お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
?



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●BRM602沼津400km(参加11人=全員完走!)
●月日 07年6月2日(土) 午前9時スタート(制限時間27時間)
●天気 晴れ
●ブルベルート 沼津~南部~南アルプス~諏訪~豊科~諏訪~南アルプス~芝川~沼津
07年6月2日 ブルベ沼津400km
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<前日編>
<その1>スタート~PC1
<その2>PC1~PC2
<その3>PC2~PC3
<その4>PC3~PC4(折り返し)
<その5>PC4~PC5
<その6>PC6~身延
<その7>身延~ゴール

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午前7時57分、スタート地点の沼津游泳場裏の海岸。向こうに見えるのは駿河湾

 ホテルを出るときは少し肌寒かったが、空を見上げると最高の天気。雨は降りそうにない。今日も暑くなりそうだ。
 
 装備を少し迷った。リュックをしょうのはイヤだったので、ヒップバックに入るだけと思っていくつか詰め込んだが、付けると腰にぐっとくる。重い。でもこの陽気だからウインドブレーカーはなくてもいいかと、いったんは置いていくことにした。
 
 しかしなぁ・・・。迷った末にやっぱりリュックで行くことにして、慌てて詰め替えた。そのため、替えの電池を忘れることになった。
 
 リュックに入れたのはウインドブレーカー、アームウオーマー、レッグウオーマー、指切りグローブの下につける白い薄手の手袋、長袖インナー。もしものためにと持ってきていたウインドブレークジャージやネックウオーマーは、輪行袋と一緒に車に積んだままだ。輪行袋も悩んだが、これは退路を断つために置いていくことにした。どうしようもなくなったらゴミ袋で代用することにしよう(やったことはないけど)。それに、この日はダブルボトルにしていたため、ボトルケージに空きもなかった。


午前8時56分、いよいよスタート

 游泳場裏の駐車場に車を止めていると、隣にタクシーが止まった。「ここで休むんだろうか」と見ていたら、後部座席から自転車を出している。参加者の方でした。
 
 もしかして参加者は私だけ? なんて心配していたのだが、2人ほど駐車場にいたので少し安心した。受付で確認すると、何人かのDNSの方がいるが、今回の参加は11人ということだった。ちなみに、この日400キロと併催され、午前6時にスタートしている600キロには33人が参加(完走はnoahponさんを含め29人)しているという。
 
 参加11人のうち、ペアが2組、残りの7人が単独での参加だった。これだけ参加が少ないと各PCでもほとんど会わないのではと、不安になる。また、リュックをしょっているのは私だけだった。みなさん、背中のポケットを膨らませたり、サドルバックやフロントバックなどをつけて身は軽くしている。
 
 午前9時前、ブリーフィングもあっという間に終わり、それぞれがスタートしていく。といっても游泳場の出口に面している道の路肩が狭く、交通量も多いので自然とトレインを組むことになった。


午前9時37分、K380の松並木。はやくもちぎられる

 R414から三園橋で狩野川を渡り左折。K380~K396とほぼ一本道を富士川橋まで行く。
 
 一度信号で集団からちぎれ、4~5人の先頭グループから少し離れた2番手の集団の先頭を走っていたのだが、松並木のあたりで若い方に抜かれた。何とか追いかけようと思ったのだが、基本のスピードが違っていた。やがてその若い方は先頭グループにも追いつき、さらにその集団の先頭に立って引っ張るようになった。そして集団のスピードもアップした。もう追いつけない。結果的にその若い方は午前4時半ごろにトップでゴールしている。
 
 この富士川までの道は快適だった。特に松並木のあたりからは信号もなく、自然と巡航速度も上がる。こんなに飛ばして大丈夫かと不安になるほどだった。


午前10時4分、富士川橋で富士川を渡る

 先頭グループにちぎられてからは、私の後ろに1人ついているだけという状況だった。しかし、私がついいつものクセでスタートダッシュを掛けるものだかから、スタートで離され赤信号で追いつくというパターンだったようだ。
 
