※辻村深月(1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年に「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年「ツナグ」で第32回吉川英治文学新人賞、2012年「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞、2018年「かがみの孤城」で第15回本屋大賞受賞)
●意表を突かれた展開に「やられた」
39歳で独身だった西澤架(かける)は婚活で知り合った33歳の真美(まみ)と2年つき合い、ある事を契機に同棲。ようやく結婚を決断して式場も予約した、その矢先に彼女がこつ然と姿を消した。婚約者の居場所を探すことは彼女の過去と向き合うことでもあった。『週刊朝日』連載を単行本化。
自分の結婚は32歳の時。20代だった昭和のうちにはできず、平成に少し入った年で、同級生の中では遅いほうだった。もちろん婚活なんて言葉は当時はなかったが、結婚、家族、進学、就職などそれぞれのエピソードは共感することばかりで、心に染み入ってくる。身につまされる思いで読み進んでいると、「えぇっ?!」と意表を突かれた展開となり、後半は一気読み。面白く、巧みに構成された物語で「あちゃー、やられた」という感じ。「あ、こういう人いるいる」という人物描写も絶妙で、自然と物語の世界に入っていけた。
傲慢と善良は紙一重なのかな。ちょっと強引な部分もあるけどね。
それにしても主人公の名前の「真美」はこんがらがるのでやめて欲しかった。どうしても「しんじつ」と読んでしまうからねぇ。
第7回ブクログ大賞を受賞。発行部数は100万部を突破し2023年に最も売れた小説となった。藤ヶ谷太輔と奈緒のW主演で映画化され、2024年9月27日から公開されている。
「知りたくなかった過去」は誰にでもあるよね。妻にもあったのかな。もう知るよしもないけど。
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