明後日は29回目の結婚記念日。銀婚式の25周年から記念旅行を続けている。寒い時期だから少しでも暖かい土地へ、と沖縄離島からスタートした。趣向を変えて、昨年は上海2泊3日の旅に出かけたところ、帰国日とんでもない大雪に見舞われ、帰路大変な思いをした。
さて、今年はどこへ行こう、と僅か10日前に年末年始旅行から帰ってきたばかりなのに性懲りもなく、またお出かけである。
夫のリクエストで、今回目指すは黒船来航の街。私は子どもの頃に家族で海水浴に訪れたのが最後で、夫は初めての訪問である。先日訪れた箱根に比べ伊豆半島、しかもここまで突端、我が家からのアクセスを考えるとちょっとハードルが高い。実際、新幹線で京都に繰り出すのと同じ時間がかかる。
昨夜、夫は新年会だったため、一人で簡単な夕食を済ませ、洗濯物も片付けておいた。今日はノープランでゆっくりめに出発。
土曜日の贅沢、朝の連続テレビ小説を視てからゆるゆる起き出す。昨日はぽかぽか陽気で楽だったけれど、今日はかなり冷え込んでいる。
JRの乗換駅では雪がチラついていてびっくり。都心では平年より9日遅い初雪とのこと。病院最寄り駅を通過し、特急乗換駅で時間調整のためカフェで夫がご馳走してくれる。2年前のSさんのリトリート以来の特急列車に乗り込む。さすがに3連休、家族連れやカップルで車内は満席である。
窓が大きなこのスーパービュー踊り子は、白い車体にスカイブルーとグリーンの爽やかな色。伊豆の海と空をイメージしているのだろう。車内には子ども室などの施設もあり、息子が小さい時に大喜びで乗ったものだ。
終点まで揺られること2時間ほど。車中のお伴は篠田節子さんの「蒼猫のいる家」(新潮文庫)。表題作を含み、5編からなる短編集だ。どれもこれも読み始めるや否やあっという間にその世界に引き込まれる。篠田さんの短編は文句なく面白くハズレがない。50頁ほどであの内容の濃さにいつも唸らされる。大事に3編だけ読んで、終点に到着。
ホームにはプランター一杯の水仙が馥郁とした香りを放っている。ここからバスで15分ほどの岬で水仙祭りが開催されており、今、満開だそうだ。駅の改札は黒船を模しており、なかなか風情がある。バス旅行で駅周辺を通り過ぎたことはあるのだが、子どもの頃訪れた時も父の車だったので、おそらくこの駅に降り立ったのは初めて。
観光案内所で地図を頂き、さて、遅めのランチである。駅のロータリーにも黒船のレプリカが。子どもが「ハワイ!」と叫んでいたが、シュロの木やヤシの木々が迎えてくれる。南国調だ。たまたま見つけた駅前のラーメン屋さんに入って、エビ塩ラーメンとキンメラーメンを頂く。これが大当たり。スープが美味で普段はスープを飲み干そうなどとは思わない私が後を引かれてびっくりした。
すっかり満足してお腹も満ちたところで、コンビニで飲み物など調達して、ホテルのシャトルバスに乗り込む。
途中、運転手さんが観光名所等を案内してくださる。車窓から見る唐人お吉のお墓のある宝福寺、ペリーロード等は雰囲気があってとても素敵。目指すホテルは高台にあり、先日強羅でレストランを探した時の、魔の坂道を彷彿とさせる。バスは、途中歩いていた宿泊客を親切に拾っていく。有り難い助っ人だ。
チェックインを済ませ、明日の夕食時間を予約して、お部屋へ案内される。最上階のバルコニー付きのお部屋からはナティエ・ブルーの海が見渡せる。今日はあいにく曇り空だけれど、和歌の浦遊歩道がすぐ下にあり、水族館まで続いているという。海風に吹かれてお散歩したらとても気持ちよさそう。
星座観測のグッズをお借りしたので、明日の夜晴れたら海岸まで繰り出す予定だ。今日はあいにくの雨模様のお天気なので、お部屋で見られるという小さなプラネタリウムをお借りした。いい夢が見られそうだ。
珈琲と紅茶で一服しているとドアがノックされ、ホテルからの結婚記念日のお祝いとして色とりどりの綺麗なマカロンが届く。嬉しくてニンマリ。
来年は30周年、真珠婚式である。銀婚式の時、果たして真珠婚式は迎えられるだろうかと思っていたけれど、あと1年、よし、また頑張るぞ、といった感じ。
お風呂嫌いな夫(なのに、なぜ温泉に宿泊するのやら・・・)はベッドでだらだらしているので、私は一足先にお風呂を頂いてきた。露天風呂からも海が見渡せて気持ちよいこと。お肌ツルツルスベスベである。
シャトルバスで駅前まで送って頂き、今日は街中で夕食。お目当ての金目鯛の煮付けやお刺身がふんだんに盛られたお料理を頂いてお腹一杯。再びタクシーでホテルに戻ってきた。
ホテルのショップで記念旅行の品等も買って一休み。これから温泉とアロマボディトリートメント。旅の初日、なんとも贅沢で幸せな夜である。