ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.6.14 誕生日の旅は、TOJIでいのちの洗濯

2019-06-14 20:51:58 | 

 このまま体調不良が続いたら・・・と、一昨日の夜までかなり心配だったけれど、ようやく底無し沼のようなだるさとやる気の無さが薄紙を剥ぐように抜け始めた。それでも手足の痺れと痛みは全く軽減されず、また手袋のお世話になっている。
 昨日は朝から都内横断出張で午前・午後と会議、夕方職場に戻って若干残業をし、もろもろ片付けてから帰宅した。

 今日から誕生日旅スタート。1月の結婚記念日旅で2泊したホテルがとても気に入ったので、今回は3泊のプランを予約し、休日出勤の代休も当て込んで、温泉でひたすらまったり、心と身体に栄養を・・・、を楽しみに副作用に耐えて過ごしてきた。思うに国内のホテルに3泊する旅行というのは初めてではなかろうか。


 いつもと同じ時間に起床、朝食の支度を終えて、ルーティンの瞑想ヨーガで心を落ち着け、準備万端タクシーを呼ぶ。いざ出発!と乗り込んで、車が家の前のロータリーを出ようとしたところで、忘れ物大王が「あ、止まってください!忘れ物」とのたまう。嗚呼、またですか・・・とがっくり。

 忘れ物を取りに走った夫がいかに忘れ物大王であるかという愚痴を運転手さんにお話しするも、なかなか戻ってこない。もしや以前あったように、実は鞄に入っていました、というのでは・・・と思ったが、そうでもなかったらしい。私が調べた電車より1台早めに乗ると言いながら、出がけの直前までPCで遊んでいるからいけないのである。ドキドキしたけれど、乗る予定の電車が若干遅れていてセーフだった。

 JRに乗り換えて小一時間、1月に乗ったのと同じ時刻のスーパービュー踊り子号に乗り込む。前回は土曜日発で海側の席が予約出来なかったけれど、今回はばっちり海側をキープ。驚いたことに海側の席は満席、山側の席はガラガラだった。こんなにアンバランスで大丈夫かしら、とちょっと心配になる。

 夫は特急乗換駅で既にカロリーの高そうなスイーツ系のドリンクを摂ったのに、座ってほどなくして「今度はなんだかお腹が空いたなあ」と、お菓子やらパンやら買い込んでくる(売店のある車両を予約しているところが実にそつがない。)。“今日も元気だ、なんでも美味い”人。羨ましい限りである。ようやく下痢から脱し、快腸になった私だが、ここで冷たい物やら食べ過ぎやらしたらせっかくの旅がぶち壊しである。ぐっと堪えて読書を続け、文庫本1冊読み終える。

 終点まで2時間半弱の乗車時間である。朝、家を出た時、お天気は良く気温が高くなりそうだったが、明日、こちらの予報は大雨とのこと。残念ながら全国的にお天気は下り坂で、海の色、空の色がいまいち冴えないのが残念。大島・新島・利島がご覧になれます、のアナウンスを聞き終えると、いよいよ到着も近い。
 前回は駅のホームで水仙の花たちが迎えてくれたが、今回はあじさい祭りの真っ只中である。変わった品種の紫陽花の鉢の出迎えに気分が華やぐ。

 駅周辺も様子が分かっているので、さてランチはどこで頂こうかと、気になっていたお店をいくつか廻るが、結局、前回もお世話になったラーメン屋さんでエビ塩味のラーメンを美味しく頂く。前回は厨房にいた店主が、接客から調理から会計から一人でフル回転。しかもカウンターもテーブルも小上がりも満席。注文もなかなか取りに来られないてんてこ舞いのご様子で気の毒なほどだった。
 コンビニで買い物を済ませて、明後日の半日観光バスの予約をし、ホテルのシャトルバスのお迎えを待つ。なんと私達夫婦2人の貸し切りだった。

 途中ペリーロードでは、川縁に咲き誇る満開の紫陽花の大輪さに圧倒される。人の顔の大きさほどあるものも。
ホテルエントランスでは前回もお世話になった年配のベルマンK さんが笑顔で出迎えてくれる。夏の制服がとてもお似合いで、夫は「いや、またお会い出来て」と楽しそうに話している。私も「5ヶ月ぶりでまたお世話になります。」とご挨拶。
 チェックインで「お誕生日とのこと、ジュニアスイートルームにアップグレードさせて頂きました。」と言われて、思わず笑顔に。
 明日は一日ホテルでまったりするしかなさそうなので、夕食のレストラン予約等を済ませて、お部屋まで案内して頂く。

