7月25日に出版された、矢部太郎さんの『大家さんと僕』続編を読みました。
大家さんが大好きな新宿伊勢丹の看板マークの上にちょこんと乗った二人。
裏表紙も二人の後ろ姿があまりにも可愛らしかったので、一緒に並べてみました。
早々に売り切れ店続出で、もう2刷目が出ました。
昨年出た『大家さんと僕』は78万部を突破したとか。
矢部さんすご~い!
『大家さんと僕 これから』 ほっこり、しみじみ、笑えて、泣けました。
週刊新潮に続編を連載中に大家さんが亡くなられ、矢部さんはしばらく休載したそうです。
続編の最後に表紙の伊勢丹マークの上の二人が象徴的に描かれ、大家さんとの別れを詩情豊かに伝えています。
大家さんが骨折で入院中に見舞いに行った矢部さんに、看護師さんが「ご親族の方ですか」と尋ねるくだりがあります。
躊躇する矢部さん、大家さんがすかさず「血のつながらない親族」と応えます。
すると矢部さんが、「あ、ちょっとお手洗いに」と病室を出て涙ぐむ様子が描かれています。
こんな、グッとくるシーンがいくつもありました。
矢部さんは芸人さんが書き入れ時の大晦日は、大家さんとおせちを頂き紅白歌合戦を見るため、仕事を入れなかったそうです。
大家さんと一緒にお花見など季節の行事をしたり、新茶が出るとお茶の時間、旬の果物や野菜を戴いたり。
大家さんのお蔭で矢部さんは、巡る季節を感じたそうです。
これはマンションの一人暮らしでは得られないことだといいます。
こちらは続編のひと月前に出版された『大家さんと僕と僕』。
番外編本ですが、とても面白く、楽しい本です。
『大家さんと僕』を読んだちばてつや、里中満智子、ヤマザキマリ、糸井重里などそうそうたる著名人が漫画や読後感をよせています。
「手塚治虫文化賞」の授賞式の日のことも微笑ましい限り。
うれしかったのは「おとうさんと僕」が6ページに渡って掲載されていたこと。
おとうさんの絵本作家やべみつのりさん(東村山市在住)と矢部さんが、子どものころの絵や工作を見ながら思い出トークに花を咲かせます。
親子並んだ、とびきりの笑顔の写真がステキでした。
やべみつのりさんは子どもの絵が一番面白いといつも言ってらして、私の孫が1年生の時先生の教室で作った紙芝居を今も取っておいてくださっています。
お父さんを取材し、お父さんの口利きでやべさんも取材させていただいたのは8年前。
あの「ルミネtheよしもと」の打ち合わせ室のような狭い部屋で、矢部さんに会いました。
取材費0円ですから、闇営業ならぬ闇ボランティア(?)でしたね。
その時の記事がこちらです。
お笑いの世界にいながら、気象予報士の国家資格を取り世間をびっくりさせた矢部さん。
私は最後に「次はどんなことに挑戦してくれるのか、期待してます」と結んだのですが、その通りになりましたね。
「大家さんと僕」でまた、世の中を驚愕させ、読んだ人皆を温かい気持ちにさせました。
この時一番印象に残ったのが、好きな女性のタイプを訊ねた時、間をおいて真剣な表情で「群れない人がいいです」と応えてくれたこと。
真面目な人柄とピュアな精神に触れた気がしました。
大家さんとの日常を描いた2冊の漫画は矢部さんそのもの。
上品で聡明、だけどどこか天然でかわいい大家さんと矢部さんとのやりとりがいとおしくなります。
大家さんは8月が一番好きと言いました。
矢部さんが聞くと「テレビで戦争のことをやってくれるから」
疎開したこと、戦後のことをいろいろ話してくださいましたね。
今日は終戦記念日。
矢部さんは大家さんの話を思い出しているのじゃないかしら?
矢部さんにしか描けない珠玉の漫画を世に出してくれて、お二人に心からありがとう!!
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