巣ごもり生活に少し倦んだ頃、旅のエッセイを読みたいと、たまたま新聞広告で見つけたこの本を買いました。
私にとって初、沢木耕太郎です。
これまでノンフィクション作家としての名前だけは知っていましたが、ボクサーを扱ったような男性向き(?)の作品が多いとぼんやり思っていました。
先入観って怖いですね。
『旅のつばくろ』はJR東日本の新幹線内でサービスされている車内誌に連載中のエッセイを単行本にしたものです。
著者はここ数年日本の北への旅を続けています。
50余年前の16歳の春休みに夜行列車を宿にして、12日間の東北一周一人旅をした沢木さん。
旅の途中にその時の記憶をたどったり、車中や居酒屋で出会った人々とのふれあい。
過去に仕事で出会った文化人とのエピソード。
それらが交差し、重層的に繰り広げられます。
分かりやすい文章、ストレートな心情が心地よくて一気に読んでしまいました。
「読んでいてどうしてこんなに心地いいのだろう?」
沢木さんの人に対する謙虚さ、思いやり、子どもや弱者への優しい視線にあるのではと思いました。
それと私にとって「共感!」がてんこ盛りの言葉の数々。
「朝日よりも夕日に心動かされる」
「旅の性善説」
「旅の長者」になるためには「面白がる精神」が必要
人生何が起きても、自分を客観視して「面白がること」は樹木希林さんも著書の中で度々書いています。
本当にかくありたいと切に思っています。
もっと沢木耕太郎のことを知りたいと、代表作とされる『深夜特急』6冊を遅ればせながら買いました。
バックパッカーのバイブルといわれるこの本。
今、4巻目を読んでいます。
沢木さんは26歳の時、インドのデリーからロンドンまで陸路で、しかも乗り合いや高速バスだけを使って行こうと出国します。
ストップオーバーが認められる航空券を手に入れ、香港からスタートするのですが、出会う人々がまぁ面白いこと!
緻密な描写に驚かされます。
と同時に、70年代のアジアの街の喧騒やインドの想像を絶する貧しさなどが伝わってきます。
26歳の沢木青年が行く先々で安宿を探し、宿代の交渉をする様子はいつもスリリングです。
ともに旅しているような臨場感、もっともこんな過酷な旅は若い頃でもできなかっただろうけど・・・憧れます。
1年2か月かけて旅したゴールはどうなるのか?
ハラハラドキドキの毎日です。
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