 最上階のバルコニー付き・ジュニアスイートは1室だけ。部屋にはアフタヌーンティーのセットや、お休み中には手指のケアを、と手袋とローズやラベンダーのオーガニックバームまで準備され、もう至れり尽くせりである。ここならどこにも出かけなくても全然OKだね、と夫とニヤニヤする。なんといってもしつこく体調不良が続いていたし、手足の状況もあまり良くないので、前回のようなハードなスケジュールはこなせそうにない。命の洗濯のための3泊4日である。

 あれこれ嬉しい特典付きのプランで、リラクゼーションサロンでオリジナルロールオンボトルも作れるとのこと。早速予約してサロンに出向いた。3つの香りから2つ選べます、ということであと1つも捨て難かったけれど、SHIMODAとFORESTとネーミングされたものをチョイス。前者はローズマリー2、レモン2、ベルガモット7、ライム5の合計16滴が基本で、好きな香りを±するのはOKとのこと。ボトルを傾けゆっくりと滴を落としていたら、ライムがちょっと多めになってしまったけれど、とても素敵な香りになった。後者はシダーウッド4、ペパーミント3、スイートオレンジ1、ベルガモット8で、スイートオレンジを少し多めにした。好きな香りに包まれて、すっかりリラックスして大満足。ブレンドするのに使った小さなビーカーに残った滴はそのまま皮膚や髪の毛につけて大丈夫ですよ、と言われ、明日と明後日にボディトリートメントの予約もして、サロンを後にした。

 部屋でお茶をしながら休憩し、夕方シャトルバスでペニーロードまで。件のベルマンさんが夫を呼び止め、お薦めの和食屋さんを予約しておいてくださるという。すっかりお任せである。
 お天気は怪しいけれど、寒くなく暑くなく散策にはもってこいの気候だ。平日だからそれほどの人出でもない。柳の緑、紫陽花の紫のグラデーション、水辺にかかる橋の赤、どこをとっても絵になること、いやインスタ映えすること(私はやっていないけれど・・・)。

 途中で、ある理髪店のショーウインドーに三島由紀夫の写真が沢山飾っており、それを夫と見ていたところ、中から80歳になるというご主人が出ていらして、30分近くお話をしてくださってびっくり。かの三島氏が、私達がお世話になっているホテルに、毎年避暑に訪れ執筆作業をしていた折、散髪をされていたとのこと。
 夕食の予約にはまだ時間があり、少し草臥れたのでアメリカンジャスミンの花で有名な了仙寺に立ち寄り、小休止。トラ猫がなんとなくすり寄ってきたりしてまったり過ごす。

 夕食の場所を確かめつつ商店街を散策して、ちょうど予約の時間に。ベルマンさんのお薦めのとおり、丼からはみ出しそうな伊勢海老天丼と金目鯛煮付けとお刺身の定食を頂く。お薦めのとおり、とても美味で大満足。
 「明日は大雨で街歩きは出来ないだろうし、まだ帰るのはもったいない。お茶をしていこう。」と夫が言うが、既にカフェはクローズしているところばかり。最後にようやく辿り着いた白木の匂いのする真新しいカフェに入った。客は私達だけで、なんとなくオーナーとお話することに。驚いたことに彼は私達が住む市の出身だという。なんというご縁だろう。オーナーのハンドメイドのテーブルや椅子だそうで、グリーンはご実家近くで買い求めたという。それが私達の最寄り駅の隣だというのだから、何かと縁があるというものだ。すっかり話し込んでご機嫌の夫は「また来ます。」と。タクシーを呼んで頂き、ホテルに戻ってきた。

 今回は期せずして街の方々とお喋りする機会があり、楽しいひとときを過ごしている。この後は温泉にゆっくり浸かって気分の良いままぐっすり眠りたい。

 さて、今日から自宅は留守なのだが、期せずして息子が夜遅く帰省することになっている。明日はこちらで合唱団の先輩の結婚式にお呼ばれしているとGWに聞いた。うーん、5ヶ月前から楽しみにしていた旅をキャンセルするのは・・・ということで可哀想だけれど、一人で過ごしてもらうことにして本人も納得済み。今は新幹線の中である。
 明日は都心も雨の予報。日本のジューンブライドには気の毒なお天気だが、どうか幸あれと願いたい。


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