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IMジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

傘がない

2014-04-17 09:00:00 | 日記
 井上陽水が『傘がない』を歌ったのが1972年だというから、それからすでに40年以上が過ぎている。なるほどそれだけ経っていれば世の中も変わって来るものだと思わないでもない。世界がどんなに大変なことになっていても、自分には今傘がないことが問題。しかも彼女に会いに行くための傘がないというのは大問題だというなげきの言葉は当時多くの共感を呼んだ。

 
 先日、わが社の新入社員の1人が外出するのを見送ったが、その日は急な雨の日だった。傘を持っているのかと聞くと持っていないという。すかさず誰かが自分のものを貸すと申し出たが、本人はこともなげにコンビニで買うから大丈夫だと言って出て行った。そういえばわが家も玄関の傘立てには絶えず息子が買ってきたビニール傘が溢れかえっている。「傘がない」ことは、まったく問題ではないのである。手に入らない、ないしは手に入りにくい物があることによって、どうやってそれを手に入れればよいか、どうやってその代替をすればいいか、つきつめて思索したり周囲に協力を求めたりできていたチャンスが失われてしまったのではないか。

 日々の生活に必要な物はコンビニで購入できるし、かなり特殊なものであっても今やネットを検索すればほぼ何でも手に入れられる環境が用意されている。無いものを自分で造り出す工夫をしたり苦労したりするより、買えばよい。その方が簡単だ。そのための金は必要なので、なるべく楽をして高い収入を得れば良い。そう考える傾向が世間に広がっても何ら不思議ではない。無いものを代替して生み出す工夫が出来る知恵を持っている人より、対象物を手に入れる場所や方法を知っている人が高い評価を得る傾向がある。

 効率とか時間の無駄に関する議論ともどこか通じる。工夫して生み出す時間を何時間も何日もかけるなら、多少金がかかっても買ってしまったほうが良い。総合的に見ればそのほうが安い。だからそれを買えるだけの金を稼ごう。そんな流れだ。わがソフトウェア業界の企業買収などは、まさにこの発想が形になったものだ。自分たちが変わって行って新しい発想ができる状況になったり新しい技術を身に付けるには時間がかかる。だから新しい発想ができて新しい技術を持っている企業を買収してしまえ、というわけだ。傘がないのでコンビニで買うという気分と大差ない。

 ただし、最近になって根本にある豊かさの指標が変化し始めている。今あるものを大切にしようという考え方だ。英語でsustainabilityという言葉をあちこちでよく目にするようになったのではないか。日本語にすると持続可能性と訳すそうだ。効率が悪く、時間がかかるかもしれないが、今利用できる資源をうまく使う工夫をしてより長く平和に暮らして行こうという気持ちが込められている。自分たち自身が変わって行くことを求められている考え方だとも言える。

 何かがない時に、それを探してすぐ買ってしまうのではなく、身近にある何かで代用してみたり、自分で作ってしまってみたり、そんな工夫や造る努力が、長く忘れていた能力を呼び覚ますきっかけになるかもしれない。多くの人が物質的な豊かさとは異なる豊かさを楽しむことができるようになる頃には、「傘がない」状況も楽しく乗り越えてしまう歌が歌われていることだろう。(三)


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株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
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