AKB48の旅

AKB48の旅

掌が語ることMV

2013年03月31日 | AKB
素晴らしかった。静止画にしたことで、瞬間の表情が掬い取られてて、表面的な感動のさらなる奥へと届いてる、そう感じられた。曲調が淡々としてるのと、とても良くマッチしてると思う。

そこに写し取られたメンバーの表情を見ていると、アイドルとしての「かわいさ」を超えた、もっと普遍的な「女性性」のようなものと向き合ってる、そんな感覚になってることに気づく。美しく、気高く、強く、優しく、すべてを包み込んでいく、それは「母性」と呼ぶべきもののように思う。

かわいいは子供属性だけど、母性は大人属性。自然災害へと対峙するAKBGの姿は、優れて母性的に思えてきた。これまでは、マクロス的な世界観というものを援用することで、例えば"Show must go on"なんかを、アイドルと自然災害の対比で捉えるというスタンスだったけど、もっと母性的な視点で受け取るべきだったのかも知れない。

つまりは命を育む者、未来へと命を繋ぐ存在。「若い女性」という表現をいろんなところで目にするけど、その意味するところは、妊娠可能年齢の女性ということなんであり、そこに埋め込まれた価値観の本質とは、つまるところ、子をなすことの可能性、新たな命をこの世に送り出すという神秘だろう。

そんな「若い女性」であるところのメンバー達が、被災地を訪問して、歌い踊るというのは、正に失われた命を補い、未来へと繋いでいくこと、その深い傷口を慈しみ、癒やし、死の淵から生を蘇らせるという行為そのものなんじゃないか。

アイドルに生命力の比喩を見る、そういう趣旨のことを以前に書いたけど、呪術という言葉は避けといた方が良いのかもしれないけど、そこには優れて呪術的な、正に生老病死なレイヤへの働きかけがあるのであり、そのアプローチは、実は母性だったということであり、だからこそ、AKBGの被災地訪問は、圧倒的に説得的であり、感動的なものとなったんじゃないか。