年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

陽射し<7>化粧宣言

2010-03-24 | フォトエッセイ&短歌
 春の陽気が2、3日続き、平年より1週間も早くサクラの開花宣言が関東地方の各地で出されている。堅い褐色の不細工な蕾が膨らみ、薄いピンクの珠のような花が開く様は感動ものだ。しばらくすると燃え立つ満開の花盛りを迎え、吹雪となって散っていく。
 子供の頃の記憶である。1日の入学式に校長は開花宣言に触れながら祝辞を述べ、始業式には満開になった。最初の授業はサクラ散る花びらでフラワーリングを作って隣座席の女の子と交換すること事だった。活発な子の花輪は大きく、動きの遅い穏やかな子の花輪は小さかった。先生はそんな花輪の大きさを見て生徒の特性でも見ていたのであろうか。いずれにしろ「サヨウナラ」の頃には教室の床はピンクの絨毯であった。歩くと花びらが舞い上がった。

<1木に5~6くらい花をつけると開花というのだそうだ。後、数時間で開花宣言>

 宣言が出るのはサクラだけではない。富士吉田市では「富士山初雪化粧宣言」を出している。今年というか、今期、山頂にうっすらと冠雪が確認出来た10月10日をもって初雪化粧宣言を出したという。霊峰富士のふもとの街の宣言で粋な計らいである。
 春、山肌に出現する農鳥に田植えの時期を知り、山裾の涼しげなススキの穂の揺れに秋風を感じる。厳冬期ともなれば、青い空に白く悠然とそびえ雪煙をなびかせる。富士山に自然の厳しさと自然に対して畏敬の念を持っている現れでしょうか。
 そろそろ山肌に農鳥の影が浮かびあがる頃だが、まだ富士山はまだ深い雪である。しかし厳しい雪の表情はなく穏やかな春の雪となっている。

<彼岸が過ぎ、麓では桜が咲く春の訪れだ。農鳥宣言も近いかもしれない>

 水ぬるむ池の鯉、どうした事か哀れその生涯を終わってしまった。佳人薄命という。細身の白い肌に僅かな朱の斑紋を浮かび上がらせる綺麗な鯉だった。
 亀がユラユラと彼女を抱きかかえる行きつ戻りつしている。何とか料理して噛み付こうとしているのか、悲しみをいやしている惜別なのか。

<何とも深刻な事態だが、亀さんのユーモラスな動きが微笑ましい>