イタグレと暮らす戌年男のブログ

 イタリアングレーハウンド(イタグレ)と過ごす中で、家族、趣味、出来事についての感想などを書きたいです。
 

「天下大乱」伊東潤

2021-02-11 09:45:26 | 
 週刊朝日の新連載小説「天下大乱」(伊東潤)。

 秀吉が家康に「秀頼のことを頼むぞ」という、そういうところから始まりました。

 このまま話が進んでいくのか、そこにいたるまでの家康の生い立ちが出てきたりするのか。

 家康が、秀吉に、
 『つつがなく十五年の天下を預かった後、すべて秀頼公にお返しいたします』と返事をしているし、そのあとに、
 
 わしは天下などいらぬ。
 それが家康の本音だった。

 そうも書いてあります。

 天下を取った者は、いつか滅ぼされる。平家しかり、源氏しかり、北条得宗家しかり、足利家しかりだ。

 秀吉の方は、
 『そなたに淀をもらってほしいのだ』とも。
 そうすれば、家康が天下取りに向かわないだろうと。
 家康は、淀殿が受け容れるとは思えないけれど、返事はしています。あくまで中継ぎなんだということで。

 これらの話が、どんなふうに展開して、歴史の流れが書かれていくのか。
 楽しみです。

「砂に埋もれる犬」終わり

2021-02-04 09:56:16 | 
 週刊朝日の連載小説「砂に埋もれる犬」(桐野夏生)が最終回となりました。

 連載小説2本が、同じ号で最終回に。
 「御坊日々」は最後に(了)とあり、「砂に埋もれる犬」は(終わり)と書いてありました。
 作者によって、終わりの言葉が違ってます。

 こちらは、まさかここで終わるの、という感じ。

 里親になったのに、思ったようにはいかないというのか、ある意味それを予期していたかもしれないけれど、予想していた以上に大変だったというのか。

 登場人物がこれから、どうなっていくのか、その先を知りたい気もするけれど、それを読者が想像する、考える、そういうことなのかな。

「御坊日々」了

2021-02-04 09:45:59 | 
 週刊朝日の連載小説「御坊日々」(畠中恵)が最終回となりました。

 明治時代の話なんだけれど、現在のことを指摘しているように思えてきました。

 特に最終回はすごく感じました。

 変化が早くて、ついていけなくなる。
 年配者がついていけないから、若者に教えてもらうんだけれど、その若者だってあっという間に置いてけぼりになってしまうかもしれない。
 江戸から明治というのか、江戸から東京というのか、そういう大きな節目と、現在の変化はまた違っていると思うけれど、いわんとしているのは現在の状況かも。

 今まで通りでいいのに。新しい機能なんてなくても、十分使えているのに。そういうことがたくさん。

 『世に遅れてしまう。いや暮らすのに困ってしまう』
 この指摘が現在のように思えてしまいます。

 政治家という人たちが登場したのも明治の特徴。
 そして、その人たちが利益を独り占めしようとしている。それもちょっとね、今のことをいっているかも。

 主人公の冬伯は
 『まあ、何とかなるか』という言葉で、気持ちが楽になるようにしています。

 『そうやって、己を許していければ、明日へ向かうのが、大層楽になるような気がしているからだ』

 そうなんですよね。それができたらいいんだけれど、あれこれ情報が入ってくると、気持ちがなかなかそっちにいかなくて、体調にまで影響がでたりするというのが、実感していることです。

小保方さんの時に似ているような

2020-12-10 10:19:45 | 
 週刊朝日の週刊図書館のコーナー、斎藤美奈子さんの「今週の名言奇言」でとりあげたのは、
 マーティン・ファクラー『吠えない犬』双葉社
 副題は「安倍政権7年8ヵ月とメディア・コントロール」

 菅総理就任の際に、「秋田のイチゴ農家の出身」「集団就職」「ダンボール工場に就職」「苦学して大学を出た」「パンケーキが好き」などの情報を検証せずに伝えるのは<ただ皆で協力して新首相誕生のお祭りを盛り上げているだけだ>
 
 そういうことが書かれていました。

 その一方で、
 <「冷徹な権力者」の一面を報じなければ、国民に偏った情報しか与えないことになる>とも。

 生い立ちというのか、プロフィールというのか、その部分に関して小保方晴子さんのことを思い出しました。
 STAP細胞の研究。
 あの時も、STAP細胞以上に、割烹着スタイルで研究とか、ピンクの壁(研究室)とか、本質的でない部分が大きくクローズアップされていました。

 それとSTAP細胞に疑義が出たことは無関係かもしれないけれど、「吠えない犬」で指摘している点は、小保方さんの時の報道と共通しているように思ったのです。

 <安倍政権のおよそ8年間は、日本のメディアが崩壊していく8年間だった>という記述もあるのですが、小保方さんのSTAP細胞はその期間に含まれます。

「愛情の庭」新井たか子

2020-12-05 20:35:24 | 
 月刊誌「視覚障害」12月号で、「愛情の庭」という書籍が紹介されていました。
 桜雲会から復刻版が出版されています。

 著者の新井たか子さんが100歳を迎えられたということで、紹介。

 1920年生まれ。

 私の母は1918年生まれ。近いです。

 同じ時代に視覚障害者として暮らしていたんだと思うと、それだけでも何か感じるものがあります。
 ただ、新井たか子さんのように本を書くような立場の生き方ではなかったです。

