約360年後の安土桃山。
「おいッ、誰かおらんか?」
お声が掛かった。その誰かとは、当然、俺の事。急いで、御屋形(おやかた)様の許へ走った。
蘭丸「はい、何でしょう?」御屋形様というのは室町以降の屋形主である大名を敬う呼称で、俺の御屋形様は、もちろん、信長様。
織田「じぃ…」と俺を見て、黙っていらっしゃる。
蘭丸「あ…の、」こういう御屋形様が「何か、お申し付けがあったのでは?」一番厄介だ。
織田「もういいッ」絶対、何か言いたい事があるのに、それに気付くまで「下がれッ」
蘭丸「はぁ…」トホホ。すごすご…と下がるものの「何だ?何か絶対ある。下がっていいはずが、ないッ」うろっと御屋形様の近辺でおろっとなる。何だろ?でも、分からない。
織田「おいッ」来たッ
蘭丸「はいッ」顔を出し、御屋形様の顔色を伺う「が゛!」まずい、お顔に、
織田「…」ピクピク、ピクピク、
蘭丸「あ…の…」神経質な御屋形様は、何か気に病む事、障る事があれば、お顔に…、
織田「下がれッ」痙攣が走るッ。
蘭丸「はいっ」あ゛ぁ゛…、どうしよ。こんな、御屋形様と小姓 俺のやり取りが続き、
織田「おいッ、蘭ッ!」
蘭丸「ハイッ!」うわぁ、“丸”がすっ飛んだぁ「な、何でしょうッ!!」
織田「なぜ、人の顔色ばかり伺う?」
蘭丸「え?」
織田「顔ばかり読むな、行く先々の道を読め。もういい。下がれッ」
蘭丸「道を…読む、ですか?」分からない、しゅ…ん、となって、うつむく…と「あ!」
こんな所にゴミが…サッ、それを拾って退室しようとしたら、
織田「良し」
蘭丸「わん?」俺は犬か?
織田「だいだい人は、心と気を働かすことをもって、良しとするなり」
蘭丸「あ…の」これは御屋形様が常々言っておられる言葉だった。
「ずっと、このゴミの存在を、気付かせるために?」
織田「当然だ。小事に気付けない奴が大事を成せるか?何のための心だ?いつ使う“気”だ?」
蘭丸「すみませんッ」気付くかなかったら、と思うと「ブルッ」こえぇ、武者震いがした。
「おいッ、誰かおらんか?」
お声が掛かった。その誰かとは、当然、俺の事。急いで、御屋形(おやかた)様の許へ走った。
蘭丸「はい、何でしょう?」御屋形様というのは室町以降の屋形主である大名を敬う呼称で、俺の御屋形様は、もちろん、信長様。
織田「じぃ…」と俺を見て、黙っていらっしゃる。
蘭丸「あ…の、」こういう御屋形様が「何か、お申し付けがあったのでは?」一番厄介だ。
織田「もういいッ」絶対、何か言いたい事があるのに、それに気付くまで「下がれッ」
蘭丸「はぁ…」トホホ。すごすご…と下がるものの「何だ?何か絶対ある。下がっていいはずが、ないッ」うろっと御屋形様の近辺でおろっとなる。何だろ?でも、分からない。
織田「おいッ」来たッ
蘭丸「はいッ」顔を出し、御屋形様の顔色を伺う「が゛!」まずい、お顔に、
織田「…」ピクピク、ピクピク、
蘭丸「あ…の…」神経質な御屋形様は、何か気に病む事、障る事があれば、お顔に…、
織田「下がれッ」痙攣が走るッ。
蘭丸「はいっ」あ゛ぁ゛…、どうしよ。こんな、御屋形様と小姓 俺のやり取りが続き、
織田「おいッ、蘭ッ!」
蘭丸「ハイッ!」うわぁ、“丸”がすっ飛んだぁ「な、何でしょうッ!!」
織田「なぜ、人の顔色ばかり伺う?」
蘭丸「え?」
織田「顔ばかり読むな、行く先々の道を読め。もういい。下がれッ」
蘭丸「道を…読む、ですか?」分からない、しゅ…ん、となって、うつむく…と「あ!」
こんな所にゴミが…サッ、それを拾って退室しようとしたら、
織田「良し」
蘭丸「わん?」俺は犬か?
織田「だいだい人は、心と気を働かすことをもって、良しとするなり」
蘭丸「あ…の」これは御屋形様が常々言っておられる言葉だった。
「ずっと、このゴミの存在を、気付かせるために?」
織田「当然だ。小事に気付けない奴が大事を成せるか?何のための心だ?いつ使う“気”だ?」
蘭丸「すみませんッ」気付くかなかったら、と思うと「ブルッ」こえぇ、武者震いがした。