 調子自体は良かった。どこにも痛みは感じない。天気もいいし、楽しく走れそうだ。このときはそう思っていた。
 
 富士川橋を渡ってしばらくすると、赤信号で止まっていても後ろでクリートを外す音がしなくなった。1人旅がもう始まったようだ。


午前10時29分、富士川を左手に見ながらK10を北上

 富士川の右岸を走っていたK10は、途中の細い橋で富士川を渡り左岸を走るようになる。アップダウンが多少あるものの、とても気持ちのいい道だった。


午前10時34分、稲子T字路を左折すると、激坂

 稲子駅手前のT字路を左折しR469に入る。橋を渡って右へ曲がると激坂が待っていた。7~8%という表示があったが、まだ走り始めだし元気もある。それほど苦しまないでも上っていける。


午前10時39分、峠道を上りきるとそこは山梨県

 ピークは静岡と山梨の県境になっていた。


午前10時42分、再びK10を走る

 そして7~8%の坂を一気に下り、再びK10を走る。帰りはここを上るんだな。辛そう・・・。


午前10時54分、富士川の向こうにはR52が走る

 富士川の対岸にはR52。行く先を見ると山しかない。あそこへ行くんだね、ふぅ・・・。
 
 午前11時、第1PC(山梨県南巨摩郡南部町)到着。av27.9km/h。トップの方はもうスタートしていたが、私がPCにいる間におそらく全員の顔を見た。参加11人はほぼ同じようなペースで走ってきたようだ。
 
 ここまで52.7キロ。まだ8分の1。400キロは果てしなく遠い。

 ※<その2>へ続きます

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 ※<その1>より続きます


午前11時31分、意外なところに激坂。和田峠と言うらしい

 今回の目標(?)として、なるべくPCでの休憩は短くすることを自分なりに掲げていた。まだ11時なのでPC1での補給はおにぎり1個と缶コーヒー。あれ、ソーセージも食べたかな? でも、パスタを食べている人よりスタートが遅くなった。この方は結果的に2番手(以降、2番手さんと呼びます)でゴールすることになるのだが、走るのが速い人は食べるのも速い。

 ※リザルトを見ると、この2番手さんは最終PCでトップの方に追いつき、ほぼ同時にゴールしていた。折り返しまでは、私より少し速いペースだったのだが、ナイトランに強い方だったのだろうか?
 
 PC2をスタートしてしばらくすると、あれ? 坂じゃん。聞いていないよ、こんな激坂。見上げる先には、先にスタートした2番手さん。おお! 追いついたぞ。といっても、坂で差を縮められるはずもない。


午前11時36分、ピーク付近から9%を下る

 帰りに気が付いたのだが、この峠は「和田峠」というらしい。短いけど、どこかの同名の峠と同じできつい坂だった。


午前11時38分、降りると身延駅

 ほとんどが田舎の香りのするK10沿線で、ここだけが賑やかな感じがした。


午前11時49分、さらにK10を進む

 2番手さんの背中を遙か彼方にとらえながら、K10を進む。相変わらずのアップダウンが続くが、まだ気持ちよく走れる。


午前11時50分、遙かに富山橋。ここで富士川を渡りR52に出る

 やがて、富山橋が視界に入ってきた。あの橋でみたび富士川を渡り、R52を北上する。


午前11時50分、波高島のT字路。右へ曲がれば本栖、左は鰍沢

 K10の終点は波高島のT字路。ここで本栖みちにぶつかる。青葉300のときは右へと進み、今回は左へと進む。


午前11時52分、富山橋

 帰りは横にある歩道を走ろうかと思わせる富山橋の路肩のなさだった。
 
 その時点まで150メートルほど先に見えていた2番手さんの背中。だが、富山橋を渡ったところの上沢の交差点で私が赤信号につかまったところで、追走は終わった。もう会えないかな?


午後12時22分、R52を行く。右手に富士川

 青葉300のときは下ってきたR52を、今度は上っていく。追い風とともに♪ 気持ちいいーーー!


午後12時34分、南アルプス市

 追分け交差点からはやや上り。道も悪くなる。掘り返した跡だらけだ。
 
 そしてこの頃から右ヒザに痛みを感じるようになってきた。やばい・・・。しかし、これまで何度か痛くなってきた右ヒザだが、いつのまにか痛みが消えるということもあった。そうなることに期待して先を進む。


午後12時45分、小笠原橋北詰手前。ここを左折し諏訪方面へ向かう

 ここでR52に分かれを告げ、K12へと入る。K12は緩い上りが延々と続く道だった。


午後12時58分、K12からの風景。あのループ橋は何だ?

