よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

エンドユーザ参加型のコミュニティの「場」

2005年07月06日 | オープンソース物語
オープンソースCRMをテーマとするエンドユーザ参加型のコミュニティの創設、運営に関わることになった。詳しい内容は日経IT Proでも紹介されている。早稲田大学ビジネススクール千葉市産業振興財団ケアブレインズとの産学官連携によるスキーム。

アプリケーション領域のオープンソースを産学官の枠組みで立ち上げ、まさにオープン化してゆくプロジェクトは日本はおろか、世界にもさほど類例はないだろうが、初めてだからオモシロイ。あと数週間で正式にアナウンスができる予定。

さて、今回のコミュニティにたいしては個人的な期待がある。いくつかまとめてみよう。

・問題意識の強い個による自律分散的な「場」のわかちあい
・わくわく、どきどきの知的好奇心満載の「場」づくり
・プロセスの共有と成果が円循環する「場」を掘り下げる
・「ものづくり」よりオモシロイ「ことづくり」
・異質な「こと」のフュージョン、組み合わせによるイノベーションの「場」

「オープンソースソフトウエア開発におけるインベーションの分析」山内 et.alによると、相談、質問、報告、広報というコミュニケーションが全コミュニケーションの67%を占める。このような多義性を廃した、どちらかというとストレート・フォワードなやりとりを介して、エリック・スティーブン・レイモンドが「伽藍とバザール」で記述したように、コミュニティでの開発スタイルは従来型のウオーターフォール型やスパイラル型ではなく、仕様、開発、実装がとめどもなく重なりあうオーバーラップ型になってゆく。

また社会的文脈から生じるアイデンティティーにオブラートをかけて参加するネットワーカーは、コミュニティという場で行動し、成果を投げかけることによって、逆にアイデンティティを確立してゆく。名刺、役職、会社の名前に依存しない素の個人が交わることとなる。ただし、お金、地位などの外発的な報酬はない。内発的動機にもとづいた成果主義の場である。リアルな組織、近年の企業組織が、外発的報酬をテコにして実現しようとし、その多くが失敗した成果主義が(もしかしたら)ネット上で出現する。

このコミュニティの組織行動としてのコミュニケーションモードを統計的に分析し、成果物実現、共有のプロセスを記述的分析でまとめれば、博士論文のテーマ、一冊の研究書になるかなあ^^)