羽生結弦がいない全日本フィギュアスケート選手権。それは数年後の予行演習だったかもしれない。
宇野昌磨は、いきなり優勝候補筆頭と目され、“追われる立場”になった。その中で勝ちきる。一段上によじのぼった。
グランプリファイナルのフリーで自己ベスト更新していたが、あと一つコンビネーションを跳べていれば、ネイサン・チェンをかわして2位になれていたのだそうで^^; その悔しさからコンビネーションジャンプを重点的に練習してきた。
後半最初のトリプルアクセル、4回転トウループが単独になったが、ルッツに2回転トウループ、さらにサルコウに3回転トウループをつける。「グランプリファイナルの後に練習してきたことが無駄ではなかった」と、練習の成果を本番で出せたことに喜ぶ。
試合で課題が見つかって、克服するために練習して、次の試合で成果を出す。そのサイクルで一歩ずつ、着実に強くなっていく。そうやって身に着けた強さは、本物だ。
無良崇人にとって、ショートプログラム1位は、大きなアドバンテージではなかった。ノーミスでシーズンベストではあるが、転倒があってコンビネーションができなかった宇野昌磨とわずか2.29点差。演技構成点では逆に1.15点差をつけられていた。
勝つにはフリーでノーミスが必要、と思っていただろう。実際、前半の4回転2本とトリプルアクセルは素晴らしく、これは初優勝が見えたか?と思った。
しかし、後半のトリプルアクセルがダブルになったあたりから、リズムが崩れたか。ループをトリプルアクセルに変えて着氷したが、細かいミスが続いてしまった。
ショートとフリーをそろえられないという課題が、今回も克服できなかった。「競技者として一番になれるかは本人の心持ち次第だと思います。『俺が一番になる』という意気込みをより強く持ってほしい」と語る父の無良コーチだが、気持ちはまだ足りなかったか。
後半崩れて残念な印象を残してしまったフリー。これがシーズン後半にどう影響するか。次のチャンスに、払拭できるか。
田中刑事は、「表彰台に上がれたらいい」くらいの気持ちがちょうどよかったんだろうか。
自己ベストのショートプログラムの勢いをうまくフリーにつなげた。パーフェクトではないものの、4回転サルコウ1本、トリプルアクセル1本、そのほかコンビネーションなど、ミスがあっても崩れずにまとめられたのは大きい。NHK杯を少し上回る得点は、前回がまぐれでないことを証明できた。
あとは、このレベルかそれ以上を毎回出していけるかどうか。4回転2本、トリプルアクセル2本を確実に決められるようにしたい。
世界選手権代表の選考は、少し難しくなってきた。
選考基準に照らして、「過去に世界選手権大会3位以内に入賞した実績のある選手が、けが等のやむを得ない理由で全日本選手権大会へ参加できなかった場合」に相当する羽生は、グランプリファイナル上位2名、ワールドスタンディング上位3名、シーズンベストスコア上位3名に該当するので、まず当確。
全日本優勝の宇野もこれで確定。では3人目は???
全日本2位の田中刑事は、ワールドスタンディング20位(4番目)、シーズンベストスコア248.44(4番目)。
全日本3位の無良崇人は、ワールドスタンディング13位(3番目)、シーズンベストスコア252.20(3番目)。
経験という点では、無良に一日の長があるが、、、さて、どうなるか。
来年はこの戦いに、羽生はもちろん、村上大介や山本草太が戻ってくるはず。大きく成長を見せている日野や友野も加われば、、、今から楽しみ
参考記事
初Vの宇野昌磨、涙に込められた思い 「追われる立場」経験し次なるステージへ
SP首位の無良、示した確かな存在感 課題克服に必要な「一番になる気持ち」
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