 この道も気持ちのいい道だった。K10もK12もツーリングには持ってこいのルート。昼間走るのなら、という条件が付くが・・・。


午後1時10分、PC2到着。ここで100キロ

 田舎の道を走ってきて、少し店が建ち並んでひらけたような所にあるローソンがPC2(山梨県南アルプス市)。午後1時10分、距離は100.4キロで、ここまでの平均時速が27.3km/h。100キロ超えのツーリングでav27km/h越えというのは久しぶりだ。調子がいいのか、頑張り過ぎなのか? 右ヒザの痛みからすると、頑張り過ぎたような気がする。

 私が到着すると同時に、トップでゴールした方がスタートして行った。その方を含め、このPCでも私がいる間に7人の顔を見かけた。参加11人中、8人がほぼ同じ時刻にここにいたことになる。
 
 ここでは昼メシがわりにパスタを食べる。ウイダーインゼリーも補給したかな。
 
 例の2番手さんは少し眠っていたのだろうか。かなりまったりしている様子だったが、やはりここでも私より先にスタートした。

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<その2>より続きます


午後1時31分、K12はのどかな風景が続く

 PC2を過ぎると、K12は下り基調のアップダウンが続くようになる。回りは水田。のどかです。


午後1時54分、R20との合流・穴山橋(円野郵便局前)

 田んぼの中に突如、武田信玄の像があった。何だありゃ~? しまった! 写真撮ってない。引き返そうかなと思っていたらR20の合流に出た。
 
 で、左折するといきなり激坂。そして、2番手さんの背中が見えた。また追いついたぞ。今度こそ後ろにつこう。


午後2時00分、北杜市に入る

 頑張って追走するが、何故か追いつけない。
 
 ヒザの痛みは続いているが、DNFを考えるほどではない。まだまだ走れる。
 
 R20もこのあたりまで来ると、結構気持ちいいじゃん。でもなかなか追いつけないな~と思っていたら、2番手さんは「道の駅白州」へ吸収されていった。この時点で私が2番手を走っていることになった。困ったな。トップの人には追いつけそうにないし、ずっと1人旅だな。


午後2時16分、R20は釜無川に沿って走るようになる

 川べりってやっぱり気持ちいいな♪ と呑気な一人旅。でも道は微妙に上っている。


午後2時42分、長野県だ

 おお、ついに長野県。そして近くには小淵沢インター。ついに自転車でここまでやって来たぞ。
 
 と、そのとき!


午後2時55分、パンク・・・。毎度おなじみの風景ですな

 何かを踏んだと思った瞬間
 
 プシュー
 
 と、ど派手な音がして空気が一気に抜けていった。パンクはいいが、バーストだったらどうしよう。そんな予感がする音だった。
 
 調べて見ると、タイヤは大丈夫のようだった。チューブ交換だけで走り出せる。最悪の事態は避けられ、ほっとして作業していると2番手さんが通りがかって「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。同じブルベを走る仲間の気遣いは嬉しい。「大丈夫ですよ」と答えて、先に行ってもらった。
 
 チューブ交換は、最近よく練習しているのでもう手慣れたものだ。エアーを入れるのも、最初は「いにさんしごろく!」とシャカシャカと激しいピストン運動で入れていた。しかし、これは疲れるだけでまったく入らないことにあるとき気が付いた。「い~ち、に~ぃ、さ~ん」で十分入るし、時間もかからない。まさに失敗は成功の母だ。


午後3時20分、富士見峠へのアプローチ

 富士見峠への坂を上っていると、突然、赤いジャージの方にパスされた。おお、いつの間に後ろにいたんだと飛び上がりそうになった。その方とペアで参加された方(MUCさんですね♪)にもやがて抜かれた。坂はやっぱりヘタレだなぁ~。


午後3時33分、富士見峠

 直前に少しきつい坂はあったが、峠らしい峠道はないといいってもいい峠だった。


午後3時40分、標高888メートルの茅野市へ

 富士見峠を越えて少し下ると茅野市。そして下って下って諏訪へと走る。


午前4時13分、第3PC。ここは諏訪

 午後4時13分、PC3(長野県諏訪市)に到着。ここまで153.6kmで、av25.9km/h。多少上りがあったせいか、巡航速度は落ちている。
 
 ここでの補給はウイダーインゼリーとつくね棒だったかな。甘いモノが欲しくて、エクレアも食べたのはここだっけ? だんだんと固形物を食べるのが苦痛になってきていた。まだ半分も来てないのに・・・。

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<その3>より続きます

 PC3からのスタートは4番手。この何番手って分かるのも、参加者が11人しかいないからだ。


午後4時47分、諏訪湖!

