よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

米国発金融恐慌はいよいよ連鎖フェーズへ。で資産はどうする?

2008年09月16日 | 恐慌実況中継
恐慌リスクが高まっているが、恐慌とはいったいなんなのか?

恐慌とは、マルクスが『資本論』で論述した近代社会の経済的運動法則、つまり、「資本の絶対的過剰生産」と景気循環の避けられない必然性のことである。軽工業を中心にした19世紀型の産業構造が、重化学工業を中心にした20世紀型の産業構造に転換する中で、19世紀型の恐慌は消滅した・・・というようによく経済学の教科書では説明されている。

しかし昔の教科書は、今回の米国発恐慌が現実のものとなれば大幅にかきかえられなければなるまい。21世紀の今日でも資本の過剰と景気循環は繰り返しやってくる。しかも国際金融資本の強欲資本主義と仮想マネーのオーバーフロー、そしてグローバルな規模のクレジットクランチによって起こされる遥かに悪性の循環が。

帝国主義戦争や冷戦=機軸通貨国家アメリカの産軍複合体制によるドルの垂れ流しとケインズ政策=有効需要理論などによって、資本の過剰と景気循環は定期的に発生している。

実体経済の経済成長以上に資産価格が上昇した状態がバブル経済だ。投機によってもたらされるアンバランスな状態は維持できるものではない。だからITバブルではIT企業の株価が調整されたし、今回のアメリカ住宅、不動産価格も調整されている。

実体経済の成長にキャッチアップできない資産価格の「中身がない」資産上昇分(バブル)はいずれ実体経済との乖離を解消することとなる。それまで投機を支えていた何らかの期待、前提、ストーリー、神話の崩壊や政策対応による資産価格の減額などをきっかけにして、投機が終息し資産価格が下落することとなる。いわゆるバブル崩壊だ。

ここでポイントとなるのは「調整」。いったい誰が調整するのか。神の見えざる手とかなんとか言っているのは、古いテキストだけで、実際は調整することによって利益を誘導したい寡頭勢力がちゃんとシナリオを書いている。調整が計画されれば、それは計画された恐慌、意図された恐慌となる。ITバブルの崩壊につづき、またもや、計画された調整としての住宅バブル崩壊、そして深刻な金融不安、金融恐慌が迫っている。

住宅バブル崩壊に起因するサブプライムローンの焦げ付きで始まった米国の金融危機は、第1フェーズの貸し渋り、貸しはがし、資産売却を通過した。リーマン・ブラザースの破綻によって第2フェーズの金融機関の破綻に移行した。これが今日の出来事だ。

これから米国金融機関の破綻は続出する。そして破綻が連鎖してくると、倒産が倒産を呼ぶという恐慌スパイラルとなる第3フェーズを迎えることとなる。どの会社にババを引かせるのか?今後はババぬきのターゲットが陰湿に決められてゆく。保険会社大手ののAIGあたりがヤバい。

金融機関が金繰りに窮して世界中の不動産・株・企業などあらゆる保有資産を売却するだろう。こうして、世界中の株式、債券、電子化されたマネーの価値が崩壊し奈落のドン底に堕ちる。この現象が第4フェーズの米国発の世界恐慌。

では、自らの資産を防御するにはどうしたらいいか。あらゆるセキュリタイゼーションによって非物化された債権、仮想マネーの対極にある「実物への回帰」だろう。金、銀、プラチナ、銅は今後手堅い実物運用対象となるだろう。来週あたりからいずれこんなことを言う評論家も出てくるだろう。

でも本当はその先の実物がある。もっとも身近な実物、つまり自分自身のヒューマン・キャピタルへの投資が最も有効かつ長期的なリスクヘッジになる。大学、大学院、通信教育、eラーニング、読書、習い事、語学、なんでもいいので自分への教育投資が有効だ。ただし、学資ローンを組むのはマズい。あくまで手元のキャッシュフローの範囲でやるべきだ。