 新井さんは子どもの頃に盲学校を経験。戦前です。

 私の母は、戦後盲学校に入学。中途失明者として30代であんま・マッサージ・指圧の勉強。
 新井さんは教員の道。

 それでもやっぱりどこか近いものを感じます。
 そして100歳でご健在というのもすごいです。

 記事の中にも、いろいろなご苦労や、逆に充実した暮らしぶりも書かれていて、もし今、母が生きていたら、読んであげることができたのに、と思いました。

ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏に関する書籍

2020-11-20 10:47:27 | 
 週刊朝日の書籍コーナー「週刊図書館」
 斎藤美奈子さんの「今週の名言奇言」に取り上げられていたのは、
 「ルース・ベイダー・ギンズバーグ」 
 ジェフ・ブラックウェル&ルース・ホブデイ編、橋本恵訳 あすなろ書房

 最近、ギンズバーグ氏に関する書籍が紹介されていたことを思い出しました。

 月刊誌「視覚障害」11月号で弁護士の田中信明さんが取り上げていました。もしかして同じ本かなと思って調べてみたら違いました。
 「大統領を動かした女性 ルース・ギンズバーグ……男女差別とたたかう最高裁判事」(ジョナ・ウインター著、渋谷弘子訳、2018年、汐文社)
 田中信明さんは点字図書を探したので、この本に。

 どちらも、共通する内容があると思うのですが、同じ時期にギンズバーグ氏の違った書籍の紹介を読むというのは、やはりそれだけ功績が大きかったということなんだと思います。

同調や権威に関する考察

2020-11-20 10:37:15 | 
 同調圧力という言葉をしばしば見聞きします。
 最近、よく使われるようになった気がするけれど、過去にそういう内容の本を読んだように思って、本棚チェック。

 ありました。
 「不思議現象 なぜ信じるのか こころの科学入門」
 北大路書房 菊池聡 谷口高士 宮元博章編著
 1995年4月25日初版

 その本の3章が「影響されるこころ」(執筆:田村美恵)
 各節は、
 1 私たちは「権威」に弱い
 2 他人と同じように行動するーー同調の心理
 3 マスメディアがつくり出す「現実」
 4 効果的な説得のやり方は
 5 誰もが陥る説得の罠ーーカルト・マインド・コントロール
 6 うわさの広まり、うわさをするわけ

 目次を見ただけでも、現在の状況に共通するものが多いと感じます。

 再読して、現在とどんなふうに関わっているか考えてみたいです。

「8050」了

2020-10-31 20:22:35 | 
 週刊新潮の連載小説「8050」(林真理子)が最終回となりました。
 
 裁判は結審して、家族それぞれが未来に向かって歩み始めています。

 いじめを証明するのは大変なことだけれど、この話では携帯電話に残っていた写真や、それに関して証言してくれる人が出てきて、いじめた側が「憶えていません」を連発しても、いじめが認められました。

 金額面では十分な補償と言えないとしても、事実が認められたことで、前に進むことができた、そういうことなんだろうと思います。

 現実に、いじめの件数は増えていて、この小説でも携帯電話で写真を撮って、他校の女子生徒に送るとか、そういう使われ方がありました。
 今は、SNSでもっと陰湿なことがあるのかもしれません。

 もうちょっと先、例えば1年後にこの家族がどうなっているのか、知りたいなぁと思うけれど、小説ですから、そういうのは読者が想像すればいいんでしょうね。

誰のことを指摘しているのだろう?

2020-10-28 09:48:05 | 
 週刊朝日の連載「政官財の罪と罰」(古賀茂明)

 今週号のタイトルは「自民党右派と日本学術会議問題」

 1ページという限られた文字数で、ポイントをきっちり押さえた内容でした。

 一番のポイントかと思ったのは、
 『自民党保守派の中には、表向きはともかく本音では、太平洋戦争の過ちを認めず、憲法の平和主義を否定する大きな勢力が存在する』

 そうなんですか。誰のことなんでしょう? 
 氏名はいっさい書かれていません。

 他の表現としては、
 『自民党の好戦的右翼層がついにその仮面を脱いで平和主義の転覆と基本的人権の抑圧に向けて堂々と動き出している』とも。

 これが、今回の任命拒否だけをいっているわけでなく、
 『彼らは一貫して「日本学術会議潰し」の動きを続けてきた』

 誰なんでしょう? あるいは、どのグループなのでしょう?
 そこは読者が日頃の言動がから判断してくださいということかな?

「8050」次回完結

2020-10-25 10:25:48 | 
 週刊新潮の連載小説「8050」(林真理子)。

 次号完結となっていました。
 今週号が第34回なので、思ったより短いというのか、1年かからないんですね。

 中学生時代にいじめが原因で引きこもりに。
 そのいじめを裁判ではっきりさせようということになったんだけれど、その前に、自宅の3階から飛び降りて、車椅子の生活に。

 しかし、裁判では引きこもりの頃とは全く違った状態になっているようです。

 完結はどういうかたちになるのか。
 
 今週号ではいじめた側の同級生が証人として出廷し「憶えていません」の連発。弁護士の入れ知恵であろうと。

 いじめに限ったことではなく、政治の世界でも「記憶にございません」は常套句。
 なかったとはいわない。記憶にない、憶えてないというのは、何かの証拠が出てきた時に、ああそうだったという逃げ道にもなる。

 ちょっと現実と小説とごっちゃですが、そういうことを考えてしまいました。
 
 今週号の裁判が終わったとしても、すぐに判決がでるのか。その辺は1回分でも時間をとばしていくこともできるから、数年後の話になっているのかもしれません。
 反対に、裁判が終わったことで、大きな区切りで完結なのかもしれません。