ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

誠意

2010-09-05 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
口元に手刀をかざしてウィンクしながら謝った。が!?こんないい加減な謝り方では誠意が伝わらないようで、お面は装着されたままで機嫌は最高潮に最悪だろう。
志鷹「…」
義経「5年前の伝説…真相を教えてやろうか?」リンゴをバリバリ食いながら志鷹に言った。
那須温泉旅行中、弓を引き武芸を磨く12、3の少年を見つけた。基本に忠実な美しい構えで弓引きの音が澄んでいて「なんていいセンスだ」と思った。その少年の事を聞くと弓矢の名手 那須資隆(すけたか)の息子で、3歳の時からおもちゃの弓矢で毎日遊び、5歳になってから本物の弓矢を持ち、親父に型を教わりながら、腕と持ち味を磨いているんだ、と。
その話を聞いて「息子を俺に引き取らせてくれ」と親父に頼み込み、その後、弓部隊の要として働いてもらった。そんな彼が16歳になった時、屋島の戦いの「扇の的」を任せた。
それは、彼の土壇場の強さ、精神力と集中力も去る事ながら、16歳にして威風堂々、節度礼節ある振る舞いと彼の誠意で平家を圧倒し、源氏軍の士気が高まると思ったからだ。結果、その考えは的を得て、
義経「あいつは期待以上の事をしてくれたよ。扇の的を射貫いた後、彼は何をしたと思う?」
志鷹「…ガッツポーズ」とグッと握り拳を作って見せた。
義経「だから、女の心は射止めれないって言うんだよ」
与一は、真っ直ぐ能子を見つめ、一礼した。怖い思いで的を持っている能子は的を射貫きやすいようじっと動かずに居てくれたんだ。そんな能子に無言で敬意を表したんだ。
それに…俺の妹で、平清盛の娘という辛い立場の能子の気持ちを汲んでくれたんだと俺は思ったよ。そんな彼の礼節ある振る舞いを見ていた平家公家のやつらは、もう脱帽だったよ。
義経「いいか、節度礼儀とは年齢云々関係なく、精神性の高さから生まれるんだ」
志鷹「…」
義経「初めて会った人に対しての言葉遣い、応対の仕方で…幼少期からの躾が分かる。それからな…人の心を射止めるのに多く語る必要はない。誠の心が我が意と成す」
ほれ、“誠”という漢字書いてみ…と地面に文字を書かせてみた。
志鷹「言 成」
義経「そう、そういう態度 言動が言葉と成る(言葉と同じ力を持つ)!」
普段、人様への態度や言動、獲物に対する敬意と礼儀で素行が分かる。
志鷹「え?」
義経「獲物を一発で仕留めた事、無いだろ」