世界フィギュアスケート選手権2019、ペア・フリー(ジャッジスコア)。会場では細かいところが見えなかったので、J SPORTS 4の放送でいろいろ確認しながら
<G1>
ハンナ・アブラジェヴィッチ/マルティン・ビダル(チェコ) SP:48.66(19) FS:91.36(18) 合計:140.02(18)
「The Hollywood Wiz(シルク・ド・ソレイユ)」♪ 紫、黒。ダブルアクセルは乱れたが、3サルコウ+2トウ+2トウをそろえた。スロー3フリップ転倒、スロー3サルコウはちょっと足をついた。
ラストのスピンで、男性がキャッチフットのキャメル、女性がシットという姿勢の組み合わせが面白い。
「今日は元気がなかった」と解説・小山朋昭さん。
レベッカ・ギラルディ/フィリッポ・アンブロシーニ(イタリア) SP:52.02(18) FS:81.73(19) 合計:133.75(19)
「ボニーとクライド」♪ 赤、白シャツにストライプベスト赤タイ。ツイストはキャッチがぎりぎり サルコウのコンビネーションは女性が1回転で終わってしまった。スロー3サルコウは膝を深く曲げてこらえ、3フリップは少し手をついた。
リフトの最中に男性の足が引っ掛かってふらつき、女性を変な下ろし方に。その後のリフトは慎重にキャリーしたが、「腕を伸ばし切った状態で1回転以上」を満たせずに0点 なかなかうまくいかない、、、
ゾーイー・ジョーンズ/クリストファー・ボヤジ(イギリス) SP:52.45(17) FS:101.25(16) 合計:153.70(17)
「To Build a Home」♪ ピンクベージュ。3トウ+2トウ、そろって下りた! ツイストのキャッチは位置が低めだがきちんと下ろす。2アクセルもきまった。
キャリーリフト、ダンスリフトが素敵なコレオ、スロー3ループと3フリップも頑張った。しっとりとしたスピンでフィニッシュ。
終わって喜びに吠えたボヤジ、涙こみあげるジョーンズ。技術や得点だけではない世界 フリー、トータル共にシーズンベスト。
<G2>
ラナ・ペトラノヴィッチ/アントニオ・ソウザ-コルデイル(クロアチア) SP:53.70(15) FS:100.29(17) 合計:153.99(16)
「The Light of Seven」「The In-Between」「Imperfection」♪ グレーと白。ツイストが高い! 2アクセル+2アクセルのシークエンスで女性が転倒、単独ジャンプは2サルコウで予定通り。「このペアはジャンプがあまり得意でないのかも」と解説・小山さん。
スロー3フリップ、3ループはきれいに下りたように見えたが両足着氷。キャリーリフトは男性が必死で片足 コレオのリフトがアイスダンスのステーショナリーリフトみたいで良かった。
ラウラ・バルケロ/アリツ・マエストゥ(スペイン) SP:55.58(14) FS:106.69(15) 合計:162.27(15)
「2046」♪ グレー系、女性はつなぎ。
フリー、トータル共にシーズンベスト。3サルコウ+2トウは2人の距離が遠くタイミングが少しずれたが、そろって下りた。高さのあるツイスト、スロー3フリップ決まる。コレオのダンスリフトで女性がキャッチフットの姿勢がきれい。
コミカルなSPとはがらっとイメージを変えたフリー、悪くない。
リョム・テオク/キム・ジュシク(北朝鮮) SP:58.77(13) FS:116.54(10) 合計:175.31(11)
「Je ne suis qu'une chanson」♪ 黒つなぎ。この曲好き 高さ回転速度とも申し分ないツイスト。3トウ+2トウ+2トウは男性が3つ目が1回転に。スロージャンプの投げ方が自然で下り方もきれい。2人が大きく離れてから交差するなどの動きを入れる工夫。そろって滑ると膝のラインや手の位置がそろって、とてもペアらしい。
大人っぽいムードが出せるようになってきた。
アニカ・ホッケ/ルーベン・ブロマールルト(ドイツ) SP:53.16(16) FS:113.20(13) 合計:166.36(14)
「Land of All」♪ グレーと黒。ツイストはそれほど高くないが安定していた。3トウ+2トウ+2トウは少しずれたが2人とも着氷。スロー3ループ、「投げた瞬間から回転軸が変わらない」と評価する小山さん。スピンの入りやデススパイラルの出方などに工夫があった。全体の流れが滑らか
