経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

一生単位の経済性

2009年09月17日 | Weblog
ユーターン、脱サラ後2年目に作った我が家。
その後84水害、何度かの台風直撃、7年前の大地震、
その都度一時しのぎの補修をしたものの、もう限界。
床が抜け雨漏りが止まらない。
それで全面リニューアルしたのだが、それがほぼ完了した。


昨日、この手面倒な仕事を手がけくれた建設会社、
Y組のY会長が挨拶にみえた。
こんな小さな仕事に、わざわざと感服する。


この家は28年前、別の建設会社Fに作ってもらった。
そのとき、見積もりが高いという理由でふるい落としたのがこのY組だ。

いやはや、コンサルタントとしての選択眼を問われても仕方ない。
赤面の至りである。恥ずかしい。

言い訳はこうだ。
脱サラ直後で先の稼ぎの見通しもない、といった
まさに合理的、経済的理由。だがその結果はどうか。

工事中、F社とは、なにやかやとトラブルや問題が発生。
そのせいか、このF建設の社長とは、むろん営業も
支払いの精算が終わって以来、28年間一度も顔を見せない。

何か用事があって電話すると奥さんか事務員がでて、
「社長は現場ですが」、の返事でそのまま。

家を造って、1年もたたない頃、たまたま地元の銀行の
経済セミナーに招かれ、講演。立食パーティでY社長に再会。
私より10歳ぐらい年長のYさんは読書好き。
とりわけ経済の話が好きな人である。
それがきっかけで、少し愚痴を話した。
以来水害、台風、大地震の復旧工事やメンテ、みなY組だ。

Y組の営業担当は、皆監督さんを兼務している。
そして細かい仕事でもけしていやがらず相談に乗ってくれる。
その都度、自分の選球眼が金銭を物差しであったこと、
後悔し赤面している。


バブルに入り建設不況、多くの建設会社はリニューアルに進出。
だが景気が戻ると多くはリニューアル事業からほとんど手を引いた。
Y組は、それ以前からアフターと追加工事、リニューアルなど
細かい仕事をこつこつやり続けているのである。


最初にきちんとした家を建てていないと、
後からのリニューアルも難しくなり、高くつき、
結局一生を通したら高い買い物になる。
だから施工主の一生を通して家に関する
全体投資の経済性を考えることが、大事、
というのが彼の経営哲学である。