「精神障がい・・・精神病・・・精神病院・・・と聞いて思い浮かぶものを言ってみて下さい。」
私が最初の授業で必ずする質問です。
すると、生徒たちは・・・
「怖い・・・」
「危険・・・」
「何を考えているか分からない・・・」
と口々に答えてくれます。
「それでは精神障がい者と健常者との違いはどこにありますか?」
すると・・・答えはほとんど返ってきません。
無理もありません。
ほとんどの生徒は、高卒で医療福祉の知識を持たないまま入学してきます。
「皆さんが抱いている精神障がいに対するイメージこそたいへん危険です。
マスコミが取り上げる内容やうわさ話が気付かぬうちに刷り込まれ、偏見や心のバリヤ(障壁)になってしまっています。
私はまず皆さんの固定観念を壊すことから始めたいと思います。
この複雑多岐な社会構造の中で、心身ともに100%健康のまま生活できている人がどれほどいるでしょうか?
学歴社会、偏差値偏重、受験戦争、不登校、就職難、契約社員、リストラ、格差社会、家庭内不和、離婚、孤独、無縁、老後・・・これらの言葉に身を置くとき、人は不安定になります。
また不安になるという反応は、正常な証です。
人はそんなに強くありません。
弱くていいんです。
その弱さと向かい合うときにこそ人格的成長が促されます・・・
・・・精神障がいの方とのふれあいの中で気付かされることがたくさんあります。
人は愛情によって成熟していくことを・・・
心に憂いや悲しみがあることで優しくなれることを・・・
たとえ攻撃的であったとしても、それは寂しさが故であることも・・・
そして精神障がい者と健常者は、僅かな違いしかないことを・・・」
児湯准看護学校の入学式に出席してきました。
公務に合間を縫っての非常勤ではありますが、“精神保健学”を担当させてもらっています。
新入生の少し緊張した表情を眺めながら、どのようにして現場の臨場感を伝えようか考えていました。