フリー、トータル共にシーズンベスト。
<G3>
イヴリン・ウォルシュ/トレント・ミショー(カナダ) SP:59.84(12) FS:114.56(12) 合計:174.40(12)
「ロミオとジュリエット」♪ 紺系。3トウ+2トウ+2トウをそろって決めて波に乗る。ツイストは抱きかかえるキャッチになったが、スロー3ループ、スロー3トウとしっかり決めた。コレオで女性を回転させながら持ち上げて下ろすリフト。ペアスピンを終えてステーショナリーリフトのように抱えてフィニッシュ。
ミスが少なく、GOEマイナスはツイストだけ。フリー、トータル共にシーズンベスト。「今後は基礎点の高い要素を入れて」と小山さん。
ミリアム・ツィーグラー/セヴェリン・キーファー(オーストリア) SP:63.65(11) FS:115.01(11) 合計:178.66(10)
「Hello」「Rolling in the Deep」アデル♪ 紫の濃淡。ツイストはキャッチがぎりぎりかな?と思ったら、レベルB止まりだった。コンビネーションジャンプは女性が2つ目で乱れた。スロー3フリップは両手をついたが、スロー3サルコウは片手上げの美しい姿勢 イーグルでのキャリーリフト、膝をついた姿勢から上げるリフトなど、いろいろ見せてくれた。
ミネルヴァ・ファビエンネ・ハーゼ/ノラン・シーゲルト(ドイツ) SP:64.28(10) FS:109.76(14) 合計:174.04(13)
「House of the Rising Sun」♪ 黒に赤を少し。ツイストをまとめたが、3トウで女性が足と手をついてしまい、コンビネーションにできず。3サルコウはそろって決めた。
スロー3ループは片手をついたが大きなジャンプ、スロー3サルコウはきれい。リフトで明らかに途中でやめて下ろさざるを得なかったものがあったが、一応成立して0点にはならずにすんだ。
アシュリー・ケイン/ティモシー・ルデュク(アメリカ) SP:66.93(9) FS:126.88(9) 合計:193.81(9)
「ウォリスとエドワード~英国王冠をかけた恋~」♪ グレーつなぎ。コールされる前から、作品の世界を作っている。レベルもGOEも高く評価されるツイスト、3ループは2人とも頑張る。スロー3ルッツは素晴らしい 3サルコウ+2トウ+2ループもそろって下りた。
スロー3サルコウの転倒はあったが、作品として曲とマッチして美しい流れ、いいプログラム。高得点に大喜びのキス&クライ
<G4>
ニコル・デラモニカ/マッテオ・グアリゼ(イタリア) SP:67.29(8) FS:128.45(7) 合計:195.74(8)
「トリスタンとイゾルデ」♪ グレー系、グレーと茶。3サルコウでは男性がステップアウト、コンビネーションでは1つ目が2トウで乱れてしまった。しかしスロー3ループ、スロー3サルコウと幅と流れが見事。デススパイラルを出たところで女性がイーグルになるのが素敵。リフトは安定していて、要素で音楽を表現していた。
女性の衣装が小さめなのか、お尻がTバックっぽくなっていて、妙に気になってしまった
ヴァネッサ・ジェームズ/モルガン・シプレ(フランス) SP:68.67(7) FS:146.52(3) 合計:215.19(5)
「Wicked Game」「Tha Last Feeling」♪ ダークグレーのつなぎ。ツイストのキャッチ位置が高く、GOEは満点に近い。コンビネーションジャンプは女性が2トウ+2トウ+2トウになった(ペアは2トウを3回跳んでも問題ない)。
スロー3フリップのダイナミックさ、キャリーリフトの安定感。入り方が難しいデススパイラル、ラストはリフトのまま膝をついて抱えてフィニッシュ。
SPの失敗を取り返す高得点に満足そう
カーステン・ムア-タワーズ/マイケル・マリナロ(カナダ) SP:73.08(5) FS:126.94(8) 合計:200.02(7)
「Shine On You Crazy Diamond」「Tha Happiest Days Of Our Lives」「Another Brick In The Wall」ピンク・フロイド🎵 黒系。ツイストはあまり高さが出ず。コンビネーションジャンプは男性が3サルコウ+2トウで乱れて3つ目に続かず、トウループも2回転止まり。スロー3ループは幅と流れが素晴らしい。
終盤曲がアップテンポのなったところ、もう少し“乗れる”感じにしたかったかな。
アレクサンドラ・ボイコワ/ドミトリ・コズロフスキー(ロシア) SP:69.99(6) FS:140.31(6) 合計:210.30(6)
チャイコフスキー「くるみ割り人形」♪ ピンク系に白スカート、黒。大きく交差しながら滑り出し、3サルコウ、3トウ+2トウ+2トウと全く乱れがない。ツイストも問題なく、スロー3サルコウ、スロー3ループは完全に回転し終わってから下りてくるので、着氷後の流れが半端ない。
どの要素もミスなく、クラシックなバレエの世界に浸らせてくれた。堪能した観客のスタンディングオベーション 終わってコズロフスキーは氷に突っ伏した。
もちろんフリー、トータル共にシーズンベスト。ボイコワがオルゴールの中でくるくる回るお人形みたいに可愛い ご挨拶もくるくる
インタビューで「明日はテーマパーク(ディズニーランド?)で楽しめる」と嬉しそうなティーンエイジャー
<G5>
パン・チェン(彭程、Cheng PENG)/ジン・ヤン(金楊、Yang JIN)(中国) SP:75.51(3) FS:140.33(5) 合計:215.84(4)
「ラ・ヴィ・アン・ローズ」♪ 赤紫、黒。3サルコウ、3トウ+2トウと2人のタイミングまでそろって下りる。スロー3ループは満点に近く、スロー3サルコウもばっちり。コレオのダンスリフト、いい感じ リフトも淀みなく、ドラマチックな曲とマッチしていた。
終わって拳を突き上げた金くん 笑顔のキス&クライ。
ナタリア・ザビアコ/アレクサンデル・エンベルト(ロシア) SP:73.96(4) FS:144.02(4) 合計:217.98(3)
「Toi et Moi」♪ 黒。ひゅっと高く上がるツイスト、3トウ+2トウ+2ループが完璧なシンクロ。3サルコウはわずかにずれたが2人ともクリーンなジャンプ。
スロー3フリップ、空中で若干傾いたように見えたが着氷はきれいに、スロー3ループも鮮やか。
ここから曲がフランス語バージョンから、重厚なバリトンのロシア語バージョンに。力強いフィニッシュ。
シーズンベストでトップに立ち、メダルを確定させる。
エフゲニア・タラソワ/ヴラジミール・モロゾフ(ロシア) SP:81.21(1) FS:147.26(2) 合計:228.47(2)
「The Winter」♪ 白からグレー、グレーから黒。高々と放り投げるツイスト、3サルコウと3トウ+2トウ+2トウは男性が着氷で足をついたが、クリーンなジャンプをそろえる。スロー3サルコウ、スロー3ループと着氷後の流れが雄大。情感がにじみ出るスピンやコレオ。男性が片手だけのホールドで女性が姿勢を変化させていくリフト、迫力があった。
終わってガッツポーズのタラソワ、モロゾフの背中を叩いてねぎらった。シーズベスト。
スイ・ウェンジン(隋文静、Wenjing SUI)/ハン・ツォン(韓聰、Cong HAN)(中国) SP:79.24(2) FS:155.60(1) 合計:234.84(1)
「Rain, In Your Black Eyes」♪ 紺、黒。女性が男性の靴に手を乗せて逆立ちの振付から。ツイストは片手上げの美しい姿勢、3トウ+2トウ+2トウそろった! スロー3サルコウの流れに男性がスピードを上げて追いつき、そのままデススパイラルに。足を絡めるスピン、そろえる3サルコウ、強い音と同時に完璧なスロー3フリップ。
コレオは組んだり重なったりしてスパイラルやイーグルをするペアが多いが、サイドバイサイドできびきびしたステップ、大人の表現に心を掴まれる。リフトで女性がノータッチのまま変えていく姿勢が鮮やかすぎる。
終わった瞬間、会場が感動に包まれた。何度もハグする2人、素晴らしかった
フリー、トータル共にシーズンベストで優勝を決めた
結果、スイ/ハンが人生最高の演技で優勝、2位タラソワ/モロゾフ、3位ザビアコ/エンベルト。4位パン/ジン、5位ジェームズ/シプレ、6位ボイコワ/コズロフスキー。北米勢では7位ムア-タワーズ/マリナロが最高で、8位デラモニカ/グアリゼ、9位ケイン/ルデュク、10位ツィーグラー/キーファー。
来季枠は、中国、ロシアが3枠、フランス、カナダ、イタリア、アメリカ、オーストリアが2枠となった。
来年は日本のペアも出場できますように