年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

八十八夜

2012-05-03 | フォトエッセイ&短歌

 5月1日は立春から数えて88日目の「八十八夜(はちじゅうはちや)」で霜の心配も無くなり茶摘みが始まる。「新茶」ともなれば値段も張るが馥郁(ふくいく)たる風味は逸品である。アルコール大好き人間の私は日本酒がどうのビールだワインだとご託を並べるが、最後は「日本茶」に勝る物はないというのが持論である。
 去年、静岡茶は福島第一原発の事故によって規制値を超える放射性セシウムが検出され深刻な打撃を受けた。神頼みではないが、茶摘み式の神事を思わず真剣に見ざるを得なかった。今年の茶葉は放射能汚染はないのか。紺がすりに茜(あかね)だすき姿の「茶摘女」は淡緑の茶畑に見事に映えていた。茶と傾斜地を守る茶畑は日本の風景である。 
 5月1日はメーデー(May Day)でもある。万国の労働者の祭典で「労働者が団結して権利を要求する日」である。起源はアメリカのシカゴの労働者、1886年5月1日「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は、おれたちの好きなことのために」を目標に行なわれたという。
 日本の第1回のメーデーは1920年、1万人の労働者が結集して上野公園で行われた。「8時間労働」「失業の防止」「最低賃金」をスローガンに立ちあがった。それから、すでに1世紀も経ったが、どれ程の前進があったのか。労働条件や労働戦線は更に厳しい局面にたっている。
 約120万人を組織している日本労働組合総連合会(連合)は何故か4月28日、代々木公園でメーデー中央大会を開催している。挨拶に登壇した野田佳彦首相は何としても消費増税法案を実現させると」と決意を述べた。原発再稼働をどうする!全国民が注視する原発問題に触れることは無かった。
 連合の基幹労組(鉄鋼、造船、重機などの労働組合)は関西経済連合会と「原子力発電所の再稼働を求める共同声明」をまとめ政府に原発再稼働を求める事になっている。労働組合が経営側と一体となって原発再稼働に乗り出す初めての事となる。
 電機労連幹部は「原発事故の原因がはっきりしていないのに再稼働反対はするべきではない」とも云っている。せめて「事故原因の解明までは再稼働反対」を言えないのか!意見の相違というレベルではなく、労組を名乗る裏切りだと思う。絶望的なダラ幹労働貴族の現実である。
 一方、5月1日の全国労働組合総連合(全労連)のメーデースローガンは消費税・原発・TPP反対と旗幟鮮明でる。どちらが、国民・労働者の声を反映しているかは論を待たない。モスグリーンの柔らかなケヤキの若葉がサワサワと揺れ動いていた。

<5.1代々木の杜:NHK前の路を行くにデモ行進>

  原発に消費増税TPPストップ!させると二万の拳が

  メーデーの年金者多くデモ隊は歩みもエコでゆったりと進む

  見上げれば堅きケヤキも和らぎて旗幟に倣って若葉も揺れる

  電波塔NHKの巨大なる眼下の集会映すことなし

  メーデーも八十三回の歴史ありメーデー事件知る人も減る

  赤旗靡く代々木の杜は米軍のワシントンハイツの過去を刻む