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方大同「Soulboy」(出身:ハワイ 活動:香港)

2005年12月21日 17時14分01秒 | CD紹介

 方大同、英語名はKhalil Fong(カリル・フォン、でいいだろうか)。この人も十一狂潮Cyber Liveで見た。張繼總(ルイス・チョン)、葉宇澄(ユージン・イップ)とのセッションがとってもよかったので、それで名前が記憶に残っていた。最近、チャートに名前が出始めたと思ったらアルバムリリース。年末賞レースに名乗りを上げてきた。このジャケット写真ではジェントルな雰囲気だが、歌詞カードにはティアドロップのサングラスにキャップでヒップホップなイメージもある。
 全曲、北京語。ほとんど自作曲。作詞も6曲。ひとことで言うと、R&B。サウンドは、陶か王力宏を思わせる。単語の途中に息継ぎを入れる独特のリズムは、デビュー当時の周杰倫を思いださせ、自分でコーラスを重ねていく音作りは林子良のようでもある。・・・今までなら、間違いなく、台湾デビューするタイプだ。だいたい、全曲北京語なんだし、、、? が、「Prologue」では、英語・北京語・広東語の3言語ボイスオーバーでしゃべっている。十一狂潮でも広東語で曲紹介してたし、広東・香港に何らかの縁があって(両親のどちらかor祖父母の誰かの出身地とか)、あえて香港でデビューすることにしたのかもしれない。また、台湾でデビューしたらただの2番煎じ扱いされかねないが、香港だったら新鮮な印象を出せると読んだかも。
 先行オンエアした「妹妹」はノリのいいR&B。「春風吹」は一人アカペラコーラスに軽く打ち込みを合わせている。「毎天毎天」はスローなドゥワップ、「叫我怎麼説」は同じ音・フレーズを繰り返しながら徐々に盛り上がり、クールなボサノバ「哪怕」はロマンチック。「南音」では敬愛するStevie Wonderに重ね合わせて盲目の二胡奏者・Ah Bing(漢字は書いてない)を題材にしている(ストーリー性豊かな詞は林夕)。「趕場」ではストリングスを使ってブルーなムード、最後は懐メロ「等著你回來」を叩くアコースティックギターとスクラッチ、ハンドクラップでファンキーに決めてくれる。全体に工夫は凝らしているが作りすぎてない音で、すっきりしていると思う。
 Hidden Trackにはラジオドラマ風の会話が入っている。場面は学生街のカフェテラスらしきところ。
「ここ、空いてます?」
「空いてますよ、どうぞ」
「何飲んでるの?」
「・・・カプチーノ」
「本読んでるの?」
「復習してるの」
「今日は日曜日なのに?」
「明日試験があるから」
「試験か、、、僕はリラックスしてるよ」
「フフフ」
「君の名前、あててみようか」
「いいけど?」
「ええと、、、アシュトリー」
「え?どうしてわかったの?私のこと知ってたの?」
「違うよ、そこの本に書いてあったから」
「なぁんだ(笑)で、あなたは?何ていうの?」
「うーん、、、言いにくいんだよね」
「何それ、そんなにすごい名前?言ってみて」
「うん・・・Khalil」
「え?何?」
「Khalil」
「カ、リ、ル?」
「まあそんなところ、、、Khalil」
 この会話を聞くかぎり、広東語は日常会話に問題はないようだ。広東語詞の曲を入れてもよさそうだが入れなかったのは、何か方針があるんだろうか? 自分の曲には北京語詞が合ってると思っているのか、あるいは歌だとちょっと自信がないのか。作詞もできるということは、北京語は学校でちゃんと習っているのかもしれない。
 いずれにしろ、このサウンドと北京語詞のアルバムをひっさげて香港でデビューしたことに、彼と香港ポップス界の両方に大きな意味があるような気がする。

<追記>
 プロフィールや雑誌インタビューによると、お母さんは香港人で、上海に住んだことがあるとか。英語→北京語→広東語の順にできるそうで、お母さんとの会話は広東語が多めとのこと。「R&Bには北京語の響きが合う」と考えて北京語を選択したとか。頷ける気がする。
Soulboy @YesAsia.com

コメント (9)
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