年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

神無月

2015-10-05 | 俳句&和歌

◇◇◇       神無月
 10月に入り、新聞の川崎版に秋本番を迎える風物として王禅寺の色づく禅師丸柿の記事が載った。「柿生」の地名の由来ともなった禅師丸柿、歴史も古く慶安の頃(1650年)には池上本門寺の御会式で江戸の水菓子として江戸っ子にもてはやされたという。
 実を云うと美味いとは云いかねる。小ぶりで堅くて甘みは淡泊で種がバカでかい。果実の秋、食欲の秋、味覚は様々である。その素朴な渋っぽさに郷愁を感じて楽しむ人もあろう。
 10月、暦には神無月ともある。八百万の神々が重要会議で出雲大社に集結するので諸国に神様の姿がなくなるので神の居ない月=神無月だとか。何を議論したのか……人間とは何か、人の運命とは何か、など難しい哲学を語りあった。
 特に重要な話題は誰と誰を結婚させるか、カップルを決めて「お国のために子供を産んでもらうこと」などであったという。出雲大社が縁結びの神様と云われる由縁である。秋の夜長である。菅官房長官も曰く「ママさんたちがたくさん産んで国家に貢献していただければ」。折りも折、国家に貢献とは…… 産めよ増やせの苦い時代を思い出した方もあったであろう。


  柿の葉はゆっくり静かに慌てずに夏の陽落とし薄紅に

  丸かじり柿食う作法も変わりけり 皮むき切りて楊子にさして


 

   球場を中畑が去る神無月

   神無月こっそり色づく禅師丸


 

※お会式(おえしき)=日蓮聖人の命日に行われる法要
※官房長官=9月29日 福山雅治・吹石一恵カップルについてのコメント
※神無月(かんなづき・かむなづき)=旧暦10月の異称。冬の季語(ウ~ン)
                                   風寒し破れ障子の神無月   宗鑑
※ 薄紅(うすくれない)=「くれない」は古い読み方 ややくすんだ紅色