フィギュアスケート・世界ジュニア選手権2022、男子フリー(ジャッジスコア)。
<G1>
ジャコブ・ロフェク(ポーランド) SP:56.54(24) FS:94.94(24) 総合:151.48(24)
「ゴッドファーザーⅡ」♪ 黒タキシード風。3ルッツ+2トウ頑張り、3ルッツ2本目転倒。2アクセルややオーバーターンで単独に。3サルコウがいちばんきれいに決まったジャンプかな。スピン、ステップは平均的だがそんなにダメでもない? 曲の終わり方ががちょっと尻切れトンボな感じ
ルイス・ワイサート(ドイツ) SP:56.75(23) FS:98.00(23) 総合:154.75(23)
「Blues for Klook」♪ ピンクからグレー。イーグルからの3ルッツで入る。3ループは両足着氷か。イーグルからの2アクセル+オイラー+2サルコウ、3トウなど。3ループは惜しい転倒。
身のこなしがなかなかきれいで、ステップも背伸びしすぎずに自然に動いている感じがいい。コンビネーションスピンの最後のシット姿勢からそのまま膝をついてフィニッシュ。
カイ・コヴァー(アメリカ) SP:57.69(22) FS:118.54(17) 総合:176.23(18)
「What a Wonderful World」♪ ブルーのグラデーション。3アクセル+両手上げ3トウ、単独3アクセルといい感じに入った。フリップが2回転に、3ルッツ転倒と本調子ではないのか。2本目の3ルッツに両手上げ2トウをつけ、2アクセル+オイラー+3サルコウはきれいに入った。
スピンの回転スピードは悪くない。本人としては納得の出来ではないだろうけど。
コンスタンティン・スパタシヴィリ(ジョージア) SP:59.38(21) FS:110.28(20) 総合:169.66(22)
「Fanatico」♪ 黒の燕尾服風に赤をあしらう。14歳、いかにも少年の細身の身体で、冒頭の3ルッツで傾いたが強引に3トウをつけて転倒。しかし次の3ルッツ、続く3フリップと落ち着いて決めた。じっくり見せるステップの後、2アクセル+3トウ、3サルコウ+2頭+2ループと頑張る。
体型が安定するまでいろいろあるだろうが、順調に伸びていくといいな
三浦佳生 SP:60.03(20) FS:137.56(8) 総合:197.59(13)
フラメンコ・コレクション♪ 黒シャツに赤ストーン。気魄のこもった表情で出ていく。3アクセル、凄いスピードで決まる 4サルコウ、下りた! 次は4トウのつもりだったか、2トウに。3アクセルに2トウをつけて、このあと大丈夫かと思ったが、なんと後半に4トウを完璧に 2アクセル+オイラー+3サルコウの流れといったら!
ポーズをびしっと決めながらのステップ、滑りこんだフラメンコ 最後に3ループを跳んだが、うっかり2トウをつけそうになって慌てて1トウで止めたかな。
戦う男、だった。
チャ・ヨンヒュン(韓国) SP:60.32(19) FS:115.31(18) 総合:175.63(19)
「オペラ座の怪人」♪ 黒にゴールド。3アクセル、ちょっとぎりぎりか。3ルッツ単独に。3フリップに3ループつけちゃった!ぎりぎりだけど。2アクセル+オイラー+2サルコウを決め、後半3ルッツ+3トウはこらえた。3フリップ、3サルコウとまずまず。
スピンを終えて手で仮面を作ってフィニッシュ。とにかくできることは全部やったぜ!という感じだが、技術点は速報よりかなり下がった
<G2>
エドワード・アップルバイ(イギリス) SP:64.05(18) FS:109.91(21) 総合:173.96(20)
「Cry」「I Need You」♪ 黄色半袖シャツ。3アクセル+2トウ、決まった! 3アクセル2本目は少しこらえる。3ルッツ転倒、その後も予定通りとはいかなかったが、なんとか通した。
軽快な曲に乗っていくには、ちょっと機敏さが足りないかも。
コレンタン・スピナール(フランス) SP:64.10(17) FS:112.14(19) 総合:176.24(17)
「アヴェ・マリア」♪ 白にグレー。3ルッツ+2トウ、すごく高かったが危うかった 2本目のルッツは2回転に。3ループ手をついたが、3トウ+2アクセルが決まって拍手をもらう。3サルコウは2トウをつけただけに留まった。
キャメルスピンの軸足がピンと伸びているのがいい。ステップは一生懸命盛り上げていた。
アダム・ハガラ(スロバキア) SP:64.72(16) FS:108.04(22) 総合:172.76(21)
「Feeling Good」マイケル・ブーブレ♪ 白の前立てが赤。15歳ながらヨーロッパ選手権も世界選手権も経験している。3アクセル、ステップアウト。3ルッツ+2トウ入り、2本目の3アクセルもステップアウト。フリップ、2本目のルッツ、後半3ループ、2アクセル+2アクセルと下りた。
もう国のエースとして試合に出続けているせいか、動じない気持ちの強さを感じる。
ラファエレ・フランチェスコ・ズィク(イタリア) SP:65.19(15) FS:130.15(13) 総合:195.34(15)
「So Close」「I Found」「Land of All」♪ 黒。ハノイ生まれということでベトナム系と思われる。ふわっと高く上がる3ルッツ+3トウ、慎重に跳ぶ2アクセル。3ルッツ2本目もめっちゃ高く、いずれ4ルッツが跳べるようになるかも?
