6月に発行されるやいなや買った『ぼくのお父さん』。
直ぐに紹介しようと思っていながら、もう秋になってしまいました。
大ヒットした『大家さんと僕』で手塚治虫文化賞を受賞し、一躍人気漫画家となった矢部太郎さんが、今度は絵本作家のお父さんと過ごした幼い日々のことを描きました。
絵がとにかく可愛いです。
上の4ページは誕生日プレゼントにテレビゲームが欲しかった太郎くんに、
お父さんが手作りテレビゲームを実演した日のこと。
段ボールでできたコントローラーのボタンを押すと、お父さん作の紙芝居がさっと次に変わるのです。
何てステキなお父さんでしょうネ。
ある日は太郎くんの友だちに「みんなで縄文土器を作ろう」と土器作りに興じ、
河原で縄文時代と同じ野焼きをしてみたこと。
春には二人でつくしを採り、家に帰ったらそれを佃煮にしていました。
私はお父さんのやべみつのりさんに取材を通してお世話になりました。
その後孫たちも紙芝居のワークショップなどでご指導を受け、「やべ先生」には特別の
親しみを感じています。
「子どもが描くように僕は絵を描きたい」というのがやべ先生のモットーです。
時には「ほのぼのマイタウン」の小学生の表紙を真似た絵や、孫が送った絵を真似したものを送ってくださったこともありました。
子どもの心をお持ちだから、子どもと遊んでもご自分が一番楽しめるのでしょう。
この本のきっかけは太郎くんとお姉さんが生まれた時から描いていた、お父さんの絵日記数十冊をもとに生まれたのだそうです。
太郎くんが『大家さんと僕』の中で、大家さんのおばあ様にあんなに優しいのも、
幼い頃の豊かな体験と、愛情いっぱいの家庭で育てられたからでしょうね。
区切りの見開きの絵の数々が素晴らしくて、二人が愛おしくなります。
お父さんをインタビューした4年後に太郎さんを取材した記事です(2011年6-7月号)。
この中で「同じ東京出身といっても、霜柱を踏んだ経験がない人もいて、他の人と思い出が共有できないんですよ。東村山に帰るとホッとしますね」と太郎さんは言っていました。
この1週間、これまでほのぼのマイタウンを応援してくださった方、ブログをいつも読んでくださった方の訃報が続き、落ち込んでいました。
そんな折、この『ぼくのお父さん』を読み返し、気分が和らぎました。
テレビゲームは楽しいですね。大好きです。頑張って下さい。