先日、ホワイトデーのお返しに夫からもらった洋菓子が曰くつきのものだ、ということを書いた。そのことについては後日とお約束していたので、ではどういう話だったか、である。
私は栗を使ったお菓子が好きだ。そのまんまの甘栗も好きだし、和菓子の栗かのこも栗の落雁も。ケーキではモンブラン、パフェならマロンパフェやマロンシャンテリー等に目がなかった。歳を重ねるにつれて、甘いものがいくらでもOKというわけにはいかなくなったが、これはまだ独身だった頃のこと。
曰くつきの洋菓子とはマロングラッセである。
私が「マロングラッセが好き!」と言ったところ、夫は(当時はまだ夫ではなかったけれど)とても得意そうに、「いいものを買ってきてあげたよ。」と差し出した。
開けてみるとなんとブロークンのマロングラッセである。1個ずつ綺麗に包んであるのではなく、壊れ煎餅のようにご家庭用のお買い得袋入り(一応袋には赤いリボンがついていた。)である。
釣った魚に餌はやらないというのかどうか、まだお付き合いしていた頃のことである。うーん、それはないんじゃないの、と20代の私は深く傷ついた。
夫は単純に、リーズナブルな値段で好きなものが沢山食べられるのだから一挙両得、どうせお腹に入ってしまえば同じなのだし、包装なんて不必要。ノープロブレム、実質的に沢山入ったこちらの方が絶対喜ばれる!と思ったようだ。「だって、倍の量が入っているんだよ!単純に多いか少ないかの問題であって、女の価値とは全く関係ないじゃない!」とはその時の夫の弁である。
けれど、私にとってマロングラッセたるもの1つずつ丁寧に包まれたまるまる1個のもの。そんなマロングラッセを頂くから、もったいなくも美味しくて優雅な気持ちになれるのであって、包装もされていない欠けたマロングラッセをいくつ食べてみてもそんなに幸せにならない、と言ったら贅沢だろうか。
今思えば全くエコではないのだけれど・・・。「そうですか、私はブロークンで十分な安い女ですよね!」とイジケてしまったのだ。
そんなわけで、以来マロングラッセを見る度にその時のことを思い出す。
夫の名誉のために、今回のホワイトデーに手にしたのは、まるまる1個のマロングラッセが綺麗に包まれた贈答用のものであったことを明記しておきたい。
昨日に続き、今朝もまだ気温が低かった。それでも日中は少しずつお天気が良くなって青空が見えてきた。7割方花開いて今が見頃な桜の花は、青空をバックにすると、何より映えて美しい。
職場では引継の準備やら年度末・年度始めの事務処理等で落ち着かない日々が続いている。何十回も繰り返してきた季節―お世話になった沢山の方たちとの別れと、これからお世話になるだろう方たちとの新しい出逢いが待っているちょっと高揚する季節―である。
私は栗を使ったお菓子が好きだ。そのまんまの甘栗も好きだし、和菓子の栗かのこも栗の落雁も。ケーキではモンブラン、パフェならマロンパフェやマロンシャンテリー等に目がなかった。歳を重ねるにつれて、甘いものがいくらでもOKというわけにはいかなくなったが、これはまだ独身だった頃のこと。
曰くつきの洋菓子とはマロングラッセである。
私が「マロングラッセが好き!」と言ったところ、夫は(当時はまだ夫ではなかったけれど)とても得意そうに、「いいものを買ってきてあげたよ。」と差し出した。
開けてみるとなんとブロークンのマロングラッセである。1個ずつ綺麗に包んであるのではなく、壊れ煎餅のようにご家庭用のお買い得袋入り(一応袋には赤いリボンがついていた。)である。
釣った魚に餌はやらないというのかどうか、まだお付き合いしていた頃のことである。うーん、それはないんじゃないの、と20代の私は深く傷ついた。
夫は単純に、リーズナブルな値段で好きなものが沢山食べられるのだから一挙両得、どうせお腹に入ってしまえば同じなのだし、包装なんて不必要。ノープロブレム、実質的に沢山入ったこちらの方が絶対喜ばれる!と思ったようだ。「だって、倍の量が入っているんだよ!単純に多いか少ないかの問題であって、女の価値とは全く関係ないじゃない!」とはその時の夫の弁である。
けれど、私にとってマロングラッセたるもの1つずつ丁寧に包まれたまるまる1個のもの。そんなマロングラッセを頂くから、もったいなくも美味しくて優雅な気持ちになれるのであって、包装もされていない欠けたマロングラッセをいくつ食べてみてもそんなに幸せにならない、と言ったら贅沢だろうか。
今思えば全くエコではないのだけれど・・・。「そうですか、私はブロークンで十分な安い女ですよね!」とイジケてしまったのだ。
そんなわけで、以来マロングラッセを見る度にその時のことを思い出す。
夫の名誉のために、今回のホワイトデーに手にしたのは、まるまる1個のマロングラッセが綺麗に包まれた贈答用のものであったことを明記しておきたい。
昨日に続き、今朝もまだ気温が低かった。それでも日中は少しずつお天気が良くなって青空が見えてきた。7割方花開いて今が見頃な桜の花は、青空をバックにすると、何より映えて美しい。
職場では引継の準備やら年度末・年度始めの事務処理等で落ち着かない日々が続いている。何十回も繰り返してきた季節―お世話になった沢山の方たちとの別れと、これからお世話になるだろう方たちとの新しい出逢いが待っているちょっと高揚する季節―である。