奈良県には、かつて藤原京があった場所を囲む「大和三山」と呼ばれる三つの山があります。その大和三山の一つである「天香久山」は、天から降ってきたという伝説が今も残る場所です。
今回は、国有林として自然そのままの姿を残し、大昔から聖地として愛されてきた「天香久山」を紹介したいと思います。
今回は、東側から上りました。ここからは、四季折々の木々や草花が楽しめる「万葉の森」があり、整備された道を陽光を体にいっぱい浴びながらゆっくり散策することができます。散策するには、とても気持ちのいい場所です。登山道を15分ほど登っていくと、あっという間に山頂にたどり着き、開けたスペースの片隅にひっそりと国常立神社が鎮座しています。2つの小さな社殿には日本神話で最初に登場する根源神・国常立神、水や雨を司る・高靇神がそれぞれ祀られています。
社殿の前には雨請いの際に使われたとされる壷が埋められており、旱魃時にこの壷の中の水を新しい水に取り替えると雨が降るとのことだそうです。
「天香久山」の見所はこれだけではありません。標高152.4メートルと低山ではありますが、謎多き巨石が点在しています。太陽が木々に遮られた鬱蒼とした森の中を歩いていると、面妖な巨石群を見ることができます。
「月の誕生石」なるロマンチックな名をもつ巨石は、伝承によると最初は人が抱えれるほどの丸い石が、どんどん大きくなりやがてはお月様を産んだといわれる巨石なのだそうです。月の誕生石に残る白い斑点は、お月様が産まれた際の足跡だという伝承があるようです。
近くにある「蛇つなぎ石」は、岩肌に幾筋もの白い蛇のような細長い筋が入っており、雨請い信仰の対象である竜王(大蛇)を繋ぎ置いたともいわれる物騒な伝承が残る巨石です。
大昔から聖地として愛されてきた「天香久山」は、とても不思議な山でした!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます