ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.2.19 採血・レントゲン後腫瘍内科診察、パージェタ・ハーセプチン17クール目 

2020-02-19 23:38:55 | 治療日記
 昨夕はほぼ定時で職場を出て、リラックスヨガのクラスに向かった。痛みは相変わらず続いているが、今日を逃すと週末の三連休まで一日も身体を動かさずに過ごすことになりそう、と思って。
 結果、それほどの混雑でもなく男性も1人しかいなく、深く呼吸してじっくり身体を伸ばせて心地良く過ごせた。シャワーでさっぱりしてから夫と合流。駅前で夕食を済ませ、ウエア類と宿泊用の荷物を交換して病院最寄り駅に向かった。

 行きの車内で原田マハさんの「デトロイト美術館の奇跡」(新潮文庫)を読み始めた。原田さんといえば「楽園のカンヴァス」、「暗幕のゲルニカ」等アート小説がお得意である。実話をもとに描かれた感動の物語。フィクションとは思えない物語にあっという間に引き込まれ、はっと気づけば病院最寄り駅。慌てて降りた。

 予約したホテルにはほぼ9年ぶりの宿泊だ。前回は東日本大震災の後、JR在来線が数日間止まってしまい、治療に行けないかもしれないというピンチの時だった。仕事を終え、動いている私鉄に乗り、大回りをして3時間かかってようやく到着したホテル内はどこも暗く、レストランもクローズ。お風呂に入ると大きな地震があって、浴槽のお湯が大揺れに揺れて怖かったのをリアルに覚えている。そんなわけでちょっと足が遠のいていたのだが、すっかりリニューアルされ、かつての暗い色使いの重厚な雰囲気はすっかり一掃されていた。

 早めに入浴しベッドに入った。身体を動かしていたし、汗もかいていたのでコロリと眠りに落ちた。ところが4時間ほどしてお手洗いに起きたら、今度はぴっかーんと目が覚めてしまい、全然眠れなくなった。まだ3時間近く眠れるのに、と焦れば焦るほど眠れない。結局あと1時間もないというところでちょっとトロリとしたと思ったら目覚ましが鳴った。ああ。予定外の寝不足である。

 お腹は快腸である。足湯を終え、身支度をして階下のレストランへ。前回は地下のレストランで和食のセットメニューしか提供出来ないと言われたが、今回は1階のレストランで和洋ビュッフェだった。ランチには何回か来たことがあるが、天井が高く大きなシャンデリアも見事で優雅な内装だ。今日も控えめに美味しく頂く。
 今日は昨日とほぼ変わらない気温だが、風がなく暖かくなるという予報だ。
 
 朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。コロナウィルスのせいかフロントの方たちもマスクをされている。私も普段は息苦しさが苦手なのでマスクはしていないが、今日の通院はやはりマスクをしなければ、と支払いを済ませてその場で装着したら、「花粉が飛ぶ季節になりましたね。」と言われ、「これから病院なので・・・」とお答えする。

 IDカードは並ばずにすんなり通せて、採血の受付。いつもより大分大きな受付番号だ。採血室は7分待ちとある。コートを脱ぎ、態勢を立て直して、番号が出るのを待つ。今日は初めてお目にかかる若い男性検査技師のNさん。ちょっと不愛想で朝からテンションが下がりそうになった。今日もフル検査なので5本。まあまあの針刺しと抜針で無事終了した。

 止血をしながらエスカレーターで2階のレントゲン受付へ。ここが今までにないほどの混雑だった。受付が追い付かないようで、椅子に座れない人もいる。受付で15分も待ったのは最近では珍しい。待合い廊下に行くと、ここにも人、人、人。点滴を下げた入院患者さんや車いすの入院患者さんもどんどんやってきて、呼ばれるまでにたっぷり30分以上かかった。今日は予めレントゲンに備えてブラトップとシンプルなニットを着ていたので、検査着はお断り出来た。普段は、着替えをする前室に入ったら、荷物を降ろすか下ろさないうちに名前を呼ばれるのに、今日は5分以上も呼ばれずちょっと心配になった。閉所恐怖症の人は辛いのではないか。

 撮影が無事終了すると再びエスカレーターで1階の腫瘍内科の受付へ。月始めなので保険証チェックも済ませる。待合い椅子はそれほど混雑しておらず、いつもの席が確保できた。ここまでで病院到着から1時間以上。やはりレントゲンの時間が長かった。既に採血から1時間経っているので早めに血圧測定をしなければ、と受付からそのまま測定をしたところ、119-73、脈拍は80。