3フリップ、3ループ+2トウ、3サルコウ+オイラー+2サルコウ、3ループ、予定表に書いてある通りに全て跳んだ 体の動きがとてもしなやかなステップ、イリュージョンなどスピンの姿勢もしっかりしている。
アーレット・レヴァンディ(エストニア) SP:65.31(14) FS:134.79(10) 総合:200.10(12)
「La terre vue du ciel」♪ 濃紺。振付はブノワ・リショー。地元の声援を受けて、3ルッツ+両手上げ2トウ頑張る。2アクセル、3フリップ、圧巻は3ルッツ+オイラー+3サルコウだったが、ループでパンク 3フリップ+両手上げ2トウは入った。
ステップに入るあたりから、ぐいぐい盛り上げる力。アップライトスピンでヘアカッターも見せた。
レフ・ヴィナクール(イスラエル) SP:67.20(13) FS:124.91(15) 総合:192.11(16)
ヴィヴァルディ「四季」より「秋」♪ 白に紫。4トウ+2トウ、鮮やか 2本目4トウは転倒したが、3フリップ、ターンからの3ループと滑らか。3ルッツ+オイラー+3サルコウなんとか。
現代的なアレンジも取り入れた曲が、スピンのパートやステップのパートでうまく盛り上げている。ステップはほどよい疾走感があった。
<G3>
ナオキ・ロッシ(スイス) SP:67.61(12) FS:139.04(7) 総合:206.65(9)
「You Raise Me Up」♪ 赤紫系。3アクセル+3トウ、決まった!2本目3アクセルはややこらえたが大丈夫。両手上げ3ルッツ+両手上げ2トウ入り、3ループは下りてきれいにツイズル。ターンから入る2アクセル+オイラー+3サルコウ、最後は両手上げ3フリップ。
ととと、と走るような振付が入っているステップ、曲の盛り上がりと共にぐいぐいと動いていく。今日はスピードとコントロールの両方がちゃんとできていた。終わって一瞬泣きそうだった
ゲオルギー・レシュテンコ(チェコ) SP:69.67(11) FS:132.09(11) 総合:201.76(11)
「From Ear to Ear」「How You Like Me Now」♪ ブルーのジャケットに緑のタイ。4トウ+2トウ、入った 3アクセル片手をつき、2本目4トウはステップアウト。スピンの間にムーディーな曲に変わり、恋する青年の雰囲気でステップ。3ルッツはオーバーターンして単独に、次の3ルッツ+オイラー+3サルコウはうまくいった。
完璧ではないが、それなりにまとめられたかな。キス&クライでは納得の顔。
ニコライ・メモラ(イタリア) SP:71.42(10) FS:141.52(6) 総合:212.94(7)
「Modigilani」「Le Di a la Caza Alcance」♪ 紫系。3アクセル+3トウ、3アクセルと決まると勢いに乗る。3ルッツ、後半3フリップ+オイラー+3サルコウなど、全て予定通りに跳んだ ノーミスでステップに入ると自然と手拍子が起こる。ヨーロッパ選手権15位、観客もプログラムに馴染みがあるかな。手足長くて、アートっぽいプログラムが似合う。
キス&クライではちょっとおどけて見せる
本田ルーカス剛史 SP:73.01(9) FS:123.82(16) 総合:196.83(14)
「Blues for Klook」「Prophet」♪ 濃紺のシャツ。4回転は回避、3アクセルをまず決める。2本目の3アクセルでステップアウト、+REPになった。ループが2回転に、なぜか1アクセルからになった+オイラー+3サルコウ。ブルースのレイジーなムードをうまく醸し出すステップはなかなか魅せる。
後半3ルッツ+3トウなんとか、2アクセル+2トウ、最後の3ルッツはとてもきれい。いい感じのスケーティングに見合うジャンプがはまっていくといいな
ミハイル・シャイドロフ(カザフスタン) SP:75.14(8) FS:159.17(2) 総合:234.31(2)
「Once Upon A Time In America」♪ ブルーグレー。ノーミス 4ルッツ、4トウ+3トウ、いつも跳んでますよ~とばかりに軽々と。楽しげな曲に変わって軽妙にステップ。3ルッツ、3アクセル、一切問題なし。さらに後半、4トウ、3アクセル+オイラー+3サルコウ、3フリップ+2トウ、大きなGOEがつかなくても、マイナスにはならない確実なジャンプ。
できることを全てやりきって、ガッツポーズ コーチはアレクセイ・ウルマノフさん。
アンドレアス・ノルデバック(スウェーデン) SP:76.20(7) FS:129.93(14) 総合:206.13(10)
「ノートルダム・ド・パリ」♪ ブラウン。3ルッツでオーバーターンしたが3トウをつける。3アクセルはステップアウトで手をついた。3フリップ+オイラー+3サルコウ、3ループはきれい。
