年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

目黒川

2012-04-14 | フォトエッセイ&短歌

 今年は3月に厳しい寒さがぶり返し桜前線の北上がスローペースで、気象庁や測候所などの「予想満開日」が発表出来ない地域が多かった。例年の桜祭りに蕾がようやく緩み始めるなど、花見の日程に苦労した「宴会係」もいた事だろう。ところが、この予想満開日の報道を任されているメディアがとんでもないドジを踏んだ。
 10日付の毎日新聞(「天然記念物を訪ねて」=土浦市小野の翠巌山向上庵(すいがんざんこうじょうあん)の県天然記念物のシダレザクラ)茨城県版の記事。満開の写真に『…たどりついた寺院の境内は花見客でにぎわっていた…石段を上るにつれて、シダレザクラの角度が違って見え、樹姿の向きと高さが変化するので面白い…』と記者のコメントが記されている。ところが、このシダレザクラは昨年9月の台風で根元から折れ、現存していないので、捏造であることがバレテしまった。記者は向上庵を訪れていないし、サクラが咲いているか、  どうかの確認もせずに記事を執筆したということだ。もし、桜が健在だったら向上庵の風物詩として洒落たコラムになっていたであろうに、お気の毒というしかない。検察の証拠捏造も跡を絶たないご時世だからサクラ如きは可愛いものであるが、マス・メディアの報道にはユメユメ信用することなく眉に唾してかからなければならない。
 そんな訳で例年の1週間遅れの12日に目黒川の散策花見に行った。中目黒から目黒不動前駅までの約3㎞、春風に吹雪き始めたサクラのトンネルを歩いていると屋形船が登ってくる。「目黒川花見クルーズ」があるとは知らなかった。以前に比べれば都の取り組みもあって汚水臭はずいぶん無くなったが、それでも若干の悪臭が鼻をかすめる。ちなみに当日得た知識だが、新宿区上落合にある落合水再生センターの高度処理水を送水管により1日約3万トンを目黒川に流し、清流の目黒川を目指しているとか。

<目黒川を被うサクラのトンネル。川面には散った花弁が渦をつくっている>

  焼き鳥の香りと花片こき混ぜて目黒界隈昼下がりなり
  
  コンクリに閉ざされし川緑なく桜吹雪に粒砂まじりて
  
  リュウマチの友逝く病舎桜越し『ろくでなし』歌った歌姫はなし
  
  太鼓橋江戸名勝の桜狩 行人坂を登れば富士見

  目黒川風吹き抜けて舟登る花弁はゆるりと左右に分かれ