 本当はR20より諏訪湖畔の道を走りたかった。R20からじゃ諏訪湖がまったく見えない。でも、せっかくここまで来たのだからと、諏訪湖が見える駐車場に入り、このブルベで初めてPC以外で自転車を降りて写真を撮った。
 
 撮り終えて、さあと自転車にまたがったら、2番手さんが通り過ぎていった。追いかけたのだが、すぐ赤信号に引っかかってちぎれた。
 
 その先を進んでいると、自転車屋にいるブルベライダーを見た。富士見峠で私をパスしたペアだ。そう言えば、ここへ来る前もどこかでストップしていた。何かメカトラか? 次のPCで聞いたところによると、1人はチェーンが落ちて切れて交換、もう1人はブレーキシューの交換をしたそうだ。自転車屋がルート沿いにあって良かったですね。
 
 ということで、結局3番手で私は塩尻峠へ向かうことになった。


午後5時11分、塩尻峠への登坂車線

 岡谷側からの塩尻峠は、短いがちゃんと「登坂車線」のある峠だった。ピーク直前でちらりと見えた諏訪湖は、「おお」と言わせるに値する風景だったが、反対車線からでしか写真は撮れそうもなかったので諦めた。


午後5時27分、上越まで170キロ地点

 途中、「上越まで170キロ」なんて標識があった。日本海まで170キロだ。これから折り返して沼津へ帰るより近いじゃん。このブルベが完走できたら、日本縦断も夢じゃない!?


午後5時28分、塩尻峠

 それなりのきつさがあった塩尻峠。写真を撮る以外に、下りに備えてアームウオーマーを付ける必要があったので自転車を降りた。すると、峠を越えてそのまま降りていくブルベライダーに抜かれた。そのままで寒くないのかな~?


午後5時33分、そして塩尻市へ。ここは標高1012メートル

 峠を越えると塩尻市。そして、R19の分岐までの長い下りが始まる。帰りは上るんですよね、ええ、分かってます。でも、今は今だけしか味わえない快感を楽しもう。


午後6時1分、R19に入ると松本市

 高出の交差点まで一気に下り、右折するとR19。松本市街は混んでいるが、市街を抜け奈良井川沿いに入ると、強烈な追い風! 巡航は35km/h以上。たまに40km/hなんて数字もサイコンに表示される。帰りのことは考えず、ここでも今を楽しもう。って、思っていたら・・・。


午後6時25分、またぶっちぎられた。左に流れるのは奈良井川

 もっと速い方がいらっしゃいました。「お疲れ様で~す」なんて挨拶されて、ペア参加のブルベライダー(メカトラのペアの方とは別の組)にぶっちぎられた。その後、信号で追いつくこともあったのだが、走り出してからは追いつくことができなかった。


午後6時39分、犀川を越えて折り返し地点へ

 奈良井川が程川と合流して犀川と名前が変わる。その少し先の田沢交差点を左折し、折り返しへ向かう。


午後6時40分、折り返しの第4PC。ここは長野県安曇野市

 折り返しのPC4(長野県安曇野市)に到着。午後6時40分、ここまで200.9kmで、av25.9km/h。
 
 やっと半分。まだ半分。先はまだまだ長い。
 
 そしてついにやってきたよ。 ケツの痛みが。うわ~、ここで来るか!? まだ半分だぜ。さらに、右ヒザの痛みも少し増している。おまけに左ヒザも少しおかしい。
 
 200キロのブルベならこれで終わり。追い風の助けも借りて、av25.9km/h、パンクしながらもグロス9時間40分とまずまずのペースで走り切った。これなら気持ち良くビールが飲めるぞ。あ~、これでホントに終わりだったらいいのに・・・。

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<その4>より続きます


午後6時56分、日も暮れて車もライトを付け始めた

 折り返しでの補給はいなり寿司、唐揚げ棒とあと何だったろう。もう忘れてきたぞ。
 
 ここまでは楽しいサイクリングだったと心の底から思っていた。ヒザとケツの痛みさえ出てこなければ、この先も楽しいライドが待っているはずだ。塩尻峠が果たして登れるか? 上れなければリタイアだ。日が暮れてきたこともあってか、少し気持ちが凹んで来ていた。
 