終盤、盛り上げるステップの流れで2アクセル、下りてすぐにスピンに入るところは良かった。大技がないので技術点は高くないが、演技構成点は高評価。確かに滑りはきれいだった。
<G4>
スティーヴン・ゴゴレフ(カナダ) SP:78.75(6) FS:145.74(5) 総合:224.49(5)
「The Rhythm of the Heat」「Darkness」「Red Rain」♪ 紫。4回転はサルコウ、+2トウで入った。2本目は2回転に。3アクセル+オイラー+3サルコウ、単独3アクセルのあたりは問題なし。3フリップに2トウしかつけられなかったのは悔しいかな。
体が大きくなったので、動きがとてもダイナミックに見える。
壷井達也 SP:79.15(5) FS:154.67(3) 総合:233.82(3)
ラフマニノフ「10の前奏曲 作品23」♪ ペールブルー。滑らかなスケーティングで、するするっと4サルコウが決まる 3アクセル+2トウ、単独3アクセルと安定して高い。シットスピンの間に曲がスローに変わり、柔らかく3ループ。3フリップ+3トウ決まり、3ルッツ+オイラー+2サルコウ、最後は単独の3フリップ。
どのジャンプもスピードがありながら、きちんとコントロールされている。スケーティングのスピード感は坂本花織に似てきた
リーアム・カペイキス(アメリカ) SP:79.83(4) FS:131.11(12) 総合:210.94(8)
「ムーラン・ルージュ」♪ クリーム色のシャツ。3アクセルで少しこらえたがオイラー+3サルコウをなんとか続ける。さりげない3ループ、しかしアクセルがパンク 3フリップ+3トウは完成度高い。
ステップからキャメルスピンのあたりは物語の中盤、また曲の雰囲気が変わってクライマックスへ。イーグルやイナバウアーなど美しいムーヴメントを続けてからの2アクセル、あれ、転倒 もったいなかった。
今後どんな成長を見せてくれるか、楽しみな選手。
ミハイル・セレフコ(エストニア) SP:81.26(3) FS:137.42(9) 総合:218.68(6)
映画「LOVERS」♪ 紫の濃淡。地元の期待を背負って、4サルコウ見事 両手上げ3フリップ+両手上げ3トウに3ループと決まるたびに歓声が上がる。3アクセル2本転倒が痛い でも両手上げ3ルッツ+両手上げ2トウ、さらに両手上げ3フリップで意地を見せた。
手足が長くてスピンが映える。ステップも一歩がよく伸びて切れがあった。
ウェズリー・チウ(カナダ) SP:81.59(2) FS:146.70(4) 総合:228.29(4)
「I Belong To You」ミューズ♪ ブルー系。きれいな3フリップから入り、4トウややこらえたが2トウをつける。2本目の4トウ転倒したが、さらっと3ループ。スピンでも丁寧に見せる。
3アクセル、ややこらえた。3ルッツでオーバーターンしたが3トウをつけ、3ルッツ+オイラー+3サルコウ、ちょっと手をついた。
SPほどの完成度は見せられなかったが、何よりスケーティングが光る。
イリア・マリニン(アメリカ) SP:88.99(1) FS:187.12(1) 総合:276.11(1)
「Nobody Knows」「Golden Age」♪ ブルーにゴールドのライン。冒頭の4ルッツこそ完璧な着氷ではなかったが、GOEがマイナスになるほどではなく、イーグルからの4トウ、3アクセル下りてツイズル、4サルコウ下りてイーグル、余裕
ステップに入るところから曲が変わってじっくり見せる。後半4トウ+オイラー+3サルコウ、あまりにも簡単に跳んで 3フリップ+3トウ、3ルッツ+3トウ、もうステップの一部? 手拍子に送られてスピンをこなし、拳を突き上げるフィニッシュはそのまま勝利のポーズ
世界選手権より高得点を世界ジュニアで出した ジュニアで技術点100点越えって一体
結果、優勝はマリニン、ジュニアの世界最高得点を更新。2位はSP8位からジャンプアップのシャイドロフ、3位壷井達也 鍵山優真に続いて2大会連続の日本男子メダルとなった。4位ウェズリー・チウ、5位ゴゴレフ、地元期待のセレフコは6位。三浦佳生は13位、本田ルーカス剛史は14位だった。
来年の枠は、アメリカ・カザフスタン・カナダが3枠、日本・エストニア・イタリア・スイス・スウェーデンが2枠。そしてジュニアグランプリシリーズは、アメリカ・カザフスタン・日本が最大の7大会2名ずつ計14枠をゲットした。
表彰式を待つ間、マリニンとシャイドロフがロシア語で喋っていたようだ。シャイドロフは練習拠点がソチでコーチもロシア人だし、マリニンは家庭内言語がロシア語と思われる(リンクサイドに戻ってきたとき「スパシーバ!」と言ってた)。
壷井達也選手は来季は必然的にシニアだが、世界ジュニアでメダリストになったので、グランプリシリーズに出られる可能性が高くなった。これは楽しみ
明日はアイスダンスと女子のフリー