 5分ほどすると中待合いへどうぞの番号が掲示板に出た。荷物を抱えて移動する。そこから30分ほど待ち、先生から名前を呼ばれ診察室に入ると、10月、3週間前、今日の3枚の胸部レントゲン写真の画像が並んでいる。
 「さて、3週間いかがお過ごしで?」と問われ、「最初の1週間は咳が出てわき腹等が痛みました。先週来痛みが強くなり、ロキソニンで収まらずコデインを飲みました。普段は胸骨付近に限局した痛みですが、今は左の鎖骨あたり、右胸のあたりも痛みます。お腹はそれほど酷い下痢にはなりませんでした。先週末から口内炎も出来ています。」と報告すると、先生はPCに打ち込んでいく。「採血は、まあ普通通りですが、マーカーが」と仰ってグラフを示される。「なぜか、ちょっと下がっています」と仰る。自覚症状からはマーカー上昇か、と覚悟してきたけれど、うーん、よくわからない。先生曰く”思わせぶりな動き”だそうである。

 レントゲンの画像も10月から比べればそれぞれ大きく白っぽくはなっているが、先月3週間前に比べると左肺の影は殆ど変わらず、右がやや白っぽさが抜けていない程度とのこと。まあ慌てることはない、という結論になった。マーカーは下がったと言っても正常範囲にギリギリ入れたという程度なので、誤差範囲かもしれないけれど、ぐんぐん上がっているというわけでもないので、一大事ではなさそう。

 次回3週間後は口腔外科の経過観察があるので、採血・レントゲンは変わらないとして、次々回6週間後に回して、1年ぶりに心エコーをやっておきましょう、と予約が入った。
 診察室での検温は6度9分。
 「で、薬ですが・・・」と仰るので、「コデインをお願いします。」と所望する。以前出して頂いたものを大事に使ってきたが、今回はほぼ底をついてしまった。1日4回まで10日分ということで40包。まあ今のところ1日2回程度で収まっているので、3週間なら十分余裕だろう。
 
 前回話題になった次なる一手について意見交換を試みる。「(分子標的薬)アフィニトールはいかがでしょう?」と訊くと、ホルモン治療の期待値が高いとやってみる価値はあるが、私の場合はホルモン陽性といいつつ、これまでホルモン治療があまり著効してきていないので、優先順位としては低いそうだ。「抗がん剤はどんなものでも副作用が出ますが・・・、(分子標的薬といっても)アフィニトールも十分副作用が出ますよ」とのこと。

 確かに口内炎や間質性肺炎、肝臓等結構な副作用がありそうだ。何もなくても現にこうして口内炎が出ているわけだし、ちょっとハードルが高そうか。以前話に出たイブランスについては、HER2陽性は効かないというエビデンスがあるわけではないというだけで、使ってはいけないということではない。少しの間身体を休めることは出来るかもしれないが、ハズレた時の取返しが大変だとのこと。博打である。

 「では、抗HER2薬として期待の新薬エンハーツでしょうか?」と訊くと、「まあ○○さんはやはりハーセプチンを軸にしていくのでしょうね。ハーセプチンのバイオシミラーも出てきているし、その都度その都度のベストを選んでいきましょう。」とのこと。ただし、今の状況では薬を変えるモチベーションはそれほど高くないということだから、パージェタ、ハーセプチンで粘るのがベストということだろう。では治療続行で、とご挨拶をして、化学療法室へ入った。

 待合い室はパイプ椅子が出されているほど混雑している。お手洗いを済ませ、15分ほど待つ。かなり混雑していて看護師さんたちがてんやわんやである。看護助手のMさんから「今日はベッドしか空いていないのです。」と言われて案内された。テーブルに荷物を整理し、ベッドの頭を起こして本を読める態勢にし、かつらを外してケア帽子に替え、夫やお友達に報告LINE。

 それからが長かった。なかなかどなたも見えない。忘れられているのかと思うほど。いつもなら10分か15分くらいでとりあえず針刺には見えるのに、今日はCさんが刺針に見えたのは30分を優に過ぎていた。ちょっとアンラッキーだったが、少し痛んだ。
 その後15分ほどしてKrさんから薬が届く。「お待たせしてすみません。」とのこと。「混雑していて大変ですね。」とお応えする。2剤併用の治療17クール目。もしかすると最後かも、と思ったけれど、またひとまずあと数回はお世話になりそうだ。いつもどおり点滴棒には2本の薬液パックと生理食塩水の小さなパック、シリンジ。パージェタ、ハーセプチン、最後に生理食塩水である。

 今日のお供は佐藤郁哉さんの「大学改革の迷走」(ちくま新書)。ちょっとお仕事モードで500頁近い新書なので手に取るのも重い。帯には「『改革』という名の5つの病 シラバス、PDCA、大学院拡充、EBPM・・・・、取り上げなければならないものが多すぎて、こんなに分厚くなりました。」とある。読みながら、仕事モードの本を持ってきたことをちょっと後悔。エンタメ系の軽い楽しめるものにすればよかった。普段のリクライニングシートに比べてベッドは本を読むには適していないから、なかなか態勢が辛くなる。諦めて途中少しウトウト。

 最後の生理食塩水になったところで、Kwさんが血圧測定にみえる。終了時の血圧は125-72、脈拍は64。抜針はCさん。珍しく大きな衝撃。ちょっとしょんぼり。化学療法室に滞在した時間は4時間強。普段より40分ほど時間が押している。
 大荷物を携えて、会計へ移動。そこそこ混雑している。番号札を頂くのには並ばないで済んだ。待合い椅子の場所を確保してから処方箋を薬局に送るテーブルまで移動して、送付を済ませて待つこと30分弱。お支払いはカードで11万弱。

 病院を出ると、いいお天気だがそれほど暖かくはない。それでも風がないので、大分楽だ。薬局に到着して、「処方箋を送りました。」と言うと、クラークの方が名前を探すが、見つからない。「?」と思っていると、ファックスをまだ処理出来ていなかった模様で、番号札を渡され、「申し訳ありませんが、とても混んでいるので1時間はお待ち頂くことになります。」と言われる。せっかく送ったのに・・・である。確かにいつもに比べて待合い椅子は一杯だ。諦めて「食事を摂ってから戻ります。」と言って薬局を後にした。

 既に大抵のお店はランチタイムが終わる時間である。駅まで行ってからまた病院前の薬局まで戻るのは嫌なので、前回見つけたタイ料理レストランに行ってみると、インド料理とコラボのレストランにリニューアルしていて、なんとか滑り込めた。今日は口内炎もあるので辛くない麺とライスのハーフセットにした。

 1時間ほどゆっくり食事をして薬局に戻る。まだ出来ていなかったが、10分ほどで呼んで頂けた。「混んでいて大変ですね。」と言うと、「普段はお昼過ぎが混むのですが、今日は時間がずれていて、今が一番混んでいるのではないでしょうか。」とのこと。「コデインは久しぶりですね。」と言われ「ちょっと痛くて・・・」とお答えする。「これまで(パージェタの副作用で)下痢が酷かったのですが、痛み止めのコデインの副作用である便秘とうまくブレンドしたのかお腹の調子がそれほど酷くないです。咳も止まりますし・・・」と言うと「ちょっと微妙ですね・・・」と言われた。確かに・・・。
 3週間分、いつもの6種類の飲み薬にコデインを足しても殆ど変わらず(コデインはとても安価である。)3,000円に満たず現金払い。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で8時間弱。本当にぐったりだ。

 帰路はなんとか席を確保して、大荷物を膝に抱えてウトウト。もう仕事の本を読む元気はなかった。途中駅のスーパーで夕食のお弁当を調達し、最寄り駅からは迷わずタクシー。なんとか夫より早く普段帰宅するくらいの時間に家に辿り着けた。
 生協のお届け物を取り込み、あれこれ片付けをし、洗濯機を廻してようやくリビングに座った頃、夫が帰宅。洗濯物が洗い終わったが、ぐったりしていると夫が代わりに干してくれた。殆ど夕方近くのランチだったので空腹も感じないので、そのままダラダラ横になる。さすがにしびれを切らして夫が浅利の味噌汁を作ってお弁当を温めてくれた。食欲があまりないので半分は夫に差し上げる。
 こうしてブログを書きながら途中でまた腹痛、下痢。何度もお手洗いを往復して、げんなりしている。

 明日はまた昼前から都心まで出張会議の予定だ。お腹が落ち着いてくれると良いのだけれど・・・。
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