 2番手さんは私がPCに到着してすぐに出発し、もう2度と背中さえ見ることもなかった。私の前後に到着したライダーは6人。みなさん、結構まったりしていたので、私はみなさんより先にスタートした。さあ、ナイトランの始まりだ。
 
 忘れていた。塩尻峠の前に地獄の風が待っていることを・・・。
 
 巡航は25km/h以下。気を抜けば、20km/hを切ることも。そして松本市街の大渋滞と道沿いの店舗地獄。あわやサンキュー事故の危機も1度あった。ヒザの痛みは引かない。もうヘロヘロ。そんな状態で高出交差点を曲がる。待っているのは、長い長い塩尻峠への道。
 
 登坂車線は切れることなく続く。スピードは多分10km/h以下だろう。右足を回すごとに「ピキッ」といういやな音がする。スムーズな回転ができない。苦しい。本当に苦しい。「600キロ? 冗談じゃないよ。200キロでこんな状態なのに走れるもんか!」。暗闇の中で自問自答する。
 
 黙々と漕ぐ。止まったら、もう走り出せないような気がしていた。とにかくピークまで頑張ろう。そして休もう。
 
 自分自身との苦闘を繰り返し、ようやく見えた歩道橋! 着いた・・・。


午後9時4分、塩尻峠を登り返す

 期待していた諏訪湖は真っ暗で見えなかった。
 
 でも、ともかくここでひと休みだ。ストレッチをしてヒザの具合を確かめる。幸いなことに、曲げると痛みはあるものの、強烈な痛みは襲ってこない。これまでの経験だと平地では回せる痛みだった。残っている上りは、富士見峠と稲子のあたりか。この状態ではヤビツ並みの峠は登れないが、その2つだったら何とかなりそうな気がした。
 
 かなりの時間を休んでいたような気がしたのだが、後続のライダーに出会うことはなかった。
 
 少し休むとヒザの具合も多少は回復した。次はPC5へ下るだけだ。ウインドブレーカーを着込んで下山を始める。

 岡谷バイパス分岐から道が悪くなったのは、ケツにさらにダメージを与えた。


午後9時55分、第5PC

 午後9時55分、第5PC(長野県諏訪市)到着。ここまで248.2km、av24.3km/h。塩尻峠への登坂でかなり平均時速が落ちている。ここで何を補給したかは完全に忘れた。コンビニはこの日、5回目。もう何を買っていいかも分からなかったので、適当に買ったのだろう。はっきり言って、コンビニはもう飽きた。

 寒さを感じるようになり、このコンビニのトイレで長袖のインナーとレッグウオーマーを付けた。
 
 青葉300のときもそうだったが、夜になると時間感覚が完全になくなる。長い距離を走ってきて気持ちもハイになっている。要するに、何が何だか分からない状態だ。
 
 このPC5からゴールまでのPCでは私がひとりで先着し、しばらくすると誰かが到着するというパターンだった。不思議なことに、その誰かは毎回違う人だった。
 
 ここでの休憩でも、ヒザは回復気味になった。しかし、走り始めてしばらくすると痛みが出てくる。
 
 富士見峠までの道ってこんなに長かったっけ・・・。
 
 車の通行はほとんどない。回りに気を遣わないだけ、自らの痛みをより一層感じる。そして「やっぱり600は無理」と思う。今、こうして苦しみながら上っていることは、楽しいことではない。
 
 やがて立ち漕ぎもできなくなる。ケツが痛いのでたまには浮かせたいのだが、それも苦痛。ケツをサドルに乗っけるのも苦痛。車がいないのを幸いに、蛇行しながらゆっくり上る。そして見えてきた歩道橋。このピークが歩道橋というのが、峠を登ったという達成感を今ひとつにさせるのだが、そんなことは言ってられない。もうこの先は漕がなくていいのだ。天国だ!
 
 上っているときは凹んでいた気持ちが、下りにさしかかると高揚してくる。現金なものだ。下りの快感を味わいながら「600だって行けるぞ」なんて思えてしまう。のど元過ぎれば、だ。


午後10時42分、気温は13度(写真では判別できませんが)

 気温は13度。いくら昼間の気温が高くても、標高の高い場所の夜を甘く見てはいけない。ネックウオーマーを持って来なかったことを後悔した。下山は寒い。凍えるほどではないにしろ、準備不足を痛感しながら降りていく。
 
 下り切ったあとはアップダウン。それも8%を上ってすぐさま7%を降りるという、自転車海苔いじめとしか思えないアップダウンを越えると、懐かしきK12への分岐となる。
 
 K12を走っていて、すれ違った車は5台ほど。抜かれたのは2台だったか。道が暗いこともあってほとんどセンターライン付近を走った。車のいない道って、やっぱ気持ちいい。ヒザの具合は相変わらずだが、平坦か、緩い上り程度なら何とか回せる。ダンシングすると、ヒザにズキッとくるのでできないが、それ以外はなんとかなりそうだ。あとはケツがどこまで持つか、だ。

 諏訪湖のあたりから風はピタッと止んでいた。最近では耳にしなくなったカエルの大合唱をBGMに、無風の真っ暗な田舎道をPC6へひた走る。

<その6>へ続きます

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<その5>より続きます

 約12時間前に見た風景に戻ってきた。
 

午前0時43分、第6PC

 午前0時43分、PC6(山梨県南アルプス市)到着。ここまで301.4km、av24.2km/h。
 
 誰もいないコンビニの駐車場でカップヌードルをすすりながら考える。「600なら、これが折り返しか・・・。走れないな」。300キロ近くになるとケツが猛烈に痛くなる。青葉300のときもそうだった。もたないよ、ケツ・・・、600キロも。ヒザもダメだろうなぁ・・・。200キロ走って夕方帰ってきて、風呂入ってビール! これが一番楽しいよ、きっと。
 
 スタートしようとしたら、ブルベライダーが1人到着した。聞いてみると、ブルベは昨年200、300と走ったがヒザをやられたそうだ。みんな、ヒザで苦しむのは同じ。そして「コンビニ飽きましたね」という思いも同じ。
 
 ここからは下り基調。小笠原橋北詰を右折し、R52へ。掘り返した跡だらけの道が、ガツンガツンとケツに効く~~~。そして信号ストップ。だ~れもいない信号を、たった1人で青になるのを待つ。サドルにケツを乗せると激痛が走る。しばらく回して、ケツの位置が定まると、痛みも治まる。できれば、サドルからケツは離したくない。
 
 そんな苦闘を繰り返す。そして上沢交差点手前の自販機の前でひと休み。PC6からPC7までは65キロ。もう一気に行ける足はない。
 
 休んでいても、後続は来ない。できれば誰かと一緒に行きたいのだが。K10は真っ暗という噂なので・・・。


午前2時40分、波高島のT字路

 1人で暗闇のK10を走り始める。たまにザザーと音がする。「何?」。多分、水が流れる音だろう。きっとそうだ。そうに違いない。深く考えるのはやめよう。
 
 EL520は強力な味方だった。今回はそれが2灯。これが道を明るく照らしてくれた。車もまったくいないと言っていいほどなので、堂々と道の真ん中を走る。もっと暗闇を想像していたが、月明かりもあってそれほどではないような気がした。


午前2時59分、身延駅

 アップダウンをこなし、ようやく身延駅に到着する。来るときは気が付かなかったが、門前町らしい町の雰囲気を駅からのぼんやりとした光の中で楽しむことができた。
 
 で、その先は、あ~、10%の坂だってよ。右ヒザはもう限界。平地なら回せるが、上りではトルクが入らない。思い切り蛇行しながらほとんど左足だけで上っていく。
 
 「何で、夜中の3時にヒルクライムしなきゃいけないんだ?」。でも足は付きたくない。ゆっくりゆっくり、歯を食いしばりながら上っていく。
 
 頭の中で何か声がする。誰か何か言ってる。でも、回りに誰かいるはずもない。睡眠不足もあって、だんだんとおかしくなってきた。
 
 稲子T字路からの最後の激坂。ここも蛇行しまくり。これで最後だ。あとは平坦。それだけを心の支えに上る。左ヒザにも痛みが出てきた。もう少しもってくれ。頼む!

