JSP_Blog

ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

自然なこと

2015-03-02 11:19:38 | 日記
 自然を守ろう、と言う時の「自然」とは一体何を指すのか。政治家がヘマをするとかキナ臭い事件が勃発するとか、そんな出来事が起きない平和な日も年に何回か奇跡のように現れるわけだが、そんな日には自然保護団体の活動などがニュースになったりする。
 
 日本人の場合、クジラ肉を食べて育った人も多い。牛は良くてクジラはいけない、という自然保護の主旨がストンと腑に落ちる人が多いわけではない。例えば山林の樹木を保護する活動について考えると、何もせず放っておくよりは間伐をして光と風が通る道筋を作ってやったほうが木々がすくすく育つ。日本の里山は人の手によって長い時間かけて育成されて来たものだ。「自然」が全く人の手を介さないものと考えて林業の営みを止めてしまえば、日本の山林は荒れ放題となった後、海底のサンゴ礁が失われて行くようにはげ山となって行くことだろう。
 
 人の身の回りにいて利用している植物や動物の多くは、そもそもの形から現在の形になるように人の手によって造り変えて来たものが多い。もともと自然界に存在する多くの動植物は互いに依存しあって形を変えている。花と昆虫の関係などを聞くと植物の賢さに驚くことがある。現存する自然は多かれ少なかれ何らかの依存関係をもって今の形になっている。つまり、人が作用した動植物もまた、自然の一部と考えることが出来る。
 
 ところが厄介なのは科学技術の進歩がもたらした遺伝子組み換え作物などの農作物や新しいタイプの家畜たちをどう考えれば良いか。これだけでも迷うところだったが、技術はさらに進歩してピンポイントで遺伝子を操作する「ゲノム編集」という技術が実用化されつつあるという。
 
 従来の遺伝子組み換え技術は別の種が持っている機能をあてにして別の種の遺伝子をまるごと合体させてしまう荒業だったと言える。実際には狙った通りに行かず何回も試行錯誤を繰り返して結果が出るまでに何十年もかかるということが繰り返されてきた。ところがこの「ゲノム編集」では欲しい機能に該当する部分の遺伝子(塩基対配列)を切ったり貼ったりして追加することによって、ほぼ狙った通りの機能を即座に作り上げることが出来る。しかも遺伝子組み換えのようなとんでもない別の種との交配で生まれる従来自然界に存在しなかった新品種を生み出す技術ではないため予想を超えた危険の発生可能性も少ないだろう。
 
 豆腐や納豆のパッケージに「遺伝子組み換えでない」大豆を使用しているなどという表示が書かれているのを目安に選んでいる人も多いと思うが、今後はあらゆる食品に「ゲノム編集」されている食材かどうかが謳われる時代になるだろう。特にアメリカではこの技術の研究が進んでいるらしいので、TPPが動き出せば「遺伝子操作」で出来上がった飼料を食べて育った「ゲノム編集」で肉量が2倍に増えたビーフなどがアメリカから格安でどんどん入ってくることも予想される。
 
 人間も自然の一部だと捉えれば、人間の行って来たことの結果もまた、自然なこと、と考えることができる。その文脈で考えればいずれは「ゲノム編集」で生まれて来るスーパーマンもまた自然なことだし、原発事故も核戦争も自然なことだろう。自然を守ろう、と言う時の「自然」とは一体何を指すのか、それぞれがしっかり考えて答えを出して行かなければならない。(三)
 
 
monipet
  動物病院の犬猫の見守りをサポート
  病院を離れる夜間でも安心

ASSE/CORPA
  センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
  「できたらいいな」を「できる」に

OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
  短納期HEMS開発をサポート!

GuruPlug
  カードサイズ スマートサーバ

株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする