奇跡への絆

図師ひろき

東南アジア研修を振り返って3

2009年11月27日 22時03分05秒 | Weblog

 今回の研修のメインテーマの1つでもある、日本向けの看護師・介護福祉士養成学校の視察に行ってきました。

 私は、日本の医療・福祉の現場で働く方々の過酷な労働状況を知っています。

 看護・介護に対して志はあっても、労働の見合うだけの報酬が得られず、やむなく退職していく若者も数多く見てきました。

 日本人労働者の環境改善や報酬アップを図ることなく、安易に労働力の確保を海外に頼ることに、私は疑問を抱いています。

 しかし現実は、もうそこまで迫っています!

 厚生労働省の試算によると、5年後には看護師は約3万人!介護関係職については7~8万人不足するとされています。

 診療報酬や介護報酬を上げ、看護・介護従事者の賃金を上げることは国及び国会議員の仕事です。

 県及び県会議員としてできることは、看護・介護従事者が不足して、医療・介護難民がでないように人材の確保を図ることです。

 県内の介護福祉士養成学校では、軒並み定員割れが続いており、資格取得者も労働条件の良い都市部に流出している現実があります。

 今後も国としては年次的に東南アジアからの看護・介護研修生を受け入れる方針を出していますので、それならば現地ではどのような教育がなされているのか、この目で確かめようとインドネシアに飛んだのです。

 現地では日本・インドネシア経済協力事業協会(JIAEC)が開設している養成コースを視察しました。

 これがJIAEC事務所と教室のある建物です。

        

 視察だけのつもりだったのですが・・・

    

 自己紹介をさせていただき・・・

         

 生徒も日本語で自己紹介をしてくれたので・・・

        

 日本の医療・福祉について簡単な授業をさせていただきました・・・   

         

 生徒たちは看護大学生で、インドネシアでエリート中のエリートです。

 生徒たちの目は光り輝き、私が書く黒板の字を一生懸命書き写し、発音しようとしていました。

 この教室で、生徒たちは日本語検定4級の取得を目指します。
   
        

 そして日本でさらに10ヶ月間トレーニングして(来年度からは短縮される)、研修生として現場に出ます。

 そして日本に来て、3年後の国家試験を受験し、合格したら日本人と同じ条件で働くことができます。

 しかし、実技はクリアできても、漢字交じりのペーパー試験は難関で、今まで1人も国家試験を合格した者はおらず、研修期間終了後は母国に帰っています。

 生徒たちは言います・・・

 「私たちは、家族のため、兄弟を養うために日本で働きたいのです!」

 と・・・

 その幼い表情からは想像もできないほどの必死さ、そして迫力をぶつけられました。
 
 これは生徒たちの寮です。


         

 狭く薄暗いで数人が共同生活をし、机もない部屋の床に這いつくばって日本語の書き取りをしています。

        

 私は価値観が変わりました。

 日本人労働者の環境改善に取り組むことはもちろんのことですが、今後は東南アジアからの研修生の受け入れのためにも活動をします。

 そして彼らが国家試験に合格し、日本の福祉を、特に地方の高齢者を支える力になってくる日が訪れる・・・そして日本に永住してもらい・・・日本で家族をつくり・・・ともに地域を守っていく・・・

 そのためには言葉以外にも、文化や習慣などクリアしなければならない事柄は容易くないと思われますが、はっきり言えることは、現状のままでは日本の看護や介護は崩壊する・・・安定した社会保障制度を維持するためにも、グローバルな人材確保と国際相互協力が必要な時代となっています。

     

社団法人 日本・インドネシア経済協力事業協会(略称:JIAEC  ジーク)は、日本とインドネシア共和国との政府間協定に基づき、両国間の経済協力・技術移転(外国人研修生受入事業など)を推進する目的で設立された外務省・厚生労働省所管の公益法人です。












最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Fit)
2009-11-27 23:24:33
日本人が日本語の国家試験に合格すること自体難しいのに‥‥
もし逆の立場だったら。。
言葉を覚え、文字を覚え、知識と技術を身につけて異国で1人で踏張る 

誰しも様々な想いや苦労があって、人の苦しみや悲しみを比べる事は出来ないと思いますが‥それでも、努力して生きる姿には見習うものが多くあると感じました。
返信する
Unknown (SAKURA)
2009-11-30 22:13:05
日本が抱えている医療、福祉の問題は本当に深刻ですね。

もう日本は東南アジアの介護士さん、看護師さんに頼るしかないのですね…自分の国の問題なのに、他の国の人材に頼るのはどうなんだろ…
もう『しょうがない』んでしょうか??

私はこの事に、賛成ではありませんが…
反対でもないですね…

一番は、看護、介護される側がどうかって事ですよね。
看護、介護される人々が求めているならいいのですが…


返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。