 ※<その7>に続きます


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<その6>から続きます


午前4時8分、最後の激坂区間を終えると芝川町。空は白み始めた

 ようやくピーク。静岡に帰ってきた。空はだんだんと明るくなってきていた。
 
 もう少し。もう少しだ。頑張ろう。


午前4時40分、最後の第7PC。完全に夜は明けた

 午前4時40分、PC7(静岡県富士郡芝川町)に到着。ここまで365.4km、av23.7km/h。
 
 「サイクリングかい?」。コンビニのおやじさんが聞く。「そうですよ」。
 「この前も大勢来たよ。台湾からも来てたなぁ。同じかい?」
 「同じだけど、今日は人数が少ないですね。あ、ずっと遅くに600キロ走る人が来るかもしれませんが」
 
 「ふ~ん、で、あんたで3人目だよ」
  そう言われてもね。ブルベはレースじゃないし、それぞれのペースで走るのだから順位はない。前の2人の方とはかなり離れているだろうし、私から後の6人ほどは同じようなペースだ。もうすぐ誰か来るだろうと思っていたら、折り返し前にぶっちぎられた2人組が到着した。


午前4時56分、富士川橋手前のK10からは富士山が雲の上に頭を出していた

 最後の35キロへ向けて出発。ケツも右ヒザも、もう大変な騒ぎだが、ここまで来てDNFはしたくない。
 
 K10を走っている途中、ふと左手を見ると富士山が雲の上に顔を出していた。素晴らしい眺めだった。


午前4時57分、なんだか荘厳な感じがした

 午前4時57分。このとき、あの富士山の標高2000メートルの世界にはご来光を掴もうと5人の男がいた。そのうち4人は驚くべき事に須走からあざみラインを自転車で上って来ていた。寒川のmasaさん、Tonyさん、yu-jinさんこんさんの神奈川の4人の自転車海苔たちだ。彼らはご来光に間に合ったのだろうか。
 
 そして、北のスバルラインでは富士ヒルクライムが行われ、4000人近くの自転車海苔が5合目を目指して上る。晴れて良かった。きっと楽しいヒルクライムになるだろう。
 
 さてと。私はあと25キロでゴールだ。
 
 富士川橋を渡って最後の直線。K396からK380は地獄だった。
 
 ケツは痛い。ヒザは痛い。そしてずっと続く緩~い登り坂。さらに信号がない! 休めない!! 元気であれば快適に飛ばせる道。往路では確かに気持ちいいほどスピードが出た。それが復路になると、サドルはまるで剣山のよう。苦痛との闘いだった。
 
 三園橋のほんの少しの坂を車道から上る自信がなく、歩道をゆっくりと上った。
 
 「学習院游泳場」の看板が見えたときは、正直ほっとした。「楽しかった」というよりも、「終わった」という安堵感が先だった。
 
 午前6時27分、ゴール(静岡県沼津市)。401.8km(サイコンでは405.92=R20で少しだけミスコースした)、av23.7km/h。
 
 ゴール後は風呂に入ることができ、さっぱりして帰路につく。一睡もしていないのだが、不思議と眠くない。やはり400キロを走った興奮が残っているのだろうか。
 
 さすがに高速を走っていたら眠くなりそうだったので、R246を走る。途中の善波峠でヤビツへ向かう自転車海苔を何人も見かけた。みんな、頑張って上ってね。私はこれから帰って寝ます・・・。
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スタート      09時00分 ※静岡県沼津市
PC1 052.7km 11時00分 av27.9km/h ※山梨県南巨摩郡南部町
PC2 100.4km 13時10分 av27.3km/h ※山梨県南アルプス市
↓(富士見峠)
PC3 153.6km 16時13分 av25.9km/h ※長野県諏訪市
↓(パンク、塩尻峠)
PC4 200.9km 18時40分 av25.9km/h ※長野県安曇野市 折り返し
↓(塩尻峠)
PC5 248.2km 21時55分 av24.3km/h ※長野県諏訪市
↓(富士見峠)
PC6 301.4km 00時43分 av24.2km/h ※山梨県南アルプス市
PC7 365.4km 04時40分 av23.7km/h ※静岡県富士郡芝川町
ゴール 401.8km 06時27分 av23.7km/h ※静岡県沼津市
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  ◆サイコンによる記録(ブルベのみ)
       距離 405.92km
       平均時速 23.7km/h
       走行時間 17時間04分14秒
       グロス走行時間 21時間27分
       最高速度 56.9km/h
       ※07年の通算 5432.86km
              ロード 2987.24km
              BD-1  2200.21km
              MTB  0234.42km
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 ブルベから3日ほどたった今、達成感はじわじわと涌いてきている。ヒザはだんだん良くなってきたが、ケツの痛みは直らない。困った・・・。

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