ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

三日の団子、母たちの思い

2014-09-16 | ~ 出 産 ~
「まあ、そんな大変だったの…」
授乳を終えた嫁を義理の母は労った。
母乳への思いは、一入。
私も主人も母乳で育っていない。
実母は母乳が出なかった。義理の母は留まることなく流れ続け、与えられなかったそうだ。
二人の母の、出ない辛さと出るのに吸わせられない悲しみを聞いていたので、私は出来れば母乳で育てたいと思っていた。
妊娠発覚から胸が張って「これなら…」と、妊娠発覚から乳マッサージをしていた。
妊娠中期に入って、お乳が出るようなって、もう「大丈夫だ」と安心しきっていた。
しかし、現実はそんな甘いモノでは無かった。
空腹を満たせる量か?
栄養が足りているか?
子の心満たせる量か?
総合的に、満たせるかどうか…大きな壁と、見えない不安にぶつかっていた。
“お乳が出るように…”
出産から三日目、主人は水筒を持って面会に来た。
中身は、義理の母手作りの三日の団子(米粉団子の味噌汁)だった。
これを食べると乳が出る…こちらの方の昔からの言い伝えである。
遠い昔から母の思いや願いは、一つ。
母の乳を飲み終え、満たされた寝顔の我が子、我が孫を見ること、それだけ。
「義母様の三日の団子のお蔭です…はい」
私は義理の母の腕に、娘を置いた。
愛おしそうに、大事に孫を膝の上に寝かせていた。
義理の母は、ずっと、ずっと、女の子が欲しかったらしい。
“次は、絶対女の子…”
家に女児用の服が40年も前からタンスに眠っていた。
それを引っ張り出して、着せてやって、と持って来た。
それに、娘と一緒にやりたかったであろう、縮緬細工が至る所に飾られている。
しかし現実に産まれた第二子が、今の私の主人。
女の気持ちも、母の思いも、からっきしで、大変苦労したであろう。


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