昼になって、富士山の初冠雪は溶けてしまった。儚い初冠雪だった。
それもそのはず。昨日と打って変わって暖かい。暑いくらいだ。太陽の力はすごくて雪を見事に消してしまったのだ。朝から数時間の初冠雪を観れたことはラッキーだったのかもしれない。
「おとうしゃん。アタシは日向ぼっこしているよ」
「お前は、単に寝ているだけだろ」
「それより、ご飯が入っていないよ。どういうことなの」
「食べ過ぎ、太り好き。だからだめ」
「じゃ、こんなところにおやつの茶碗置いておかないでよ」
「空の器を見てダイエットしなよ。効果的だよ」
「へん。こうしてやる」とラウラは器を蹴飛ばした。