火がまっている。世界はそこからひらけている。阿弥陀の先にドミノがまっている。世界はそこから始まる。弓を構えた鬼がまっている。待ちかまえ、待ち伏せながら、世界を切っている。いやらしく散りばめられた罠の向こうに、踏み倒された花がまっている。海よりも深い髭を生やしたおじいさんがまちかねていて、紙芝居が始まる。何もなくひらけた場所があると思えば、テナントを募っている。
ドリンクバーはいつまで経ってもやってこない。確かに注文したはずなのにいつまで経ってもこないとはおかしなことがあるものだ。
「いつまで経ってもこないじゃないか」
「既に解決済みの問題です」
阿弥陀の先の虫の声に愕然とするともう手の中にあるのかもしれないと改めて自分の手を開いてみる。そうしている間にも、テナントは次々と開かれていく。
「きみたち。踏み越えていきなさい。蝉の一生のような果てしない放物線を」
逃避の阿弥陀を渡る内に住み慣れた町を離れて組違いのナンバーの中をさまよいながら、血みどろの雷が鳴ると恐怖のあまりにへそとこそ泥を押さえ間違えたのだったが、そこにはこそ泥の産みの親もいたために、意味深く笑みを浮かべたのだったし、闇を開くためにははみだすことも必要だったのだと主張して、顔をしかめようものなら飲み込みの悪い人だなと言わんばかりに突然、珈琲をぶっかけて染み抜きの準備に入ったのだ。
「意味をなくしたかわいそうな君のために」
「変なおせっかいはよしてください」
「手短にやるとしよう。寂しさの分解点を超えるまでに」
「期限を切ったつもりですか? 本当にそれは短いんですか?」
「富を地味に語るとしたら、意味は押し戻され、迷子にもなるものでしょう」
阿弥陀の先はよじれによじれていて、その先にはポトフが立っていた。
「さあ、先生。そろそろ上がった方がいいです。体がふやけてしまうよ」
「ああ、なんだか。もう頭がぼーっとしてきたよ」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます